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今度こそ止める
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食後の紅茶をいただき、まったりと過ごす。
クィントゥス様の作る料理があまりに美味しくて、嫌な事は全て忘れられた。
けれど、今宵も殺人鬼は貴族を狙って動いているはず。お父様なのか、わたしの想像する人なのか。
空気が重くなってきた。
きっともう……はじまっている。
「どうかしましたか、ソラナ様」
「クィントゥス様……その。今晩も恐ろしい事件が起きているのでは、と。お父様だとしたら、わたしは……」
「止めねばなりませんね」
まるで決意したかのような表情でクィントゥス様は、立ち上がった。
「え……」
「誰かがやるしかないのです」
「でも」
「あなたの悲しむ顔をこれ以上見たくない」
わたしはいつの間にか泣いていた。
その涙をクィントゥス様は指で掬ってくれた。
……そっか、わたし。
「……わたしも行きます」
「ソラナ様……しかし」
「さっきはお父様を止められなかった。止めるべきだったのです。だから、これ以上の被害を出さない為にも」
「分かりました。では十分な武器を持ち、向かいましょう」
「はい……」
正直怖い。
またお父様が襲ってこないとも限らない。それに本当の犯人がいるなら、とても危険。けれど、それでも。
もう立ち止まってはいられない。
「参りましょう」
席から立ち、家を出る。
外は既に暗闇に支配されている。
とても不気味な雰囲気と空気感。
「……」
「大丈夫ですか、ソラナ様」
「はい。クィントゥス様がいますから大丈夫です」
「なにがあっても私が守ります」
「ありがとうございます」
馬は目立つということで徒歩で向かうことに。
今度こそ殺人鬼を止める。
クィントゥス様の作る料理があまりに美味しくて、嫌な事は全て忘れられた。
けれど、今宵も殺人鬼は貴族を狙って動いているはず。お父様なのか、わたしの想像する人なのか。
空気が重くなってきた。
きっともう……はじまっている。
「どうかしましたか、ソラナ様」
「クィントゥス様……その。今晩も恐ろしい事件が起きているのでは、と。お父様だとしたら、わたしは……」
「止めねばなりませんね」
まるで決意したかのような表情でクィントゥス様は、立ち上がった。
「え……」
「誰かがやるしかないのです」
「でも」
「あなたの悲しむ顔をこれ以上見たくない」
わたしはいつの間にか泣いていた。
その涙をクィントゥス様は指で掬ってくれた。
……そっか、わたし。
「……わたしも行きます」
「ソラナ様……しかし」
「さっきはお父様を止められなかった。止めるべきだったのです。だから、これ以上の被害を出さない為にも」
「分かりました。では十分な武器を持ち、向かいましょう」
「はい……」
正直怖い。
またお父様が襲ってこないとも限らない。それに本当の犯人がいるなら、とても危険。けれど、それでも。
もう立ち止まってはいられない。
「参りましょう」
席から立ち、家を出る。
外は既に暗闇に支配されている。
とても不気味な雰囲気と空気感。
「……」
「大丈夫ですか、ソラナ様」
「はい。クィントゥス様がいますから大丈夫です」
「なにがあっても私が守ります」
「ありがとうございます」
馬は目立つということで徒歩で向かうことに。
今度こそ殺人鬼を止める。
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