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◆復讐完了

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 ドノヴァンの静止を振り切り、わたくしは地下室へ。
 場所はもう分かっている。

 彼はいつものようにあそこには、なにもないと言っていた。
 でも、思えばリーシャをかばうためだったんだ。
 確信を得たわたくしは、ついに地下室へたどり着いた。この先にリーシャが!

 本当にいるのなら、容赦なく罰を与える。
 この手が血に染まってたとしても後悔はない。

 階段を下りていく。

 すると扉が開放されていた。……え、なぜ?

 もしやもうリーシャは気づいて逃げ出した?

 そっと降りると、そこには。


「………………」


 ズタボロになったリーシャの姿があった。
 その隣にはルークがいた。いつの間に。


「ルーク!」
「君がドノヴァンの気を引いてくれたおかげで、俺は侵入できた。たった今、リーシャは手足を失った」

「やっと復讐をしてくれたのね」
「そうだ。約束は果たす。時間がない、ティア。あとは君が」


 そうね、お父様の仇。
 リーシャにトドメを刺さないと気が済まない。


「どうすればいいの?」
「リーシャには油をかぶせた。火をつければ一瞬で丸焦げだ。しかも苦しんで死ぬ」
「それは朗報ね」


 ロウソクを受け取り、わたくしはリーシャのところへ。


「……こ、この…………悪魔」
「どっちが? リーシャ、あなたはわたくしの家どころかお父様の命まで奪った。しかも、ドノヴァンと共謀していたなんてね……最低だわ」

「や、やめて。火をつけるのだけは……」

「謝っても許さない。これはね、決して許されることではないの。一度犯した罪は消せない。決して……」

「償いをさせて!」
「さようなら、リーシャ」

 ロウソクを落とす。
 すると火が一瞬で燃え広がり、リーシャを焦がした。


「いやあああああああああああああああああ…………!!!」


 彼女は燃えてしまった。
 あっけない最後ではあった。でもこれでようやく気が晴れた。


「ティア、大丈夫かい」
「ありがとう、ルーク。でも、ドノヴァンが残っています」
「彼にも断罪を望むか」
「生き地獄で十分。財産の全てを奪い、彼は国外追放して」
「分かった。これが最後の復讐だ」
「お願い」

 あとはルークに任せた。


 ◆


 数日後、ドノヴァンは国外追放された。
 彼の家はそのまま、わたくしが受け継ぐことに。ルークのおかげで、すべてがわたくしのモノとなった。

 ダニエルもだけど、わたくしは伯爵とは縁がないようだ。

 もう恋愛は懲り懲りかなと思った。
 でも。


「すべてが終わった。ティア、俺は家に戻るが」
「ルーク、ここで住みなさいな」
「……しかし」
「もう復讐は終わり。わたくしと一緒になりなさい」
「いいのか、俺で」
「ええ。あなたとは気が合いそうなので。それに、嫌いではないの」
「俺もだ。相性がいいと感じていたんだ」
「では、これからはこの家に住むといいわ」

「ありがとう。では、そうしよう」
「これからもよろしく、バルバトス」

 わたくしは、あえて本当の名前を呼んだ。そう、これからは嘘偽りはない。秘密もない。


「いつか結婚してくださいな」
「分かった。これからは貴族のバルバトスとして生きる。婚約を結ぼう」
「嬉しいです」


 ようやく本当の幸せを見つけた。
 彼こそがわたくしの運命の人だったのだ。


 その後、バルバトスはわたくしだけを愛し続けてくれた――。
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