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一部 5話 恵みの水を得るために
5ー8 覚悟の決め手、選択の余地
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まぁうまく当たるわけもないけど、光の力を持つ私の力は、鶏の目くらましには役立っても、直接的攻撃には繋がらない。
そうなると攻撃頼りになるけど...
小さい、早い、火で見えない、熱い、
この条件で攻撃を当てるのは難しい
「こう言うの習ったほうがいいのかな...」
でもそんなこと呟いてる場合じゃない。
とにかく攻撃を当てないと。
鶏がいる場所をめがけて何回も何回も振り落とすけど、 鶏の足はやっぱり早くて追いつかない。
しかも鶏は鶏で炎を吹き出してくるので、それもかわさなきゃいけない。
これを火の海の中で行なっている。
足の踏み場がだんだんなくなってきた...酸素も無くなって呼吸が浅くなってきてだ いぶ苦しい...
ゲホゲホ、ゼーゼー言いながらなんとかギリギリの状態で動く
熱い...
このままだと体の中も外も焼ける...
せめて水被ってからくるか、せめて水で濡らしたタオル持ってこればよかった...
多分それでもすぐに意味なくなっただろうけど... ほんと、これで1人でできるとか...我ながら甘いことを言ってたと思う。
鶏相手に攻撃を一つもまともに当てられないこのざまなんだから。 でも...やらなきゃ。
そう思ってなんと語っていられる状況のところで鶏に頭突きを食らった。 それもみぞおちに
「っ!」
思いっきりそれで倒れこんでしまう。
炎ばかりに気を取られて、こんな物理攻撃があるとは...完全に油断していた。
でも、意思だけでどうにかできる問題じゃない。
実力がなければ、単純に死ぬ。
でも...
「ルイさん!」
神様状態の光星くんが私の所に飛んでくる。
流石に、今の状況はやばいのかだいぶ心配そうな表情を浮かべた。
「何やってるんですか...これ以上は無謀ですよ!」
そう言うと私の額に手を添える。
一瞬体が光った...どうやら回復魔法みたいなのを使ってくれたらしい。
少しだけ、呼吸が楽になった。
「ルイさん、彼女呼びましょう!
わかったでしょ?これであなた1人では無理だって...」
そのセリフは最もだった。
言うことを聞くべきなのはわかってる。
それでも、まだ捨てられない
「だ、大丈夫!まだできるよ!
お願い、もうちょっとだけ!」
流石に私の往生際の悪さに光星くんは怒る。
「ルイさん!
今なるさんが炎食い止めてるからいいですけど
なるさんの力が切れたら、また火が回って 被害が大きくなりって、それこそ逃がしかねない」
それは...紛れもない正論...どうしようもない事実。
「わかってる...水長さんに頼む方が早い...確率は上がるって...光星くんが言ってることもわかる」
「でしたら!」
それでも、あの工事現場の時や今日...教室で話した時の水長さんが思い浮かぶ...
まだ、できる状態ではない...やらせるわけにはいかない。
「経験ない上に、覚悟出来てない彼女に...無理させたところで、相性がいいってだけで、勝てるほど甘いの?
加勢してもらって負ける可能性もあるでしょ?
それで、万一のことがあったら!?」
実際に、夢の中とはいえ、彼女はうまく力が使えなくて負けている。だからこその今の彼女の怯えだ。
それを無視することは私にはできない。
でも、神様である光星くんはそれを許すわけにはいかなかった。
「それを否定はしません、
でも数が増えるだけで戦力になりますし、 あなたと彼女の経験の差はたかだか数回そんなの大差ないです。
誰にでも最初はあります。ルイさんだってあったでしょ?
それが彼女にとって今日ってだけのことです。
初めてで不安はあるかもしれません、あんなに嫌がってたあなたも、今ではそれを 乗り越えて、積極的にこうして戦ってるじゃないですか」
「...私と彼女じゃ...事情が違うの。」
「...」
「...水長さんずっと震えて怯えてるの...私は...水長さんが勇気のない人だとは思わない。
だって...友達が危険な場所に、行こうとしてるのを止めに行くくらいだよ? それもわざわざあんな時間に...自分が住んでる家から離れてるあの火事現場まで」
それだけじゃない...夢の中な話とはいえ、工事現場で見つけた鶏を確保しようとしたり、できないとわか りつつ、消火しようとする行動力はある...
