13 / 23
人生行路編
7話 氷魔法使いの誕生①
しおりを挟む
一か月の月日が流れ、アランさんたちと共にセフラン王国の外にある森の中で大漁発生している魔物を退治する依頼を受け、現在森の中を散策中。だけど、ここで一つ問題が……。
「魔物すらいない気がするんですが?」
そう、魔物の気配を一切感じないのだ。一体どういうことなのだろうか?
「気配遮断を持つ魔物が存在しているのかもね」
私の横にいるアランさんが淡々と口を開いた。気配遮断ってチート級のチートやん! そんな魔物いたら意外とやばくない?
「そんな魔物居たら大変なことじゃないですか!? 知らない間にセフラン王国に入ってきたら……」
「前にも教えたはずだけど、セフラン王国は魔物を寄せ付けない結界が張られている。まぁ、今は大丈夫だけど、あと一、二年くらいしか持たないかもしれないけどね」
「だからですよ! 弱まっている結界をその魔物たちが押しかけてきたら大変じゃないですかッ!」
「そうだねー。でもほら、何とかなるでしょ!」
「いやなんねぇよ!」
この人無責任すぎない? 何が『何とかなるでしょ』だ! 私は無責任変態魔術師の横にいるその親友に助けを求めた。
「ルイさ~ん、この人になんか言ってくださいよ~」
ルイさんは、苦笑いを浮かべながら首を傾げた。
「うーん、そうですね……。アラン、あまりルナさんを困らせないでくださいね?」
「分かってるとも!」
ぜっっったい分かってないわ、この魔術師。まぁいいや、ルイさんの横にいる、執事兼弟子のアノールも呆れているし。さっさと見つけて終わらせ……!?
「貴様らは人間か? エルフもいるのか」
私たちの背後に、突如物凄い魔力量を感じ取り、振り向くとそこには、白銀の髪色をした鬼人の姿があった。
「鬼人? だとしてもこの魔力量はどこから……」
私は目の前にいる鬼人を見つめると、鬼人は私に近寄ってきた。
「そこらの鬼人に見えるか? 小娘よ」
「見えません、けど?」
鬼人は私の顎に人差し指を置き、全女子が喜びそうな『顎クイ』をした。全くうれしくもないけど。男×男の『顎クイ』を見るのは美味しいし、楽しいわよ? 酷いもんは声にならない悲鳴を上げて気絶ものだし。でも、今の状況×訳の分からないイケメン鬼人の組み合わせでは、なんということも無いわ。だって、この世界に転生してきたとき、変態魔術師に初対面で抱き着かれたんだよ? 耐性も付くわけよ。しかもイケメンと毎日会話しているし、変態魔術師に吸われてるし慣れるわ。
「面白そうな小娘だな」
出たよ! 『面白れぇ女』みたいなやつ! 少女漫画とかであるある! キュンともせんわ。中身は三十のおばさんよ? 無理もないわ~。
「そうですか? 貴方も面白そうな鬼人ですねー」
「フハハハハハハハ! そうかそうか! 小娘名を名乗れ」
鬼人はどこか楽しげに、私の名前を問いかけた。アランさんと、ルイさんは黙ってこちらを見つめ、アノールは警戒しながら冷や汗を流している。私は普通に名を鬼人に名乗った。
「ルナ。それが私の名前だよ」
「ルナ。ルナか。いい名前だ。気に入った! 我はクロノス。神鬼人|《オーガロード》だ。我のもとに来るがいい! 損はさせぬ」
「神鬼人!?」
アノールは慌てながら私を後ろに隠した。神鬼人って上級クラスの魔物だっけ? こんな森に一匹でいるってどういうことなのかしら?
「目的は分からないけど、この子を渡すわけにはいかないよ」
「そうですよ。申し訳ありませんが、退治させていただきます」
アランさんとルイさんはそう言うと、杖を構え始めた。だが次の瞬間、クロノスは指をパチンと鳴らすと、私以外時が止まったように動かなくなってしまった。風も雲も動くことなく、ただ私とクロノスの二人だけの時間が流れた。
「小娘よ。さぁ来るがよい!」
いったいどうすればいいんだ!! そう心の中で叫んだのだった。
〈続く〉
「魔物すらいない気がするんですが?」
そう、魔物の気配を一切感じないのだ。一体どういうことなのだろうか?
