11 / 13
◆婚約もしません
しおりを挟む
書かれていた内容に目を疑った。
でも、これはドノヴァンの直筆。間違いない。
『リーシャ、あの時はよくやってくれた。いつでも我が家へおいで。地下室で君を匿おう』
わたくしの家を放火した後に送った手紙のようだった。
家においでって……つまり、わたくしはリーシャと共に過ごしていた……ということ?
「ね、ねえ、ルーク。リーシャはどこにいたの……」
「手紙の通りだ。リーシャはドンヴァンの家の地下室に匿われている」
「そんな! 嘘よ! そんなわけないじゃない!!」
「信じられないだろうね。だが、事実だ」
「こ、この手紙は偽物でしょう!?」
「直筆だと分かっているはずだ。手紙は写しだがな」
……ああ、終わった。
ドノヴァンは、わたくしを裏切っていた。それも最初から。
彼はわたくしなんてどうでも良かったんだ。
あの笑顔も、好きという言葉も、愛の言葉もなにもかもが偽り。ただ、騙すために近づいてきたんだ。
「悔しい……悔しいです」
「その為の俺だ。ドノヴァンもリーシャも抹殺する」
「……お願いします。でも、少しだけ待って」
「なにをする気だ」
「ドノヴァンに一言だけ申したいんです」
「今さらなにを」
「それは秘密。それより手紙を借ります」
わたくしは急いでドノヴァンの家へ向かった。
戻って早々、彼を探す。
地下室を確認したいところだけど、それよりも彼だ。
メイドから所在を聞き、ドノヴァンを発見。
広間でくつろいでいた。
「怖い顔をしてどうしたんだい、ティア」
「ドノヴァン! よくも騙したわね!」
「……? な、なにを言っているんだ。なにも騙しちゃいない」
「では、この手紙はなんですか」
手紙の写しを突きつける。
すると、ドノヴァンは青ざめていた。
「……なぜこれが」
「やっぱり。リーシャを地下室に匿っていたんですね! 最低ですよ!」
「ティア、私は君の為を思って……」
「は? あんな殺人犯を庇うとか意味分からないです。探し出して罰を与えるのではなかったのですか!」
そう、ドノヴァンはそう言っていた。
騎士団とかも頼って探し出させていた。
なのに、どうして。
「そ、それは…………」
「もういい。ドノヴァン、貴方とは一緒になれないわ。婚約もしませんし、以後は敵よ」
「ティア……」
「名前を呼ばないで。覚えておくことね、ドノヴァン……ただでは済まさないわ」
テーブルの上にあった羽ペンを取り、わたくしはドノヴァンの右手の甲に突き刺した。
「があああああッ!?」
「……謝ってももう遅い。復讐してやる」
「…………う、うぅ」
痛みに悶えるドノヴァン。けれど、わたくしの心の方が傷ついているし、ずっと痛い。まだまだ足りない。
もう許せない。
今から地下室へ向かうことにした。
でも、これはドノヴァンの直筆。間違いない。
『リーシャ、あの時はよくやってくれた。いつでも我が家へおいで。地下室で君を匿おう』
わたくしの家を放火した後に送った手紙のようだった。
家においでって……つまり、わたくしはリーシャと共に過ごしていた……ということ?
