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~さようなら皇子~

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 聖女として認められ、婚約を交わしてラスティ皇子のお城に迎えられて一か月。そのある日、目の前で信じられない光景を目撃してしまった。


「すまないな、リイン」
「こ、これはどういう事ですか! その胸に抱いていらしている女性は……まさか」

「そうだ、この女性はアムネシアさ。君もよく知っている幼馴染のメイドでね。やっぱり、優しい彼女が魅力に感じてね。気が変わったのさ」

「き、気が変わった!? それだけでわたしとの婚約を破棄なされるのですか?」

「そうだ。君の存在価値なんて聖女ってだけだ。すまないが、城から出て行ってくれ」


 ……そんな。
 わたしは『聖女』だから、その魅力しかなかったんだ。このラスティ皇子にとって、わたしはそれだけの価値しかなかった。


 愛なんてなかったんだ。

 そんなの酷すぎる。

 段々と許せなくなって、わたしは力を使った。



「二人だけ幸せにさせるわけないでしょ!! わたしはこのままじゃどん底よ!! 何もかも失ってしまうくらいなら、自爆してやる!!」


「――なっ、まて、リイン!!」


 皇子が止めてくるけど、わたしは構わず『爆発・・』した。



『ドォォォォォォォォオオオオオオン…………!!』



 大爆発が起きて城が粉々に吹き飛んだ。スゴイ威力で、気づけば瓦礫がれきの山。自爆を発動したわたしは一定時間の無敵状態で無事だった。そういう効果があった。


 他の皆は吹き飛んで消えた。



「あは…………あはははは!!」



「……く、くそぉ」

「な! ラスティ皇子、生きていたの!?」

「……毎日、腹筋と背筋をしていたからな。そして、この私はこの手製爆弾を使って、お前を滅ぼす。この呪われた聖女め!!」


 そう皇子は懐からポーションのびんを取り出した。あの紫の液体は……爆薬! まさか、そんな!


 けれど、彼が手にした時点で手製爆弾が暴発し、爆発。途轍もない威力で爆散してしまった……。


「……きゃっ!!」


 きっと、わたしの自爆の影響で手製爆弾に負荷が掛かっていたのかもしれない。結局、皇子は自爆して死んだ。あの幼馴染のメイドも巻き込んでしまっていた。



「……さようなら、皇子」



 わたしは、それから別の国の王子と恋に落ち、平和に暮らした。
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