「気配遮断を持つ魔物が存在しているのかもね」
私の横にいるアランさんが淡々と口を開いた。気配遮断ってチート級のチートやん! そんな魔物いたら意外とやばくない?
「そんな魔物居たら大変なことじゃないですか!? 知らない間にセフラン王国に入ってきたら……」
「前にも教えたはずだけど、セフラン王国は魔物を寄せ付けない結界が張られている。まぁ、今は大丈夫だけど、あと一、二年くらいしか持たないかもしれないけどね」
「だからですよ! 弱まっている結界をその魔物たちが押しかけてきたら大変じゃないですかッ!」
「そうだねー。でもほら、何とかなるでしょ!」
「いやなんねぇよ!」
この人無責任すぎない? 何が『何とかなるでしょ』だ! 私は無責任変態魔術師の横にいるその親友に助けを求めた。
「ルイさ~ん、この人になんか言ってくださいよ~」
ルイさんは、苦笑いを浮かべながら首を傾げた。
「うーん、そうですね……。アラン、あまりルナさんを困らせないでくださいね?」
「分かってるとも!」
ぜっっったい分かってないわ、この魔術師。まぁいいや、ルイさんの横にいる、執事兼弟子のアノールも呆れているし。さっさと見つけて終わらせ……!?
「貴様らは人間か? エルフもいるのか」
私たちの背後に、突如物凄い魔力量を感じ取り、振り向くとそこには、白銀の髪色をした鬼人の姿があった。
「鬼人? だとしてもこの魔力量はどこから……」
私は目の前にいる鬼人を見つめると、鬼人は私に近寄ってきた。
「そこらの鬼人に見えるか? 小娘よ」
「見えません、けど?」
鬼人は私の顎に人差し指を置き、全女子が喜びそうな『顎クイ』をした。全くうれしくもないけど。男×男の『顎クイ』を見るのは美味しいし、楽しいわよ? 酷いもんは声にならない悲鳴を上げて気絶ものだし。でも、今の状況×訳の分からないイケメン鬼人の組み合わせでは、なんということも無いわ。だって、この世界に転生してきたとき、変態魔術師に初対面で抱き着かれたんだよ? 耐性も付くわけよ。しかもイケメンと毎日会話しているし、変態魔術師に吸われてるし慣れるわ。
「面白そうな小娘だな」
出たよ! 『面白れぇ女』みたいなやつ! 少女漫画とかであるある! キュンともせんわ。中身は三十のおばさんよ? 無理もないわ~。
「そうですか? 貴方も面白そうな鬼人ですねー」
「フハハハハハハハ! そうかそうか! 小娘名を名乗れ」
鬼人はどこか楽しげに、私の名前を問いかけた。アランさんと、ルイさんは黙ってこちらを見つめ、アノールは警戒しながら冷や汗を流している。私は普通に名を鬼人に名乗った。
「ルナ。それが私の名前だよ」
「ルナ。ルナか。いい名前だ。気に入った! 我はクロノス。神鬼人|《オーガロード》だ。我のもとに来るがいい! 損はさせぬ」
「神鬼人!?」
アノールは慌てながら私を後ろに隠した。神鬼人って上級クラスの魔物だっけ? こんな森に一匹でいるってどういうことなのかしら?
