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婚約指輪

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 以降、ウィンフィールド伯爵からの嫌がらせが絶えなかった。


①暗殺者を雇ってわたしを殺そうとした
 剣やナイフで襲われた。けれど、どれも『反射』して撃退。

②水や飲み物に毒
 あらゆる毒を反射。
 毒を入れた人物が毒に侵されていた。

③覚えのない借金を背負わされた
 その借金すらも反射。
 伯爵に頼まれたらしい、隣人のカーティス夫妻による犯行だった。夫妻は路頭に迷っているようだ。

④家を燃やされた
 炎は放火魔に移った。

⑤言葉や手紙による脅迫
 すべての罵詈雑言を反射し、相手の胸に刻み込む。相手は発狂して廃人に。


 わたしにあらゆる攻撃、あるいは口撃は効かなかった。幼馴染のブルースさえいれば。そう、彼が傍にいればわたしは『幸福』でいられた。

 それがようやく分かった。

 だけど――ある日、彼は研究の為に隣国へ戻ると言った。


「ごめんね、エイラ」
「そ、そんな! 困ります!」

「仕方ないんだ。君の不幸体質を治さないといけないし」

「そんなのもういいんです! わたしの傍にさえいてくれれば……」
「だけど……。いや、分かった。エイラの傍にいよう」


 ブルースは、わたしの手を握ってくれた。笑顔を向け、納得してくれた。わたしも同じように笑顔を向ける。


「ありがとう、わたしの手を取ってくれるんですね」
「当たり前さ。それと……婚約指輪だ」

「……ブルース! 嬉しいっ」

「本当はエイラを治してからにしようと思っていたんだけどね。でも、エイラが僕と一緒にいて欲しいと望むなら、そうする」


 反射があまりに強力で、わたしとブルースの仲を裂いたりする者は誰も居なくなった。それから、彼とは幸せに暮らした。
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