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理想崩壊
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「ごめん、待った?」
背後から貴志の声が聞こえた。
待ち合わせ場所の駅の端で寒さに動じることなく凛とした雑草を眺めていた私は振り返った。
「ううん。今、来たとこ…」
喋っている途中で貴志を見た私は目を見開いたまま全ての動きが停止した。
え…?一体どうした⁇
目の前に立つ貴志は髪の毛をワックスで整えていて無駄に前が開いたコートの隙間から光沢のあるシルクのワインレッドのシャツが見えた。シャツのボタンが三個も開けられていて日に焼けた肌を覗かせている。
下は黒いスキニーパンツで黒の革靴が太陽光を反射させていた。
「俺なりにデイビッドを体現してみたんだ。」
照れ臭そうに鼻を掻く貴志を見たまま私の口はあんぐりと開いていた。
違う…何もかもが違う。
そもそもデイビッドの服装は白や青を基調とした爽やかルックが多い。黒やワインレッドなどを着ている姿は見たことがなかった。これは明らかな解釈違いである。
ただ貴志が本当のデイビッドの服装を理解して着用したとしても貴志の肌質や顔に似合う色味ではないため、今回の解釈ミスは功を成していた。ただ腑に落ちない。
貴志の格好が似合っていない訳ではない。むしろ上手く着飾ることが出来ている。
ただ私の好きな貴志ではなかった。私が好きな貴志は普段の貴志であって、無理に好きでもない服装をする貴志ではなかった。
「何か間違っている?」
自分の格好と私を交互に見ながら貴志が尋ねる。
「いや…全然。似合っているよ。」
私のためにこの服を買っていたのだとしたらここで彼のファッションを批判するのは不躾な気がした。とりあえず本音を隠す。本音は明かすタイミングが難しい。
「じゃあ、タクシーに乗ろうか。」
「え?」
貴志の言葉に間抜けな声で反応した。
今日は電車で遠出すると思っていた私はICカード乗車券に多めのチャージ金を入れていた。
「だってデイビッドは電車で乗り換えなんてしないでしょう?」
まるでデイビッドが親戚なのかと思うほど曇りなき眼で瞭然たる事実を述べる貴志。
「…うん、そうだね。」
駅のロータリーには事前に貴志が予約しておいたタクシーが停まって待っていた。リムジンよりも庶民的な乗り物であったことに安堵する。
それからタクシーに乗って物理的な距離が縮まると貴志の身体からいつもと違う匂いがした。
いつもは無臭の貴志の身体から嗅ぎ慣れない匂いがする。とても不自然な貴志らしくない匂いだ。
「なんかいつもと匂い違うね。」
走行するタクシーの中でそれとなく聞いてみた。
貴志は気づいてくれたことが嬉しかったのかいつもの読み取りづらい無表情を崩して笑みを浮かべた。
「分かってくれたんだ。里保ちゃんがデイビッドはいつも薔薇の香りがするって言うから薔薇の匂いがする香水を買ったんだ。俺は普段あんまりこういうのつけないし苦手なんだけど…里保ちゃんはやっぱり嗅ぎ慣れてるから落ち着くかなと思って…」
いや、全然、嗅ぎ慣れてません。
嗅ぎ慣れているのは妄想の世界だけであって実際には初めて薔薇の匂いがする香水を嗅ぎました。
ただ嗅ぎ慣れていると思われている手前、自らのプライドを保つために、「あ~そうだね。確かに落ち着く…」と平静を装いながら返答する。
愚かな私は素直な方が得をすると分かっていても言葉が裏返しになる時がある。
「着いたよ。」
しばらく車窓の景色を眺めているとビルが立ち並ぶ都会の景色にタクシーが停車した。貴志に言われてタクシーを降りる。私達の住む地域も都内だけどタクシーを降りた先の景色はいつもの住み慣れた地域よりも洗練された街並みだった。立ち並ぶビルの新しさが違う。どのビルも私達の街のビルよりも小洒落ていて寂れた雰囲気がなく最先端な景色だ。
「今日はここに泊まるんだよ。」
目の前を指す貴志の指先を目線で辿るといかにも高そうな宿泊ホテルが巨大に聳え立つ。
「え…?ここ…?」
高そう。すごいお金掛かるじゃん…
見た瞬間に素直に喜べなかったのは隣にいるのがデイビッドではなく貴志だからだ。
どうしてもスーパー勤務という肩書きとこのホテルの値段を想像して対比させてしまい、現実的思考が働いてしまう。
だから理想なんて体現しなくていいのに。
理想は悪魔で理想だ。もっと正確に言うならば妄想は悪魔で妄想だ。
これじゃない。私が欲しいものはこれじゃない。
「大きいね。」
気が進まないことを隠すようにチープな感想を述べた。
「あ、待って!里保ちゃん。」
エントランスに向かおうとしたところで貴志に呼び止められた。
「え、何?」
振り返って貴志を見ると目の前で跪いた貴志が両手いっぱいに真っ赤な薔薇の花束を抱えていた。
「君に、愛を。」
情熱的な言葉とは対照的に無表情の貴志が上目遣いに私を見て薔薇の花束を差し出す。その後ろではトランク内に落ちた薔薇の花びらを外に追い出してトランクを閉めるタクシーの運転手が貴志の背中を白い目で見ていた。
イタい。寒い。
この寒さは冬だからだろうか。丁度、私達の間に冷たい風が吹いて固まる私と微動だにしない貴志の髪が揺れた。
私のイタみが貴志に伝染した。
私は彼が両手に抱える薔薇の花束よりもその後ろをチラチラと横目に見ながら通り過ぎて行く通行人に目がいってしまう。
ここまで堂々とされると私が恥ずかしくなってくる。
顔が熱くなるのを実感しながら慌ててその花束を受け取る。
「ありがとう。早く中に入ろう。」
貴志の両手から私の両手へと薔薇の花束が移送される。これを抱えてホテルのロビーに入る私は恥を捨てる覚悟だ。兎に角、早くホテルの中へ私とこの花束を隠しておくれ。
あまりに大きな薔薇の花束を抱えてロビーで貴志を待つ私は目を閉じてモヤモヤとした自分の気持ちに自問自答した。
貴志は頑張って理想を体現してくれている。それなのに何が気に入らないの?
貴志がデイビッドと同じ行動をしても喜びを感じられないのは何故?
分からない。私は、分からない。
あなたは貴志が好きなの?
あなたは何を求めているの?
分からない、何も分からない!
嗚呼、私、自分が分からない。
ただ一つ分かっていることはデイビッドとの日々を妄想して満足していた私はもういないってこと。
脳内でデイビッドが与えてくれるものを実際に与えて欲しかったわけではないみたいだ。
私はただ愛されたい、愛したい。
安心したい。誰かを愛して誰かに愛されて、普遍的な瞬間の幸せを感じたいだけなんだ。
赤い薔薇の本数よりも無限の愛を感じたい。
疑うことなく傷つくことなく人を愛したい。
それをこの人となら出来るかもしれない。そう思ったから会っていたんだ。
「里保ちゃん、お待たせ。上に行こう。」
貴志に言われて目を開けた。
その瞬間、恐怖を覚えた。
私のせいで貴志が貴志ではなくなってしまうのが恐い。
「うん、ありがとう。」
ベルボーイと三人でエレベーターに上がって部屋に向かった。
カードキーでドアが開けられる。
どんな部屋か心臓の鼓動が高鳴っていた。
開けられたドアの先の部屋内に入っていく。
妄想内ではデイビッドと泊まるホテルの部屋はいつもだだっ広く、都会の夜景を一望出来る大きな窓ガラスが私とデイビッドの姿を反射させていた。
今、私の現実世界に映るホテルの部屋は思っていたよりも広くなく、窓ガラスも大して大きくない。
ただベッドとテレビの大きさは想像を超えていた。頭の中でイメージしていても実際に見るとその大きさに言葉を失う。置かれているベッドが一台で、そこに枕が二つ並べられている様子に私の脳内は貴志との生々しい瞬間が一瞬にしてイメージされて私はまた小さな声で例のごとく呟く。
痛い。逃げたい。
「夜ご飯はフォワグラと和牛のロッシーニだって。」
貴志の口からフォワグラという言葉を聞く瞬間が訪れるとは思ってもみなかった。
ロッシーニって一体なに?
荷物の整理をする貴志の目を盗んでスマホでロッシーニを検索する。
ロッシーニとはイタリアの作曲家ジョアキーノ・ロッシーニから由来された肉とフォワグラとトリュフを組み合わせたフランス料理。
スマホで画像検索された料理の写真はどれも私がデイビッドとの妄想で使用している料理映像と同じものだった。でもそれをこれから本当に私が食べるの?貴志と一緒にテーブルマナーも分からないままナイフとフォークを親に持たされた子供のように拙い動きで肉を切りながら彼と見つめ合って食べるの⁇
そんなの耐えられない。
私の妄想は具現化なんて望んでいなかったんだ。
なんか違う。何かが違うの。
心にもやがかかった状態のまま、この空間にいたくないと叫んでいる。
嗚呼、私はどうしようもない。
大馬鹿者で臆病で夢見がちで妄想がリアルになった瞬間、拒み出す。
拒み出すんだ。馬鹿みたい。
逃げるんだ。逃げたくなってしまうんだ。
頭の中の私と現実の私はいつも想像と異なる姿をしている。
自分を客観視しないことは楽だから、痛くないから。
でもこんな風にリアルにされたら私は自分を無意識に客観視してしまう。
私ってこんなものを求めていたの?
私が欲しかったものはこれなの⁇
違う。全然、違う。
恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い‼︎‼︎
貴志くん、ごめんなさい。
本当にごめんなさい。
全部、私のせいです。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
私はきっと今からこの世界から逃げ出してしまう。
背後から貴志の声が聞こえた。
待ち合わせ場所の駅の端で寒さに動じることなく凛とした雑草を眺めていた私は振り返った。
「ううん。今、来たとこ…」
喋っている途中で貴志を見た私は目を見開いたまま全ての動きが停止した。
え…?一体どうした⁇
目の前に立つ貴志は髪の毛をワックスで整えていて無駄に前が開いたコートの隙間から光沢のあるシルクのワインレッドのシャツが見えた。シャツのボタンが三個も開けられていて日に焼けた肌を覗かせている。
下は黒いスキニーパンツで黒の革靴が太陽光を反射させていた。
「俺なりにデイビッドを体現してみたんだ。」
照れ臭そうに鼻を掻く貴志を見たまま私の口はあんぐりと開いていた。
違う…何もかもが違う。
そもそもデイビッドの服装は白や青を基調とした爽やかルックが多い。黒やワインレッドなどを着ている姿は見たことがなかった。これは明らかな解釈違いである。
ただ貴志が本当のデイビッドの服装を理解して着用したとしても貴志の肌質や顔に似合う色味ではないため、今回の解釈ミスは功を成していた。ただ腑に落ちない。
貴志の格好が似合っていない訳ではない。むしろ上手く着飾ることが出来ている。
ただ私の好きな貴志ではなかった。私が好きな貴志は普段の貴志であって、無理に好きでもない服装をする貴志ではなかった。
「何か間違っている?」
自分の格好と私を交互に見ながら貴志が尋ねる。
「いや…全然。似合っているよ。」
私のためにこの服を買っていたのだとしたらここで彼のファッションを批判するのは不躾な気がした。とりあえず本音を隠す。本音は明かすタイミングが難しい。
「じゃあ、タクシーに乗ろうか。」
「え?」
貴志の言葉に間抜けな声で反応した。
今日は電車で遠出すると思っていた私はICカード乗車券に多めのチャージ金を入れていた。
「だってデイビッドは電車で乗り換えなんてしないでしょう?」
まるでデイビッドが親戚なのかと思うほど曇りなき眼で瞭然たる事実を述べる貴志。
「…うん、そうだね。」
