君がくれた日常

青ムギ

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小説

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父さんが買ってきてくれた本は、とても面白くて一気に半分ほど読んでしまった。
 所々に絵が描かれていて頭の中でスムーズに想像することが出来た。
そして、『 第三章 』の所を読み終えたところでご飯が運ばれてきた。看護師の人からは「その小説面白い?」と聞かれ、ぎこちなく頷いた。まだ、父さんや母さん以外と話すのは緊張するし、言葉が詰まる。何を考えているのかが何も分からない。無理して話し掛けているのなら喋らなければいいのにと思ってしまう。
「…………ありがとうございます。」視線を逸らしながら小声で呟く。看護師には聞こえていなかった。
 ご飯を口に運び、何回も噛んで食べる。何も考えない様に食べ進めるが、さっきまで読んでいた小説の内容が、頭が離れず続きが気になって仕方なかった。そして、ご飯を食べ終わるとすぐに小説の続きを読み始める。細かい字ばかりで最初は飽きるだろうと思っていたが、内容はとても面白く読むのは苦ではなかった。





パタン
全部読み終えて、本を閉じる。
「面白かったな……。」
ふと時間が気になり壁に掛けてある時計に目をやると、時刻は深夜を回っていた。慌てて、歯を磨きベッドに入った。
 父さんがくれた小説を枕元の近くに置き、眠りについた。


朝、自然と目が開いた。
眠くもない。何故か気持ちのいい朝だった。上半身を毛布から起こし、背伸びをする。
「寒っ……。」
思わず室内の中の温度の低さに身震いをした。
外は風が強風の様に、吹いている。風邪ひきそうだな…。と窓の外を眺めながら、ボーッとする。
枕元の近くにある、机の上の携帯がピコンピコンと鳴る。
「また…メールかな………。」
電源を消そうかなと思い、携帯に手を伸ばす。通知を確認すると、やはりメールだった。それも親友から送られてくる脅迫メール。思わず、携帯を振り上げ地面に叩きわろうとしたが、やめた。無言で携帯の電源を切った。
「……あと少しだけ、自由にさせてよ……。」そうボソリと呟いた。
 また退院して学校に復帰したら、いじめるんだから今だけは自由にさせてよ…。そう心の中で静かに、強く反発する。
  壊れたはずの心がギュゥゥゥと締め付けられる。

みんな嫌い…。笑い声も、人を見る視線も、教室という空間も、すべてすべて嫌い。大嫌い。
 気分がどんどん下がっていき、慌てて別の事を考える。

「そういえば、母さん昨日何を言おうとしてたんだろう…。」
昨日、お見舞いに来た時何かを言おうとしてやめた。何か用事があったのかな?そう思いながら、母さんが言おうとしていた事を考える。
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