上 下
2 / 4

02

しおりを挟む
優は、僕と付き合っていることを周りに言いたくないと言う。
それを尊重して、今までは学校では他人のフリをしていた。どれだけ抱きしめたくても、撫でにいきたくても、必死に理性を総動員して耐えてきた。
でもそれも今日で終わり。

とはいえ自分が優の前で行動を起こしてしまえば、僕が優に嫌われてまうという可能性も捨てきれない。それくらいで嫌う子ではないとは思うけれど、懸念材料は少ないにこしたことはない。
だから僕のことを好きだと言う女の子たちに、そっと噂が届くようにした。噂を流した張本人が僕だとバレないように、ネットや人脈を駆使しながら。
新島豊は宮森優に付きまとわれて困っているらしいって、そう噂を流した。

噂というものは、広がれば広がるほど真実味を増す。知っている人を見つければ、自分が聞いた話は本当のことなのだと思い込む。
ましてや、見る目のない多くの人間たちから見れば、新島豊は男でも惚れるような人気者のイケメンで、宮森優は友達のいない根暗なタイプときた。勝手に自分の中のステレオタイプに当てはめて、噂の信憑性を高めてくれる。

優に悪意の矛先が向くのに、そう時間はかからなかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼は罰ゲームでおれと付き合った

和泉奏
BL
「全部嘘だったなんて、知りたくなかった」

捨てた筈の恋が追ってきて逃がしてくれない

Q.➽
BL
18歳の愛緒(まなお)は、ある男に出会った瞬間から身も心も奪われるような恋をした。 だがそれはリスクしかない刹那的なもの。 恋の最中に目が覚めてそれに気づいた時、愛緒は最愛の人の前から姿を消した。 それから、7年。 捨てたつもりで、とうに忘れたと思っていたその恋が、再び目の前に現れる。 ※不倫表現が苦手な方はご注意ください。

魚上氷

楽川楽
BL
俺の旦那は、俺ではない誰かに恋を患っている……。 政略結婚で一緒になった阿須間澄人と高辻昌樹。最初は冷え切っていても、いつかは互いに思い合える日が来ることを期待していた昌樹だったが、ある日旦那が苦しげに花を吐き出す姿を目撃してしまう。 それは古い時代からある、片想いにより発症するという奇病だった。 美形×平凡

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

王子様の愛が重たくて頭が痛い。

しろみ
BL
「家族が穏やかに暮らせて、平穏な日常が送れるのなら何でもいい」 前世の記憶が断片的に残ってる遼には“王子様”のような幼馴染がいる。花のような美少年である幼馴染は遼にとって悩みの種だった。幼馴染にべったりされ過ぎて恋人ができても長続きしないのだ。次こそは!と意気込んだ日のことだったーー 距離感がバグってる男の子たちのお話。

若旦那からの甘い誘惑

すいかちゃん
BL
使用人として、大きな屋敷で長年奉公してきた忠志。ある日、若旦那が1人で淫らな事をしているのを見てしまう。おまけに、その口からは自身の名が・・・。やがて、若旦那の縁談がまとまる。婚礼前夜。雨宿りをした納屋で、忠志は若旦那から1度だけでいいと甘く誘惑される。いけないとわかっていながら、忠志はその柔肌に指を・・・。 身分差で、誘い受けの話です。 第二話「雨宿りの秘密」 新婚の誠一郎は、妻に隠れて使用人の忠志と関係を続ける。 雨の夜だけの関係。だが、忠志は次第に独占欲に駆られ・・・。 冒頭は、誠一郎の妻の視点から始まります。

どうしようもなく甘い一日

佐治尚実
BL
「今日、彼に別れを告げます」 恋人の上司が結婚するという噂話を聞いた。宏也は身を引こうと彼をラブホテルに誘い出す。 上司×部下のリーマンラブです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

【完結】王弟殿下の欲しいもの

325号室の住人
BL
王弟殿下には、欲しいものがある。 それは…… ☆全3話 完結しました

処理中です...