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一部 6話 予てより知る風は桜舞う
6ー6不思議なクシャミは嵐の前触れ
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たどり着いた現場はコンクリートの加工がされていない駐車場。
砂場で一台も車が止まっていない駐車場だった、別段何かおかしなところはない。
強いていうなら...
「...砂がすごいね...」
ただ、それだけだった。
何かがいる気配はおろか、何かが起きた形跡もない。
「やっぱバグね」
なるちゃんはそう言うと肩を落とした。
「待ちなって、まだパッとみただけじゃん。
ちょと調べてみようって、なんかあるかもよ?」
ことはなるちゃんにそう言うと、なるちゃんは渋々駐車場を見回った。
私たちも一応手分けしてそのあたりを散策してはみたものの、怪しいものは何もなかった。
ただ砂がすごいだけ。
「...おかしなところはないわね...って言うより、HPSの反応ももう消えちゃってるわ...」
何も見つけられなかったことに、なるちゃんは少し落胆した。
やっぱり今までと同じだとでもいうように。
励ましてはあげたいけど、この状況では幽霊探知機が何かを判断したのか、本当に バグなのか...自分たちに判断はできなかった。
「...まぁ、不確定な要素の探知機なんて...普通作らないし、作ってもインチキって 言われるに決まってるから前例ないし...ちょっと無理があったかしらねぇ...」
なるちゃんはHPSをポンポン投げて、投げやりになりながらそう言って落ち込んだ。
そうなると、機械のことがわからない私たちに言えることは何もない。
それでも今の私たちには必要なわけで、なんとか心折れずに完成させてほしい。
解決にはならなくても士気を高められる言葉はないのか必死になって探したところ、ことが手をパンッ!と叩いて言葉を発した。
「あのさ、そもそもそれどう言うシステムなの?あたし達そういうのよくわかんな いし詳しく知りたいな~なんて」
「あ!それ、私も気になる!
光星くんで出来るだけすごいよ!どうやったの?
もしそれがわかれば、なんか分かるかも!」
ことの言葉に続いて私も立て続けに質問する。
こういう時、効果的なのは、相手のことをすごいすごいと褒め称えて、その気にさせること。
これが刺されば一番やる気を出してくれる...はず!!
するとなるちゃんは虚ろな目でつらつらと話し始めた。
「できたのはちょっとした偶然なんだけどね、簡単なシステムを説明すると...幽霊 とか妖怪とか、そう言う未知の生物って電波とか回線に少し影響を与えちゃうのよ。ほら、波のある海に人が立ってるとちょっと波の撃ち方変わるでしょ?あんな感じの現状が起きるの。光星くんでその現象が起きるのは確認したわ。で、今の世の中電波とかwi-fiの回線とかいたるとことで繋がってるでしょ?だから今の現代社会でそれを避けるのは圏外になる田舎でもなければ難しいのよつまり、現れれば必然的に回線にぶつかって電波とかに影響が出るの。その様子をこの機械で探知してるの。それが人が意図的に行ってるのか自然のものなのか判断するAIっぽいものが ここに搭載されてて、人じゃなければ位置関係を最後に把握して、この地図に表示 される...ってわけ。
わかる?」
「「全然。」」
ここまで早口で息継ぎなしでローテンションにまくし立てるように話すなるちゃんの言ってる内容は、多分多分ゆっくり聞いたところで何もわからないだろう。
私とことは自分で聞き出したことだったけど、頭が追いつかず、理解を追いつかせ ることを諦めたのであった。
もうなるちゃんもわかってもらおうとかそういうモチベーションはないらしい。
「やっぱ...失敗なのかしら...あと一歩のところまで来たのに...」
「ま、まだ諦めるのは早いよ!
バグなんでしょ?だったら調べればなんとかなるっ て!ね!?それにらしくないじゃん!いつも納得いくまで心矢で試すのに、こんな 少しのことで諦めちゃダメだよ!」
我ながら結構ひどいことを言ってるけど、今回に限っては作るのを諦めてもらうわけにはいかない。
本当にできあがれば助かる!
毎回土屋さんの手を借りるにはコストかかるし、なるちゃんだってそう思ったからこれを作ったはずだ(勝手な推測だけど)
私の熱意が伝わったのか、なるちゃんはウルウルと目を潤ませる。
「ルイちゃんが、私の作るものにここまで熱意を見せてくれるのは初めてね...わ かったわ...私頑張ってみるわ!」
こうしてなるちゃんの熱意を戻すことに成功した。
あとは、バグ修正完了を待つのみである。
すでに夕暮れ、カラスが鳴いていた。
砂場で一台も車が止まっていない駐車場だった、別段何かおかしなところはない。
強いていうなら...
