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第一試験はおもてなし
着飾る者と揃える者
しおりを挟む「よし、ドレスはこれで問題ないわね」
お茶会用のドレスを買い終えた私は、アリシア他2名のメイドと共にお店を出た。
「あと他に何を買うんだったかしら、アリシア。」
「靴は先ほど買われましたので、あとはアクセサリーと…香水はいかがなさいますか?」
香水は家にたくさん香水はあるけど、皇后陛下のお茶会だもの
気合入れていかなければ。
「…行きましょう、皇后陛下のお茶会だもの。
新調する必要があるわ。」
そういうと私は香水が売っているお店へと向かった。
その途中
「ありがとうございました」
とあるお店から人が出てくるのが見えた。
見知った人間だ。
「あら、リーブ様」
「まぁ、ご機嫌麗しゅう、ローズ様」
リーブ様は重たそうな荷物を抱えながらも、完璧なお辞儀を見せた。
しかし出てきたお店が、リーブ様らしからぬお店だった。
そこは食料品…主に小麦粉を販売しているお店だったからだ。
普通はこのような店に出入りするのは、使用人のはずですが…
「なぜ…このお店から………何か御用で?」
「えぇ、今度のお茶会の準備ですわ」
リーブ様はなんでもないようにさらりと言いのけた。
でも、そのお店に自分を着飾るものは売っていない
「お茶会?そのお荷物はドレスには見えませんけれど」
「えぇ、だってこれ小麦粉です。」
「小麦?」
私は素っ頓狂な声を出す。
なぜ、この小麦がお茶会の準備になるのか意味不明だったからだ。
リーブ様は小麦を担ぎ直すと
「実は、今度のお茶会…私はお料理を振る舞っておもてなしをしようと思いまして」
と説明してくださった
「お料理!?」
「この前、皇后陛下が自家製のジャムを出してくださいましたでしょ?
あれでヒントをいただきまして。」
なるほど、確かにおもてなしはなんでもいいと言っておりましたものね。
ジャムにあうお料理を振る舞うと言うのは、いい着眼点ですわ。
「でもそれは、すでに皇后陛下もやられているのでは?」
「私は、それで良いと思っております。」
「なぜ?」
「だって、長い間愛されたガーデン。
つまり長い間、あのままのガーデンを皆様好んできたと言うことですわ。
なら、そのままの良さを最大限に使っておもてなしするのが一番ですわ。」
あのガーデンを見て、皇后陛下とお話しして…
すぐにそのような案を出せるなんて。
やっぱり隅に置けませんわね。
あそこを最大限に活かしたおもてなしの心が完璧ですわ。
本当にもったいない…皇后陛下が気に入りそうな令嬢なのに。
「リーブ様も大変ね…お相手がいるようなものなのに、
妃候補として、余計な試験を受けなければならないなんて」
「聖貴族として、仕方がございませんわ。
この義務を放棄すれば、リフロント家はもちろん、最悪バクランド家に迷惑をかけてしまいますから。」
彼女はほんと…苦労人ですわ。
皇太子にあんな扱いされてるのに律儀なことです。
「それでは急ぎですので、私はこれで。」
リーブ様はそういうと私にお辞儀をし、遠くに待たせたメイドの元へ歩いて行った。
私は口に手を添え
「その手がありましたわね」
とそう呟く。
「何か思いつきましたか?」
「いえ、でも確かに豪華で派手やかにすることだけがおもてなしではないと思ってね。」
でも、そうは言ってもすぐに思いつく…と言うわけではなかった。
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