その彼女が、「やる」とすんなり答えられる状況じゃない。 なのに、どうしてそれを強制してやれと私に言えるだろうか...
でも、この状況を前に私の意思を通すのは無理な話だった。
「もし...急を要するような...それこそ、この前のように少し切り傷ができるだけなら...急かしたりしたくないです。
僕だって、しかし急いで止めないとい被害が広がります、1人のために大勢犠牲が出ても、 構わないんですか!?
あなたが一番嫌がってたことですよ」
「でも!」
「木下さん!」
大きな声で名前を呼ばれる
数秒後には私の所にやってきて姿を現した。
この声は水長さんだ...気がつけば...自分の周りの炎や鶏の動きは止まっていた。
なるちゃんだ...
なるちゃんが時間を止めてくれたのだろう。
だから、水長さんも、火の海の中無理することなくここまでここにたどり着くことができたのだろう
水長さんは私の方を見ると
「ありがと、色々言ってくれて...もう...大丈夫だから」
といって光星くんの方を見る
「少年、どうしたらいい?
あたしまだ教えてもらってないからさ...」
「水長さん!」
私は水長さんの腕を掴む。
「待って!本当にそれでいいの!?ちゃんと考えた方が!」
でも、私の制止を水長さんは聞かなかった。
「いいの、もう...覚悟決めてきたから。」
そう言った水長さんの顔は、怯えているようには見えたけど...スッキリしているよ うに見えた。
「あたしのわがまま...聞いてくれて...」
水長さんは私の手を掴んでそう言った。
...違う。
...そうじゃない。
本音は........................。
でも...、本人の意思で決めたことに...私がとやかく言う権利は...どこにもなかった。
何があったかはわからない、
でも、もう、震えてはいなかった。
「...命の保証はしないよ。」
「上等」
それを同意と受け取った光星くんは私の時と同様にアクセサリを取り出し、水長さんに説明しながら渡す。
「ことさんこれを、 これで『高水弓雫』と唱えたら 武装できます。」
「わかった。」
水長さんはそれを受け取ると、言われた通りに呪文を唱えた
そうなると攻撃頼りになるけど...
小さい、早い、火で見えない、熱い、
この条件で攻撃を当てるのは難しい
「こう言うの習ったほうがいいのかな...」
でもそんなこと呟いてる場合じゃない。
とにかく攻撃を当てないと。
鶏がいる場所をめがけて何回も何回も振り落とすけど、 鶏の足はやっぱり早くて追いつかない。
しかも鶏は鶏で炎を吹き出してくるので、それもかわさなきゃいけない。
これを火の海の中で行なっている。
足の踏み場がだんだんなくなってきた...酸素も無くなって呼吸が浅くなってきてだ いぶ苦しい...
ゲホゲホ、ゼーゼー言いながらなんとかギリギリの状態で動く
熱い...
このままだと体の中も外も焼ける...
せめて水被ってからくるか、せめて水で濡らしたタオル持ってこればよかった...
多分それでもすぐに意味なくなっただろうけど... ほんと、これで1人でできるとか...我ながら甘いことを言ってたと思う。
鶏相手に攻撃を一つもまともに当てられないこのざまなんだから。 でも...やらなきゃ。
そう思ってなんと語っていられる状況のところで鶏に頭突きを食らった。 それもみぞおちに
「っ!」
思いっきりそれで倒れこんでしまう。
炎ばかりに気を取られて、こんな物理攻撃があるとは...完全に油断していた。
でも、意思だけでどうにかできる問題じゃない。
実力がなければ、単純に死ぬ。
でも...
「ルイさん!」
神様状態の光星くんが私の所に飛んでくる。
流石に、今の状況はやばいのかだいぶ心配そうな表情を浮かべた。
「何やってるんですか...これ以上は無謀ですよ!」
そう言うと私の額に手を添える。
一瞬体が光った...どうやら回復魔法みたいなのを使ってくれたらしい。
少しだけ、呼吸が楽になった。
「ルイさん、彼女呼びましょう!