「...砂がすごいね...」
ただ、それだけだった。
何かがいる気配はおろか、何かが起きた形跡もない。
「やっぱバグね」
なるちゃんはそう言うと肩を落とした。
「待ちなって、まだパッとみただけじゃん。
ちょと調べてみようって、なんかあるかもよ?」
ことはなるちゃんにそう言うと、なるちゃんは渋々駐車場を見回った。
私たちも一応手分けしてそのあたりを散策してはみたものの、怪しいものは何もなかった。
ただ砂がすごいだけ。
「...おかしなところはないわね...って言うより、HPSの反応ももう消えちゃってるわ...」
何も見つけられなかったことに、なるちゃんは少し落胆した。
やっぱり今までと同じだとでもいうように。
励ましてはあげたいけど、この状況では幽霊探知機が何かを判断したのか、本当に バグなのか...自分たちに判断はできなかった。
「...まぁ、不確定な要素の探知機なんて...普通作らないし、作ってもインチキって 言われるに決まってるから前例ないし...ちょっと無理があったかしらねぇ...」
なるちゃんはHPSをポンポン投げて、投げやりになりながらそう言って落ち込んだ。
そうなると、機械のことがわからない私たちに言えることは何もない。
それでも今の私たちには必要なわけで、なんとか心折れずに完成させてほしい。
解決にはならなくても士気を高められる言葉はないのか必死になって探したところ、ことが手をパンッ!と叩いて言葉を発した。
「あのさ、そもそもそれどう言うシステムなの?あたし達そういうのよくわかんな いし詳しく知りたいな~なんて」
「あ!それ、私も気になる!
光星くんで出来るだけすごいよ!どうやったの?
もしそれがわかれば、なんか分かるかも!」
ことの言葉に続いて私も立て続けに質問する。
こういう時、効果的なのは、相手のことをすごいすごいと褒め称えて、その気にさせること。
これが刺されば一番やる気を出してくれる...はず!!
するとなるちゃんは虚ろな目でつらつらと話し始めた。
「できたのはちょっとした偶然なんだけどね、簡単なシステムを説明すると...幽霊 とか妖怪とか、そう言う未知の生物って電波とか回線に少し影響を与えちゃうのよ。ほら、波のある海に人が立ってるとちょっと波の撃ち方変わるでしょ?あんな感じの現状が起きるの。光星くんでその現象が起きるのは確認したわ。で、今の世の中電波とかwi-fiの回線とかいたるとことで繋がってるでしょ?だから今の現代社会でそれを避けるのは圏外になる田舎でもなければ難しいのよつまり、現れれば必然的に回線にぶつかって電波とかに影響が出るの。その様子をこの機械で探知してるの。それが人が意図的に行ってるのか自然のものなのか判断するAIっぽいものが ここに搭載されてて、人じゃなければ位置関係を最後に把握して、この地図に表示 される...ってわけ。
わかる?」
「「全然。」」
ここまで早口で息継ぎなしでローテンションにまくし立てるように話すなるちゃんの言ってる内容は、多分多分ゆっくり聞いたところで何もわからないだろう。
私とことは自分で聞き出したことだったけど、頭が追いつかず、理解を追いつかせ ることを諦めたのであった。
もうなるちゃんもわかってもらおうとかそういうモチベーションはないらしい。
「やっぱ...失敗なのかしら...あと一歩のところまで来たのに...」
「ま、まだ諦めるのは早いよ!
バグなんでしょ?だったら調べればなんとかなるっ て!ね!?それにらしくないじゃん!いつも納得いくまで心矢で試すのに、こんな 少しのことで諦めちゃダメだよ!」
我ながら結構ひどいことを言ってるけど、今回に限っては作るのを諦めてもらうわけにはいかない。
本当にできあがれば助かる!
毎回土屋さんの手を借りるにはコストかかるし、なるちゃんだってそう思ったからこれを作ったはずだ(勝手な推測だけど)
私の熱意が伝わったのか、なるちゃんはウルウルと目を潤ませる。
「ルイちゃんが、私の作るものにここまで熱意を見せてくれるのは初めてね...わ かったわ...私頑張ってみるわ!」
こうしてなるちゃんの熱意を戻すことに成功した。
あとは、バグ修正完了を待つのみである。
すでに夕暮れ、カラスが鳴いていた。
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