9 / 18
元老院議長の疑惑
しおりを挟む
「さて、そろそろ行こうか」
突然立ち上がるウィルは、わたしに手を伸ばした。
「どこへ向かうのですか?」
「フレンたちと会うのさ」
「え……フレンと? 部下に命令してあるのでは?」
「そっちじゃないさ。元老院のいる城へ向かう」
よく分からないまま、わたしは連れ出された。お城って、あの皇帝陛下がいらっしゃるお城のこと……。
その中にはもちろん元老院もいる。
でもどうして、わざわざ?
インペリウム帝国の中央に位置するお城へ向かい、気づけば城内を歩いていた。
元老院のいる部屋に入って早々、彼等が振り向いた。その中の白髪の老人がウィルに気づいて歩み寄ってきた。
「これはこれは騎士団長殿」
「グロスター最高議長。お久しぶりです」
「隣国との戦でお忙しい身と聞いているがね」
「部下が優秀なもので、自分に出番がないのですよ。それよりもお話があります」
「そうか、それは頼もしい限り。して、何用かな」
ウィルは堂々した表情でグロスター最高議長を見据え、静かに睨んだ。
「最高議長、あなたを国家反逆罪の疑いで連行します」
その衝撃的な内容にわたしも、その場にいた元老院の議員たちも驚きを隠せないでいた。
「ば、ばかな……! グロスター最高議長に国家反逆罪の疑い!?」「ありえぬ……ありえぬぞ。議長は誰よりも帝国を思っておられるのだぞ」「なにを根拠に……」「いくら騎士団長といえど、これは越権行為! 断じて許されることではないぞ!」
騒然となって、わたしは不安になった。ウィルは、あんなことを言ったけど大丈夫なんだろうか……。
「ウィル様……」
「大丈夫だよ、エレナ」
少しすると、騎士が慌しくやってきた。
「報告いたします! グロスター最高議長が“偽造の許可証”を依頼したと、闇取引に応じたセーリングという者が自供いたしました」
その瞬間、議員たちは疑いの眼差しを議長に向けた。これで議長の立場はかなり危うくなった。そっか、ウィルはこれを待っていたんだ。
「……ぐ、ぐぅ。なぜ……」
「議長、あなたの罪はこれだけではない。奴隷商も裏で動かしているようですね」
「……そ、それは……」
ま、まさか……そうだったの!?
突然立ち上がるウィルは、わたしに手を伸ばした。
「どこへ向かうのですか?」
「フレンたちと会うのさ」
「え……フレンと? 部下に命令してあるのでは?」
「そっちじゃないさ。元老院のいる城へ向かう」
よく分からないまま、わたしは連れ出された。お城って、あの皇帝陛下がいらっしゃるお城のこと……。
その中にはもちろん元老院もいる。
でもどうして、わざわざ?
インペリウム帝国の中央に位置するお城へ向かい、気づけば城内を歩いていた。
元老院のいる部屋に入って早々、彼等が振り向いた。その中の白髪の老人がウィルに気づいて歩み寄ってきた。
「これはこれは騎士団長殿」
「グロスター最高議長。お久しぶりです」
「隣国との戦でお忙しい身と聞いているがね」
「部下が優秀なもので、自分に出番がないのですよ。それよりもお話があります」
「そうか、それは頼もしい限り。して、何用かな」
ウィルは堂々した表情でグロスター最高議長を見据え、静かに睨んだ。
「最高議長、あなたを国家反逆罪の疑いで連行します」
その衝撃的な内容にわたしも、その場にいた元老院の議員たちも驚きを隠せないでいた。
「ば、ばかな……! グロスター最高議長に国家反逆罪の疑い!?」「ありえぬ……ありえぬぞ。議長は誰よりも帝国を思っておられるのだぞ」「なにを根拠に……」「いくら騎士団長といえど、これは越権行為! 断じて許されることではないぞ!」
騒然となって、わたしは不安になった。ウィルは、あんなことを言ったけど大丈夫なんだろうか……。
「ウィル様……」
「大丈夫だよ、エレナ」
少しすると、騎士が慌しくやってきた。
「報告いたします! グロスター最高議長が“偽造の許可証”を依頼したと、闇取引に応じたセーリングという者が自供いたしました」
その瞬間、議員たちは疑いの眼差しを議長に向けた。これで議長の立場はかなり危うくなった。そっか、ウィルはこれを待っていたんだ。
「……ぐ、ぐぅ。なぜ……」
「議長、あなたの罪はこれだけではない。奴隷商も裏で動かしているようですね」
「……そ、それは……」
ま、まさか……そうだったの!?
304
お気に入りに追加
618
あなたにおすすめの小説

ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。

彼が愛した王女はもういない
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
シュリは子供の頃からずっと、年上のカイゼルに片想いをしてきた。彼はいつも優しく、まるで宝物のように大切にしてくれた。ただ、シュリの想いには応えてくれず、「もう少し大きくなったらな」と、はぐらかした。月日は流れ、シュリは大人になった。ようやく彼と結ばれる身体になれたと喜んだのも束の間、騎士になっていた彼は護衛を務めていた王女に恋をしていた。シュリは胸を痛めたが、彼の幸せを優先しようと、何も言わずに去る事に決めた。
どちらも叶わない恋をした――はずだった。
※関連作がありますが、これのみで読めます。
※全11話です。



婚約破棄のその後に
ゆーぞー
恋愛
「ライラ、婚約は破棄させてもらおう」
来月結婚するはずだった婚約者のレナード・アイザックス様に王宮の夜会で言われてしまった。しかもレナード様の隣には侯爵家のご令嬢メリア・リオンヌ様。
「あなた程度の人が彼と結婚できると本気で考えていたの?」
一方的に言われ混乱している最中、王妃様が現れて。
見たことも聞いたこともない人と結婚することになってしまった。

あの子を好きな旦那様
はるきりょう
恋愛
「クレアが好きなんだ」
目の前の男がそう言うのをただ、黙って聞いていた。目の奥に、熱い何かがあるようで、真剣な想いであることはすぐにわかった。きっと、嬉しかったはずだ。その名前が、自分の名前だったら。そう思いながらローラ・グレイは小さく頷く。
※小説家になろうサイト様に掲載してあります。

愛する人の手を取るために
碧水 遥
恋愛
「何が茶会だ、ドレスだ、アクセサリーだ!!そんなちゃらちゃら遊んでいる女など、私に相応しくない!!」
わたくしは……あなたをお支えしてきたつもりでした。でも……必要なかったのですね……。

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる