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2週目 [告白]
第22話 ~拓海Side~
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千秋ちゃんが僕を選んだ……?
一瞬の嬉しさの後、すぐにそんなはずはないと正常な脳が否定する。
「千秋ちゃんは、嘘つきだね」
そうやって優しい言葉ばかりかけるから、僕はダメになっていくのに。
「嘘なんかじゃない」
もう期待させないでと願うのに、彼は嘘であることを否定する。僕を選ぶということがどういう意味を持つのか、本当に千秋ちゃんは分かっているんだろうか。
嬉しさとも呆れとも怒りともつかない感情がぐるぐる渦巻いて、僕から「自制」という言葉を奪っていく。分かってないなら、分からせてしまえ。
「だったら僕が、何をしても愛し続けてくれるの」
彼を試すような、彼を傷つけるような、そんな棘のついた言葉が飛び出した。
スマホを耳に当てたまま階段を下りて、扉を開ける。
「そうじゃないなら、入らないで」
そんな風に言いながらも、もしこのまま彼が踵を返してしまったらどうしようと怖くて。答えを聞く前に、自分の部屋に戻ろうとした。だが一歩踏み出そうとしたとき、彼の手がそれを阻む。
「拓海」
彼は僕の家に入り、後ろ手に鍵を閉めた。
「僕を信じて」
……もう知らない。何度だって僕は、引き返すように言った。
それでも手を伸ばしたのは千秋ちゃんの方なんだから、
僕がその手を引っ張ったって、僕は悪くない。
欲しい、取り戻したい。千秋ちゃんは、昔から僕のものなんだ。
僕だけの千秋ちゃんで、千秋ちゃんだけの僕なんだから。
何も、間違ってなんかいない。
気付けば彼の手を引っ張って、ベッドの上に押し倒していた。
「なっ」
「動かないで」
状況を理解できないと固まっている彼に対して、僕から離れない「証」をつける。これでもう、自力で起き上がることさえ出来ない。
「逃げたくなったら『やめろ』って言って」
……そうしたら僕は、もう二度と千秋ちゃんに迷惑はかけないから。
そう言えば、彼は固まった表情を一変させ、強い視線で返してくる。
その真っすぐな視線に耐えられなくて、手で彼の目を塞ぎながらキスをした。
「っ、んんっ」
キスというより、それは彼の息を奪う行為。どうせこれで終わりならばと、自分の欲を満たすためだけにキスに溺れた。
「んむっ、んん……」
千秋ちゃんの体がジタバタと暴れ出す。息が苦しいために起こる生理的な反応なんだと理解する一方で、自分が拒まれているような気がして悲しかった。
ダメだよ。信じてって言ったからには、僕のことを拒まないで。
そう思い、舌まで使ったキスをする。彼が苦しがる仕草すら、僕が与えたものなのだと思うと幸せを感じてしまって。
何分そうしていたのだろう。満足して離れると、そこには荒く息をする千秋ちゃんの姿があった。何か言いたげだったさっきの目も、今は甘く蕩けていて脅威にはならない。
もっとほしい。千秋ちゃんの全てが。
1つになりたい。これで最後なら。
「やめろって、言ってくれないの?」
じゃなきゃ自分ではもう止められないから。僕を止めて。
僕が千秋ちゃんに、嫌われないように。
そんな僕の気持ちなんて露知らず、彼は残酷な優しさで答えた。
「言わ、ない」
ベッドの上に乗れば、ギシリと音が鳴る。
僕はゆっくりと、千秋ちゃんの服に手をかけた。
一瞬の嬉しさの後、すぐにそんなはずはないと正常な脳が否定する。
「千秋ちゃんは、嘘つきだね」
そうやって優しい言葉ばかりかけるから、僕はダメになっていくのに。
「嘘なんかじゃない」
もう期待させないでと願うのに、彼は嘘であることを否定する。僕を選ぶということがどういう意味を持つのか、本当に千秋ちゃんは分かっているんだろうか。
嬉しさとも呆れとも怒りともつかない感情がぐるぐる渦巻いて、僕から「自制」という言葉を奪っていく。分かってないなら、分からせてしまえ。
「だったら僕が、何をしても愛し続けてくれるの」
彼を試すような、彼を傷つけるような、そんな棘のついた言葉が飛び出した。
スマホを耳に当てたまま階段を下りて、扉を開ける。
「そうじゃないなら、入らないで」
そんな風に言いながらも、もしこのまま彼が踵を返してしまったらどうしようと怖くて。答えを聞く前に、自分の部屋に戻ろうとした。だが一歩踏み出そうとしたとき、彼の手がそれを阻む。
「拓海」
彼は僕の家に入り、後ろ手に鍵を閉めた。
「僕を信じて」
……もう知らない。何度だって僕は、引き返すように言った。
それでも手を伸ばしたのは千秋ちゃんの方なんだから、
僕がその手を引っ張ったって、僕は悪くない。
欲しい、取り戻したい。千秋ちゃんは、昔から僕のものなんだ。
僕だけの千秋ちゃんで、千秋ちゃんだけの僕なんだから。
何も、間違ってなんかいない。
気付けば彼の手を引っ張って、ベッドの上に押し倒していた。
「なっ」
「動かないで」
状況を理解できないと固まっている彼に対して、僕から離れない「証」をつける。これでもう、自力で起き上がることさえ出来ない。
「逃げたくなったら『やめろ』って言って」
……そうしたら僕は、もう二度と千秋ちゃんに迷惑はかけないから。
そう言えば、彼は固まった表情を一変させ、強い視線で返してくる。
その真っすぐな視線に耐えられなくて、手で彼の目を塞ぎながらキスをした。
「っ、んんっ」
キスというより、それは彼の息を奪う行為。どうせこれで終わりならばと、自分の欲を満たすためだけにキスに溺れた。
「んむっ、んん……」
千秋ちゃんの体がジタバタと暴れ出す。息が苦しいために起こる生理的な反応なんだと理解する一方で、自分が拒まれているような気がして悲しかった。
ダメだよ。信じてって言ったからには、僕のことを拒まないで。
そう思い、舌まで使ったキスをする。彼が苦しがる仕草すら、僕が与えたものなのだと思うと幸せを感じてしまって。
何分そうしていたのだろう。満足して離れると、そこには荒く息をする千秋ちゃんの姿があった。何か言いたげだったさっきの目も、今は甘く蕩けていて脅威にはならない。
もっとほしい。千秋ちゃんの全てが。
1つになりたい。これで最後なら。
「やめろって、言ってくれないの?」
じゃなきゃ自分ではもう止められないから。僕を止めて。
僕が千秋ちゃんに、嫌われないように。
そんな僕の気持ちなんて露知らず、彼は残酷な優しさで答えた。
「言わ、ない」
ベッドの上に乗れば、ギシリと音が鳴る。
僕はゆっくりと、千秋ちゃんの服に手をかけた。
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