「ね、ねえ、ルーク。リーシャはどこにいたの……」
「手紙の通りだ。リーシャはドンヴァンの家の地下室に匿われている」
「そんな! 嘘よ! そんなわけないじゃない!!」
「信じられないだろうね。だが、事実だ」
「こ、この手紙は偽物でしょう!?」
「直筆だと分かっているはずだ。手紙は写しだがな」
……ああ、終わった。
ドノヴァンは、わたくしを裏切っていた。それも最初から。
彼はわたくしなんてどうでも良かったんだ。
あの笑顔も、好きという言葉も、愛の言葉もなにもかもが偽り。ただ、騙すために近づいてきたんだ。
「悔しい……悔しいです」
「その為の俺だ。ドノヴァンもリーシャも抹殺する」
「……お願いします。でも、少しだけ待って」
「なにをする気だ」
「ドノヴァンに一言だけ申したいんです」
「今さらなにを」
「それは秘密。それより手紙を借ります」
わたくしは急いでドノヴァンの家へ向かった。
戻って早々、彼を探す。
地下室を確認したいところだけど、それよりも彼だ。
メイドから所在を聞き、ドノヴァンを発見。
広間でくつろいでいた。
「怖い顔をしてどうしたんだい、ティア」
「ドノヴァン! よくも騙したわね!」
「……? な、なにを言っているんだ。なにも騙しちゃいない」
「では、この手紙はなんですか」
手紙の写しを突きつける。
すると、ドノヴァンは青ざめていた。
「……なぜこれが」
「やっぱり。リーシャを地下室に匿っていたんですね! 最低ですよ!」
「ティア、私は君の為を思って……」
「は? あんな殺人犯を庇うとか意味分からないです。探し出して罰を与えるのではなかったのですか!」
そう、ドノヴァンはそう言っていた。
騎士団とかも頼って探し出させていた。
なのに、どうして。
「そ、それは…………」
「もういい。ドノヴァン、貴方とは一緒になれないわ。婚約もしませんし、以後は敵よ」
「ティア……」
「名前を呼ばないで。覚えておくことね、ドノヴァン……ただでは済まさないわ」
テーブルの上にあった羽ペンを取り、わたくしはドノヴァンの右手の甲に突き刺した。
「があああああッ!?」
「……謝ってももう遅い。復讐してやる」
「…………う、うぅ」
痛みに悶えるドノヴァン。けれど、わたくしの心の方が傷ついているし、ずっと痛い。まだまだ足りない。
もう許せない。
今から地下室へ向かうことにした。
4
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
私の婚約者はお姉さまが好きなようです~私は国王陛下に愛でられました~
安奈
恋愛
「マリア、私との婚約はなかったことにしてくれ。私はお前の姉のユリカと婚約したのでな」
「マリア、そういうことだから。ごめんなさいね」
伯爵令嬢マリア・テオドアは婚約者のカンザス、姉のユリカの両方に裏切られた。突然の婚約破棄も含めて彼女は泣き崩れる。今後、屋敷でどんな顔をすればいいのかわからない……。
そこへ現れたのはなんと、王国の最高権力者であるヨハン・クラウド国王陛下であった。彼の救済を受け、マリアは元気づけられていく。そして、側室という話も出て来て……どうやらマリアの人生は幸せな方向へと進みそうだ。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
家に代々伝わる髪色を受け継いでいないからとずっと虐げられてきていたのですが……。
四季
恋愛
メリア・オフトレスは三姉妹の真ん中。
しかしオフトレス家に代々伝わる緑髪を受け継がず生まれたために母や姉妹らから虐げられていた。
だがある時、トレットという青年が現れて……?
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
穏便に婚約解消する予定がざまぁすることになりました
よーこ
恋愛
ずっと好きだった婚約者が、他の人に恋していることに気付いたから、悲しくて辛いけれども婚約解消をすることを決意し、その提案を婚約者に伝えた。
そうしたら、婚約解消するつもりはないって言うんです。
わたくしとは政略結婚をして、恋する人は愛人にして囲うとか、悪びれることなく言うんです。
ちょっと酷くありません?
当然、ざまぁすることになりますわね!
嫌われ伯爵令嬢の生涯
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」に投稿しています。
伯爵令嬢のオリビアは「塵嬢」と陰で蔑まれていた。意味もなく理不尽に虐待する両親に所為だった。一方妹のアイラは両親に溺愛されていた。両親が家計を顧みない莫大な費用を惜しみなく投じて「宝嬢」と呼ばれるまで美しく着飾っていた。社交の場で恥をかかされ、祖父母が決めてくれていた婚約者まで妹に奪われた。相続するはずだった公爵位は、相続する前に餓死させられ妹のモノになった。恨みを飲んで死んだオリビアの魂は、過去に死の戻る奇跡を起こした。
聖女である御姉様は男性に抱かれたら普通の女になりますよね? だから、その婚約者をわたしに下さいな。
星ふくろう
恋愛
公爵家令嬢クローディアは聖女である。
神様が誰かはどうだっていい。
聖女は処女が原則だ。
なら、婚約者要りませんよね?
正妻の娘である妹がそう言いだした時、婚約者であるこの国の王子マクシミリアンもそれに賛同する。
狂った家族に婚約者なんか要らないわ‥‥‥
クローディアは、自分の神である氷の精霊王にある願いをするのだった。
他の投稿サイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる