わたしを捨てた騎士様の末路

夜桜

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レスター総督

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 赤い月が夜空を照らす。
 あれから夜になった。

 騎士団長ウィルのお屋敷に招かれたわたしは、お言葉に甘えてお邪魔することにした。

「エレナ、事件が解決しそうだよ」
「本当ですか。ロレインの足取りは……?」
「それが彼女の行方は分からないんだ。忽然と消えてしまってね」


 最高議長が処刑されたというのに、ロレインは姿を現さなかった。こんな時に姿も見せないなんて……。

「これからどうなるんでしょうか」
「最高議長は新しく選出されるだろう。ロレインは、騎士団が捜索する。……フレンは三日以内には処刑だろうね」

「悲しいです」
「エレナは優しいんだね。でも、彼等は罪を犯した大罪人。仕方ないんだ」

 優しく肩に触れて慰めてくれるウィル。
 おかげでわたしは前へ進めそうだった。

 食事も近くなったので、いったん今日の事件を忘れることにした。今はゆっくりウィルとの時間を過ごしたい。彼もそれを望んでいる。


 食堂へ連れて行かれると、そこには長テーブルが。豪華な料理が並べられていた。奥には既に人が座っていた。こちらに気づくと立ち上がって明るい表情でウィルとわたしを見据えた。


「おぉ、ウィル。それにノッティンガム家のご令嬢もようこそ」
「おじさん、いたんですね。エレナ、この方はレスター総督だ」

 レスター総督といえば、周辺国を支配しているという凄腕の将校。噂の数々を耳にしている。戦においては秀でている方だ。

「はじめまして。エレナです」
「これは美しい。ウィルにはもったいないお嬢さんだ」

 強面だから、ちょっと怖い人なのかなって思ったけど提督はニッコリ笑った。

「おじさん、それよりも食事にしましょう」
「うむ、そうだな。積もる話もあるからな」
「最高議長の件ですか」
「それだ。それを聞きに飛んできた」
「食事時に話す内容ではないですよ。後にしましょう」
「仕方ないな。では、明日にしよう」
「もう帰るんですか?」
「二人の邪魔をするわけにはいかないからな。ウィル、気をつけるんだぞ」


 ニカッと笑って総督は食堂から去って行った。
 良かったのかな。
 わたしはウィルと二人きりで嬉しいけど。
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