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10話
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ゴホッゴホッ
寝苦しさと息苦しさで数時間おきに目覚めてしまう。自室のベッドから起きてキッチンへ水を飲みに行く。この行動を何回も繰り返している。
昼食後に体調が悪化した俺は、部長へ報告し早退させてもらった。部長は「大丈夫ですか?」と何度も心配をしてくれた。
帰り支度している際、休憩から戻ってきた伊崎に連絡先が書いてある名刺を貰った。「暇な時は相手になるよ」と笑って言っていたが伊崎なりの優しさだと俺は解釈した。初めて携帯の連絡先に秀次以外の人を追加した。今後連絡先が増える事はないだろうと思いながらも内心とても嬉しかった。
「………。」咳止めの薬も解熱薬も飲んだので少しは落ち着いたが、以前身体は熱いまま。リビングのソファへ力無く座り込む。ゴロンと横になると、頭がズキズキと痛み出す。
「……秀次…」目を瞑りながら楽しかった日々の記憶を思い返す。大学生の頃に、秀次に一目惚れだと告白された。最初は???が沢山ついていたが一緒に過ごしていくうちに、俺も秀次の人当たりの良さ、面白さに惹かれていった。付き合い初めて1年目の記念日は一緒にケーキを買いに行ったり、映画を見たりしていた。今思えば、思い出は片手に収まる程しか無い。無意識に零れた涙がソファを濡らす。負の感情が風邪のせいで爆発している。
「……苦しい……よ」嗚咽を我慢しながら体を丸めた。
━━━━━━━━━━━━━━━「ん…」
懐かしい煙草の匂いで目が覚める。身体をゆっくりと起こしキョロキョロと辺りを見回す。覚醒しきれていない為、視界がぼやける。トンッと軽く誰かにぶつかる。
「…しゅ……じ…?」
「お。起きたか…?」眠たい目を擦りながら話しかけてくる秀次。
「な……んで。仕事は…?」
「仕事ならもうとっくに終わってるぞ。今日はなんも予定が無かったから真っ直ぐ帰ってきた。」
「そ…そっか。」笑顔で引き攣りそうな口元を必死に抑えながら話しかける。
「そういえば…、夜ご飯まだだよね…?」
「いや、もう食べた。病人に夜ご飯作らせるほど俺は屑じゃねーよ」笑いながら返事する秀次に「そうだよね…」と俺もつられて笑顔になる。
「今は体調どうだ…?」
「全然大丈夫だよ!軽くなった!!」頭や喉がまだ痛むが平気なフリをしてみせる。
「そっか。よかった」
「迷惑かけてごめんね…。体調管理これからは気をつけるよ!」
「その時は俺が又、面倒見てやるよ」
そう笑顔で言ってきたから、俺は大きくうん!と頷いた。
その日の夜俺は寝室で、秀次は自室で寝た。風邪を移されたくないのか、秀次は扉に「立入禁止」という張り紙を貼って自室に篭った。
俺は秀次の安眠を妨げない為にもマスクを嵌め、極力咳を出さないようにして寝た。
寝苦しさと息苦しさで数時間おきに目覚めてしまう。自室のベッドから起きてキッチンへ水を飲みに行く。この行動を何回も繰り返している。
昼食後に体調が悪化した俺は、部長へ報告し早退させてもらった。部長は「大丈夫ですか?」と何度も心配をしてくれた。
帰り支度している際、休憩から戻ってきた伊崎に連絡先が書いてある名刺を貰った。「暇な時は相手になるよ」と笑って言っていたが伊崎なりの優しさだと俺は解釈した。初めて携帯の連絡先に秀次以外の人を追加した。今後連絡先が増える事はないだろうと思いながらも内心とても嬉しかった。
「………。」咳止めの薬も解熱薬も飲んだので少しは落ち着いたが、以前身体は熱いまま。リビングのソファへ力無く座り込む。ゴロンと横になると、頭がズキズキと痛み出す。
「……秀次…」目を瞑りながら楽しかった日々の記憶を思い返す。大学生の頃に、秀次に一目惚れだと告白された。最初は???が沢山ついていたが一緒に過ごしていくうちに、俺も秀次の人当たりの良さ、面白さに惹かれていった。付き合い初めて1年目の記念日は一緒にケーキを買いに行ったり、映画を見たりしていた。今思えば、思い出は片手に収まる程しか無い。無意識に零れた涙がソファを濡らす。負の感情が風邪のせいで爆発している。
「……苦しい……よ」嗚咽を我慢しながら体を丸めた。
━━━━━━━━━━━━━━━「ん…」
懐かしい煙草の匂いで目が覚める。身体をゆっくりと起こしキョロキョロと辺りを見回す。覚醒しきれていない為、視界がぼやける。トンッと軽く誰かにぶつかる。
「…しゅ……じ…?」
「お。起きたか…?」眠たい目を擦りながら話しかけてくる秀次。
「な……んで。仕事は…?」
「仕事ならもうとっくに終わってるぞ。今日はなんも予定が無かったから真っ直ぐ帰ってきた。」
「そ…そっか。」笑顔で引き攣りそうな口元を必死に抑えながら話しかける。
「そういえば…、夜ご飯まだだよね…?」
「いや、もう食べた。病人に夜ご飯作らせるほど俺は屑じゃねーよ」笑いながら返事する秀次に「そうだよね…」と俺もつられて笑顔になる。
「今は体調どうだ…?」
「全然大丈夫だよ!軽くなった!!」頭や喉がまだ痛むが平気なフリをしてみせる。
「そっか。よかった」
「迷惑かけてごめんね…。体調管理これからは気をつけるよ!」
「その時は俺が又、面倒見てやるよ」
そう笑顔で言ってきたから、俺は大きくうん!と頷いた。
その日の夜俺は寝室で、秀次は自室で寝た。風邪を移されたくないのか、秀次は扉に「立入禁止」という張り紙を貼って自室に篭った。
俺は秀次の安眠を妨げない為にもマスクを嵌め、極力咳を出さないようにして寝た。
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