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第一試験はおもてなし

庭師だって城の一員

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「やはり、アポ無しでは無理でしたわね。」

皇宮の門から中に入れてもらえなかった私は、馬車に乗って元来た道を引き返しておりました。

そうですわよね…いくら聖4貴族レフレイムとは言え、
皇宮にアポなしで入れていただけるはずありませんわ。

これでも一応後寝ては見たのですけれど…まぁうまくはいきませんでしたわ。

学校でもあれば、皇太子殿下に頼んで入れてもらうこともできるのでしょうけれど…
それはそれで癪ですしね…

自分の力でやるより仕方ありませんけれど…アポを取ってる時間もありませんし…

ガーデンに入れてもらえたとてアイディアが浮かぶというわけでもないのですけれどね…

「仕方ありませんわ、リーブ様に張り合って自分も何か…と思ったのですけれど、
やはり、自分のいいところは最大限生かすべきですわ。」

それはつまり金に物を言わせることができること、自分が目利きであること。
来賓の方々に喜んでもらえる品を揃えることに関しては負けることはない自信があるということ。

これを生かすしかありませんわね。

いつまで門の前に立っていても中に入れてもらえそうにないので、引き返そうとした時

「ちょっと止めて」

私は馬車を止めるように頼みました。
城に向かうある人物を見つけたからです。

「もし、そこの庭師」

私ははしたないことを承知で馬車の窓から身を乗り出し、庭師に声をかける

「おや、これはこれは、レフレイムのお嬢様、ご機嫌麗しゅう」

少し年を召した老人は私の顔を見るとそう声をかけました。
この再挨拶なんかどうでもいいですわ。

「これから皇宮へ向かいますの?」

「その通りでございます。」

「もしかして、ガーデンの?」

「さようです。」


これはチャンス。
ここで彼に会えたのは神様の思し召しだわ。

彼と一緒に、庭師のふりをすればガーデンに入ることができる。
そうよ、何も悪いことをするわけではないんだもの、正面から入らなくても裏から入ればいいのよ


「ねぇ、ものは相談なんだけれど、私も一緒に連れて行ってくれないかしら」

「はぁ…レフレイムのお嬢さんならわざわざ私と一緒に行かなくても入れてもらえるのでは?」

「アポ取るのは手間がかかりますわ、時間もないですし」

私は口調はお願いするような言葉で頼みましたが、口調と雰囲気は有無を言わせないような圧力を意図的に相手に向けました。

そんな私の圧力を感じ、たじたじになった庭師でしたが、
あわあわしながら答えました。

「お…お連れするのは構いませんが、庭師に変装して…ということでよろしかったでしょうか?」

「は?」

「あ…いえ…その…」

「そのお召し物で一緒に行っても、アポが取れていないのはもうバレているでしょうし、
バレないように一緒に…ということでしたら変装して気が付かれないようにしなければ意味が…」


そう言われて私はようやく何を言われているのか理解しました。
確かにそうですわ、この格好で庭師と一緒に門から堂々と入ろうとしたって、
私が庭師でないことはもちろん、アポを取ってないことはバレているのですから庭師が気を利かせて『一緒に来ることになっていた』と話したところで嘘がバレバレですわ。

私としたことが…そんな単純なことに気が付かなかっただなんて…

少し時間をいただいて、庭師の変装をするのが唯一の方法なのでしょうけれど…
作戦のための変装だとしても、そんな庶民の格好をするなんてまっぴらごめんですわ。

「そう…ね…あなたのいう通りだわ…引き止めて悪かったわ。」

私はそういうと止めていた馬車を走らせようと声をかけようとした。
そんな時

「レフレイムのお嬢さんでも、やはりガーデンが気になるんですなぁ…
確かに、あそこは何百年と維持されてきた歴史ある場所ですし、草木も相当な樹齢で
魔力が宿ると言われている草木が枝一本にも価値があると言われて増すものなぁ」

という大きな独り言が聞こえてきた。

その時、私はピンときた。

これなら…いけるかもしれない…!


「もし!そこの庭師!もう一度止まりなさい!」

私は、今度は大声で彼のことを呼び止めた。


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