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2話

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「そういえば、今日病院に行ったんだよな?」

「…うん」

「結果どうだったんだ?」

どうせ風邪だろという顔でこちらを見てご飯を食べる秀次彼氏

「……風邪だった」

「だから俺が言っただろ?風邪なんだから薬飲んでおけば治るって」

「………うん。ごめんね、心配かけて」

病院からタクシーで帰宅後、グシャグシャになった診断書を小さくちぎって破り捨てた。処方された薬は施錠付きの箱に直し本棚の奥へ隠した。
夕食の準備をしている最中に、秀次が帰ってきて今に至る。

「また明日から忙しくなるから、電話とメールは控えてくれよ。から」

「うん。分かった」

鬱陶しいの言葉に胸がズキンと痛む。食事が美味しくない事なんて今までにあっただろうか。味がしない。

「……ご馳走様でした」

「もう食わないのか?」

「うん。ちょっと食欲がなくて……」

「食べて薬飲んだ方が早く治るんじゃないのか?」

「……そうだね。明日の朝ご飯にするよ。」

心配しないんだ。そんな言葉が出てきそうになるのを堪える。
秀次が好きだから…我慢しないと。そう思い込ませて、机の上の空の食器を下げる。
キッチンの洗い場に食器を置いてひとつため息をつく。

秀次は仕事をすると言い、部屋に篭もった。
すれ違う際、女物の香水の匂いがフワッと匂った。

「あぁ。また浮気か……。」
過去に2度浮気されて秀次と喧嘩をした。好きな人と喧嘩はしたくなかった。自分自身が傷つくと分かっていながら、それでも問い詰めた。

「俺だって欲求不満なんだよ!!病弱なお前を気遣って他抱いてるだけだろ!何が悪いんだよ!?面倒臭い女みたいになるな!大人しく俺の帰りを待ってろよ!」

「っ……!!」

あの時は今までそんな本音を隠してたのかという驚きと悲しみで胸がいっぱいになった。目尻に涙を溜めながら「そっか」とその場を後にして自分の部屋に籠った。

 好きな人にそんな事を思われていたのかと思いながらも、自分の体質を憎んだ。

喧嘩した次の日には、秀次から電話がきて「あれは本音じゃないんだ。誤解しないでくれ、愛してる。」と言われた。
俺もあの時はつい頭に血が上った為、秀次に当たってしまった。秀次の謝罪を受け入れて、その日の夜は仲良く一緒に寝た。







ポタッと何かが滴り落ちる感触がして我に返る。
「あっ…」
鼻血が出ていた。服の袖で拭うが止まらない。
「…そっか……。死んじゃうんだったな、俺。」
病院で言われた事を思い出し、止まらない鼻血に苦笑する。
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