駅のロータリーには事前に貴志が予約しておいたタクシーが停まって待っていた。リムジンよりも庶民的な乗り物であったことに安堵する。
それからタクシーに乗って物理的な距離が縮まると貴志の身体からいつもと違う匂いがした。
いつもは無臭の貴志の身体から嗅ぎ慣れない匂いがする。とても不自然な貴志らしくない匂いだ。
「なんかいつもと匂い違うね。」
走行するタクシーの中でそれとなく聞いてみた。
貴志は気づいてくれたことが嬉しかったのかいつもの読み取りづらい無表情を崩して笑みを浮かべた。
「分かってくれたんだ。里保ちゃんがデイビッドはいつも薔薇の香りがするって言うから薔薇の匂いがする香水を買ったんだ。俺は普段あんまりこういうのつけないし苦手なんだけど…里保ちゃんはやっぱり嗅ぎ慣れてるから落ち着くかなと思って…」
いや、全然、嗅ぎ慣れてません。
嗅ぎ慣れているのは妄想の世界だけであって実際には初めて薔薇の匂いがする香水を嗅ぎました。
ただ嗅ぎ慣れていると思われている手前、自らのプライドを保つために、「あ~そうだね。確かに落ち着く…」と平静を装いながら返答する。
愚かな私は素直な方が得をすると分かっていても言葉が裏返しになる時がある。
「着いたよ。」
しばらく車窓の景色を眺めているとビルが立ち並ぶ都会の景色にタクシーが停車した。貴志に言われてタクシーを降りる。私達の住む地域も都内だけどタクシーを降りた先の景色はいつもの住み慣れた地域よりも洗練された街並みだった。立ち並ぶビルの新しさが違う。どのビルも私達の街のビルよりも小洒落ていて寂れた雰囲気がなく最先端な景色だ。
「今日はここに泊まるんだよ。」
目の前を指す貴志の指先を目線で辿るといかにも高そうな宿泊ホテルが巨大に聳え立つ。
「え…?ここ…?」
高そう。すごいお金掛かるじゃん…
見た瞬間に素直に喜べなかったのは隣にいるのがデイビッドではなく貴志だからだ。
どうしてもスーパー勤務という肩書きとこのホテルの値段を想像して対比させてしまい、現実的思考が働いてしまう。
だから理想なんて体現しなくていいのに。
理想は悪魔で理想だ。もっと正確に言うならば妄想は悪魔で妄想だ。
これじゃない。私が欲しいものはこれじゃない。
「大きいね。」
気が進まないことを隠すようにチープな感想を述べた。
「あ、待って!里保ちゃん。」
エントランスに向かおうとしたところで貴志に呼び止められた。
「え、何?」
振り返って貴志を見ると目の前で跪いた貴志が両手いっぱいに真っ赤な薔薇の花束を抱えていた。
「君に、愛を。」
情熱的な言葉とは対照的に無表情の貴志が上目遣いに私を見て薔薇の花束を差し出す。その後ろではトランク内に落ちた薔薇の花びらを外に追い出してトランクを閉めるタクシーの運転手が貴志の背中を白い目で見ていた。
イタい。寒い。
この寒さは冬だからだろうか。丁度、私達の間に冷たい風が吹いて固まる私と微動だにしない貴志の髪が揺れた。
私のイタみが貴志に伝染した。
私は彼が両手に抱える薔薇の花束よりもその後ろをチラチラと横目に見ながら通り過ぎて行く通行人に目がいってしまう。
ここまで堂々とされると私が恥ずかしくなってくる。
顔が熱くなるのを実感しながら慌ててその花束を受け取る。
「ありがとう。早く中に入ろう。」
貴志の両手から私の両手へと薔薇の花束が移送される。これを抱えてホテルのロビーに入る私は恥を捨てる覚悟だ。兎に角、早くホテルの中へ私とこの花束を隠しておくれ。
あまりに大きな薔薇の花束を抱えてロビーで貴志を待つ私は目を閉じてモヤモヤとした自分の気持ちに自問自答した。
貴志は頑張って理想を体現してくれている。それなのに何が気に入らないの?