「目的は分からないけど、この子を渡すわけにはいかないよ」
「そうですよ。申し訳ありませんが、退治させていただきます」
アランさんとルイさんはそう言うと、杖を構え始めた。だが次の瞬間、クロノスは指をパチンと鳴らすと、私以外時が止まったように動かなくなってしまった。風も雲も動くことなく、ただ私とクロノスの二人だけの時間が流れた。
「小娘よ。さぁ来るがよい!」
いったいどうすればいいんだ!! そう心の中で叫んだのだった。
〈続く〉
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
戦車で行く、異世界奇譚
焼飯学生
ファンタジー
戦車の整備員、永山大翔は不慮の事故で命を落とした。目が覚めると彼の前に、とある世界を管理している女神が居た。女神は大翔に、世界の安定のために動いてくれるのであれば、特典付きで異世界転生させると提案し、そこで大翔は憧れだった10式戦車を転生特典で貰うことにした。
少し神の手が加わった10式戦車を手に入れた大翔は、神からの依頼を行いつつ、第二の人生を謳歌することした。
異世界に転生!堪能させて頂きます
葵沙良
ファンタジー
遠宮 鈴霞(とおみやりんか)28歳。
大手企業の庶務課に勤める普通のOL。
今日は何時もの残業が無く、定時で帰宅途中の交差点そばのバス停で事件は起きた━━━━。
ハンドルを切り損なった車が、高校生3人と鈴霞のいるバス停に突っ込んできたのだ!
死んだと思ったのに、目を覚ました場所は白い空間。
女神様から、地球の輪廻に戻るか異世界アークスライドへ転生するか聞かれたのだった。
「せっかくの異世界、チャンスが有るなら行きますとも!堪能させて頂きます♪」
笑いあり涙あり?シリアスあり。トラブルに巻き込まれたり⁉
鈴霞にとって楽しい異世界ライフになるのか⁉
趣味の域で書いておりますので、雑な部分があるかも知れませんが、楽しく読んで頂けたら嬉しいです。戦闘シーンも出来るだけ頑張って書いていきたいと思います。
こちらは《改訂版》です。現在、加筆・修正を大幅に行っています。なので、不定期投稿です。
何の予告もなく修正等行う場合が有りますので、ご容赦下さいm(__)m
[完]異世界銭湯
三園 七詩
ファンタジー
下町で昔ながらの薪で沸かす銭湯を経営する一家が住んでいた。
しかし近くにスーパー銭湯が出来てから客足が激減…このままでは店を畳むしかない、そう思っていた。
暗い気持ちで目覚め、いつもの習慣のように準備をしようと外に出ると…そこは見慣れた下町ではなく見たことも無い場所に銭湯は建っていた…
転生先が森って神様そりゃないよ~チート使ってほのぼの生活目指します~
紫紺
ファンタジー
前世社畜のOLは死後いきなり現れた神様に異世界に飛ばされる。ここでへこたれないのが社畜OL!森の中でも何のそのチートと知識で乗り越えます!
「っていうか、体小さくね?」
あらあら~頑張れ~
ちょっ!仕事してください!!
やるぶんはしっかりやってるわよ~
そういうことじゃないっ!!
「騒がしいなもう。って、誰だよっ」
そのチート幼女はのんびりライフをおくることはできるのか
無理じゃない?
無理だと思う。
無理でしょw
あーもう!締まらないなあ
この幼女のは無自覚に無双する!!
周りを巻き込み、困難も何のその!!かなりのお人よしで自覚なし!!ドタバタファンタジーをお楽しみくださいな♪
欠損奴隷を治して高値で売りつけよう!破滅フラグしかない悪役奴隷商人は、死にたくないので回復魔法を修行します
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
主人公が転生したのは、ゲームに出てくる噛ませ犬の悪役奴隷商人だった!このままだと破滅フラグしかないから、奴隷に反乱されて八つ裂きにされてしまう!
そうだ!子供の今から回復魔法を練習して極めておけば、自分がやられたとき自分で治せるのでは?しかも奴隷にも媚びを売れるから一石二鳥だね!
なんか自分が助かるために奴隷治してるだけで感謝されるんだけどなんで!?
欠損奴隷を安く買って高値で売りつけてたらむしろ感謝されるんだけどどういうことなんだろうか!?
え!?主人公は光の勇者!?あ、俺が先に治癒魔法で回復しておきました!いや、スマン。
※この作品は現実の奴隷制を肯定する意図はありません
なろう日間週間月間1位
カクヨムブクマ14000
カクヨム週間3位
他サイトにも掲載
神に同情された転生者物語
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。
すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。
悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
転生したらチートでした
ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる