その方は婚約者ではありませんよ、お姉様

夜桜

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第一話 婚約破棄

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 姉のニーナの力は恐ろしかった。
 わたしと婚約者であるブレンディを婚約破棄させ、彼を自分のものにした。明日には結婚するという。

「残念だったわね、マリサ。あんたを幸せになんてさせないから」
「…………」
「悔しい? 悔しいでしょうね」

 ニヤリと笑うニーナお姉様。
 けれど、わたしは心の中でお腹を抱えるほど笑っていた。
 なぜなら……。

「お姉様、そのブレンディという男が本当にわたしの元婚約者であると?」
「え……どういう意味?」

「きっとお姉様はわたしから婚約者を奪うと思っていた。なので、予め買収した犯罪者に婚約者のフリをしてもらっていたのです!」

「……は? ウソよ! だって、このブレンディと仲良くしていたじゃない!!」

 信じられないと、顔を真っ青にするお姉様。でも本当のことだった。
 お姉様は昔から、わたしの物を奪っていた。ずっと奪われるばかりの人生……やっと、今日お姉様に復讐ができた。

「そう見えたのなら仕方ないですね。ちなみに、ブレンディは貴族でもなければ住居もお金もない。あるのは、まともな服くらいです。良かったですね、お姉様」

「マリサ、あんた!!」

 怒って掴みかかってこようとするお姉様だけれど、わたしは避けた。

「自業自得でしょ。犯罪者と一緒に幸せになれて良かったですね!」

 わたしはお姉様の元を去った。
 これでもう屋敷にいる意味もなくなった。

 本当の婚約者のもとへ向かい、幸せになるんだ。
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