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重要な話
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緊張が激しく増していく。
胸の奥で高ぶる気持ちが抑えられない。顔が炎のように熱くなって、ウィルの顔をまともに見られなかった。
「どうしたんだい、エレナ」
「……そ、その。申し訳ございません……」
「どうして謝る。というか、顔が赤いね」
「こ、これは……日傘を忘れたせいで熱に当てられて……しまったんです」
苦しい言い訳だった。
多分きっとウィル様なら、簡単に看破してしまう。恥ずかしいことを口にしてしまったと自己嫌悪に陥り、余計に全身が火照る。
「俺としたことが、すまない。エレナの肌は雪のように白くて綺麗だから、繊細なんだ。日陰へ行こうか」
「気を遣っていただき、感謝します」
少し歩いて大樹の元へ。
この屋敷をずっと見守ってきた巨大な木。小さな頃は、ここで眠ることもあった。
「どうぞ、エレナ。こんなハンカチで申し訳ないけど」
ウィルは、わざわざ地面にハンカチを敷いてくれた。なんて紳士な方。ちょっとしたことでも、わたしは嬉しくて感激だった。
さすが、騎士団を率いているだけある。みんなに信頼され、慕われている姿を何度も目撃した。彼こそ騎士団長に相応しい。この性格の良さが人気の秘訣なんだろう。わたしも、すっかり虜になっていた。
「ありがとうございます」
「ところでエレナ。重要な話がある」
「重要な話、ですか」
「……ああ、さっき会ってくれたロレイン・グロスターのことなんだけどね」
「あの女の子がどうされたのですか?」
「うん、実はね……驚くかもしれないけど、彼女とフレンには繋がりがあるかもしれないんだ」
「……え?」
信じらないような話を聞かされ、耳を疑った。
フレンとロレインに……繋がり?
まって、どういうこと……?
「もしかしたら、ロレインはフレンを助けるかもね」
「そ、それって逃亡の恐れがあると?」
「かもね。でも大丈夫だ。俺は常にあらゆる可能性を想定している。信頼できる一部の部下に命令を出してあるから」
すごい。ウィルは常に未来を見据えて準備してあるんだ。なら、きっとロレインに企みがあったとしても騎士団が止めてくれるはず。わたしはウィルを信じたい――。
胸の奥で高ぶる気持ちが抑えられない。顔が炎のように熱くなって、ウィルの顔をまともに見られなかった。
「どうしたんだい、エレナ」
「……そ、その。申し訳ございません……」
「どうして謝る。というか、顔が赤いね」
「こ、これは……日傘を忘れたせいで熱に当てられて……しまったんです」
苦しい言い訳だった。
多分きっとウィル様なら、簡単に看破してしまう。恥ずかしいことを口にしてしまったと自己嫌悪に陥り、余計に全身が火照る。
「俺としたことが、すまない。エレナの肌は雪のように白くて綺麗だから、繊細なんだ。日陰へ行こうか」
「気を遣っていただき、感謝します」
少し歩いて大樹の元へ。
この屋敷をずっと見守ってきた巨大な木。小さな頃は、ここで眠ることもあった。
「どうぞ、エレナ。こんなハンカチで申し訳ないけど」
ウィルは、わざわざ地面にハンカチを敷いてくれた。なんて紳士な方。ちょっとしたことでも、わたしは嬉しくて感激だった。
さすが、騎士団を率いているだけある。みんなに信頼され、慕われている姿を何度も目撃した。彼こそ騎士団長に相応しい。この性格の良さが人気の秘訣なんだろう。わたしも、すっかり虜になっていた。
「ありがとうございます」
「ところでエレナ。重要な話がある」
「重要な話、ですか」
「……ああ、さっき会ってくれたロレイン・グロスターのことなんだけどね」
「あの女の子がどうされたのですか?」
「うん、実はね……驚くかもしれないけど、彼女とフレンには繋がりがあるかもしれないんだ」
「……え?」
信じらないような話を聞かされ、耳を疑った。
フレンとロレインに……繋がり?
まって、どういうこと……?
「もしかしたら、ロレインはフレンを助けるかもね」
「そ、それって逃亡の恐れがあると?」
「かもね。でも大丈夫だ。俺は常にあらゆる可能性を想定している。信頼できる一部の部下に命令を出してあるから」
すごい。ウィルは常に未来を見据えて準備してあるんだ。なら、きっとロレインに企みがあったとしても騎士団が止めてくれるはず。わたしはウィルを信じたい――。
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