わかったでしょ?これであなた1人では無理だって...」
そのセリフは最もだった。
言うことを聞くべきなのはわかってる。
それでも、まだ捨てられない
「だ、大丈夫!まだできるよ!
お願い、もうちょっとだけ!」
流石に私の往生際の悪さに光星くんは怒る。
「ルイさん!
今なるさんが炎食い止めてるからいいですけど
なるさんの力が切れたら、また火が回って 被害が大きくなりって、それこそ逃がしかねない」
それは...紛れもない正論...どうしようもない事実。
「わかってる...水長さんに頼む方が早い...確率は上がるって...光星くんが言ってることもわかる」
「でしたら!」
それでも、あの工事現場の時や今日...教室で話した時の水長さんが思い浮かぶ...
まだ、できる状態ではない...やらせるわけにはいかない。
「経験ない上に、覚悟出来てない彼女に...無理させたところで、相性がいいってだけで、勝てるほど甘いの?
加勢してもらって負ける可能性もあるでしょ?
それで、万一のことがあったら!?」
実際に、夢の中とはいえ、彼女はうまく力が使えなくて負けている。だからこその今の彼女の怯えだ。
それを無視することは私にはできない。
でも、神様である光星くんはそれを許すわけにはいかなかった。
「それを否定はしません、
でも数が増えるだけで戦力になりますし、 あなたと彼女の経験の差はたかだか数回そんなの大差ないです。
誰にでも最初はあります。ルイさんだってあったでしょ?
それが彼女にとって今日ってだけのことです。
初めてで不安はあるかもしれません、あんなに嫌がってたあなたも、今ではそれを 乗り越えて、積極的にこうして戦ってるじゃないですか」
「...私と彼女じゃ...事情が違うの。」
「...」
「...水長さんずっと震えて怯えてるの...私は...水長さんが勇気のない人だとは思わない。
だって...友達が危険な場所に、行こうとしてるのを止めに行くくらいだよ? それもわざわざあんな時間に...自分が住んでる家から離れてるあの火事現場まで」
それだけじゃない...夢の中な話とはいえ、工事現場で見つけた鶏を確保しようとしたり、できないとわか りつつ、消火しようとする行動力はある...
その彼女が、「やる」とすんなり答えられる状況じゃない。 なのに、どうしてそれを強制してやれと私に言えるだろうか...
でも、この状況を前に私の意思を通すのは無理な話だった。
「もし...急を要するような...それこそ、この前のように少し切り傷ができるだけなら...急かしたりしたくないです。
僕だって、しかし急いで止めないとい被害が広がります、1人のために大勢犠牲が出ても、 構わないんですか!?
あなたが一番嫌がってたことですよ」
「でも!」
「木下さん!」
大きな声で名前を呼ばれる
数秒後には私の所にやってきて姿を現した。
この声は水長さんだ...気がつけば...自分の周りの炎や鶏の動きは止まっていた。
なるちゃんだ...
なるちゃんが時間を止めてくれたのだろう。
だから、水長さんも、火の海の中無理することなくここまでここにたどり着くことができたのだろう
水長さんは私の方を見ると
「ありがと、色々言ってくれて...もう...大丈夫だから」
といって光星くんの方を見る
「少年、どうしたらいい?
あたしまだ教えてもらってないからさ...」
「水長さん!」
私は水長さんの腕を掴む。
「待って!本当にそれでいいの!?ちゃんと考えた方が!」
でも、私の制止を水長さんは聞かなかった。
「いいの、もう...覚悟決めてきたから。」
そう言った水長さんの顔は、怯えているようには見えたけど...スッキリしているよ うに見えた。
「あたしのわがまま...聞いてくれて...」
水長さんは私の手を掴んでそう言った。
...違う。
...そうじゃない。
本音は........................。
でも...、本人の意思で決めたことに...私がとやかく言う権利は...どこにもなかった。
何があったかはわからない、
でも、もう、震えてはいなかった。
「...命の保証はしないよ。」
「上等」
それを同意と受け取った光星くんは私の時と同様にアクセサリを取り出し、水長さんに説明しながら渡す。
「ことさんこれを、 これで『高水弓雫』と唱えたら 武装できます。」
「わかった。」
水長さんはそれを受け取ると、言われた通りに呪文を唱えた
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