貴志がデイビッドと同じ行動をしても喜びを感じられないのは何故?
分からない。私は、分からない。
あなたは貴志が好きなの?
あなたは何を求めているの?
分からない、何も分からない!
嗚呼、私、自分が分からない。
ただ一つ分かっていることはデイビッドとの日々を妄想して満足していた私はもういないってこと。
脳内でデイビッドが与えてくれるものを実際に与えて欲しかったわけではないみたいだ。
私はただ愛されたい、愛したい。
安心したい。誰かを愛して誰かに愛されて、普遍的な瞬間の幸せを感じたいだけなんだ。
赤い薔薇の本数よりも無限の愛を感じたい。
疑うことなく傷つくことなく人を愛したい。
それをこの人となら出来るかもしれない。そう思ったから会っていたんだ。
「里保ちゃん、お待たせ。上に行こう。」
貴志に言われて目を開けた。
その瞬間、恐怖を覚えた。
私のせいで貴志が貴志ではなくなってしまうのが恐い。
「うん、ありがとう。」
ベルボーイと三人でエレベーターに上がって部屋に向かった。
カードキーでドアが開けられる。
どんな部屋か心臓の鼓動が高鳴っていた。
開けられたドアの先の部屋内に入っていく。
妄想内ではデイビッドと泊まるホテルの部屋はいつもだだっ広く、都会の夜景を一望出来る大きな窓ガラスが私とデイビッドの姿を反射させていた。
今、私の現実世界に映るホテルの部屋は思っていたよりも広くなく、窓ガラスも大して大きくない。
ただベッドとテレビの大きさは想像を超えていた。頭の中でイメージしていても実際に見るとその大きさに言葉を失う。置かれているベッドが一台で、そこに枕が二つ並べられている様子に私の脳内は貴志との生々しい瞬間が一瞬にしてイメージされて私はまた小さな声で例のごとく呟く。
痛い。逃げたい。
「夜ご飯はフォワグラと和牛のロッシーニだって。」
貴志の口からフォワグラという言葉を聞く瞬間が訪れるとは思ってもみなかった。
ロッシーニって一体なに?
荷物の整理をする貴志の目を盗んでスマホでロッシーニを検索する。
ロッシーニとはイタリアの作曲家ジョアキーノ・ロッシーニから由来された肉とフォワグラとトリュフを組み合わせたフランス料理。
スマホで画像検索された料理の写真はどれも私がデイビッドとの妄想で使用している料理映像と同じものだった。でもそれをこれから本当に私が食べるの?貴志と一緒にテーブルマナーも分からないままナイフとフォークを親に持たされた子供のように拙い動きで肉を切りながら彼と見つめ合って食べるの⁇
そんなの耐えられない。
私の妄想は具現化なんて望んでいなかったんだ。
なんか違う。何かが違うの。
心にもやがかかった状態のまま、この空間にいたくないと叫んでいる。
嗚呼、私はどうしようもない。
大馬鹿者で臆病で夢見がちで妄想がリアルになった瞬間、拒み出す。
拒み出すんだ。馬鹿みたい。
逃げるんだ。逃げたくなってしまうんだ。
頭の中の私と現実の私はいつも想像と異なる姿をしている。
自分を客観視しないことは楽だから、痛くないから。
でもこんな風にリアルにされたら私は自分を無意識に客観視してしまう。
私ってこんなものを求めていたの?
私が欲しかったものはこれなの⁇
違う。全然、違う。
恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い‼︎‼︎
貴志くん、ごめんなさい。
本当にごめんなさい。
全部、私のせいです。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
私はきっと今からこの世界から逃げ出してしまう。
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