さようなら、わたくしの騎士様

夜桜

文字の大きさ
88 / 90

はじまる結婚式

しおりを挟む
 ガルフォードは城に行っているらしく不在だった。

 ならばと、フェイルノートにミーシャのことを伝えることにした。
 一旦、ガウェイン騎士団を後にしてお店へ戻った。


「ミーシャという女性騎士が怪しいです」
「なるほど。彼女は“やるしかない”と言ったんだな」

「この耳で聞きました。間違いないです」
「解かった。俺からガルフォードに言っておく」
「よろしいのですか?」

「任せてくれ。俺もミーシャに警戒するから」
「お願いします」


 これでもう結婚式をぶち壊される心配はない。ライラの占いのおかげで幸せを掴めそう。

 そして、ついに“その日”がやってきた。


 わたくしは、まずお父様に会った。


「クリス、ついに結婚するのだな」
「はい。フェイルノート様と幸せになります」

「そうだな。フェイルノートならきっとお前を幸せにしてくれるであろう」


 お父様は寛容に認めて下さった。
 結婚式にも出席してくれることに。

 それから大叔母様も。


「ついにこの日が来たのね、クリス。幸せになりなさい」
「大叔母様……」

「フェイルノートは、あなたにこそ相応しいでしょう」

 と、今までまったく認めようとしなかった大叔母様が笑顔で、そう言い切った。これには、さすがのわたくしも驚いた。同時に、嬉しくもあった。

 鬼のような大叔母様がここまで言ってくれるとは。


「お嬢様。私はこれからも全力でお仕え致します」
「バルザック、あなたは最高の執事よ」
「ありがたきお言葉」

「でもね、知っての通り……“結婚式をぶち壊す者”が現れるらしいわ。バルザック、あなたの力も貸して」

「もちろんでございます。もしそのような輩が現れたら、直ぐに取り押さえますので」

「お願いね」


 いよいよ教会へ向かう。
 すでに新生ガウェイン騎士団の騎士たちが、数百人と囲っていた。いつでも戦闘態勢に入れるよう剣を携えていた。

 とても厳重。

 これなら、容疑者であるミーシャも簡単には襲ってこれないはず。

 過去の被害を聞くと、魔法的あるいは呪術的な方法を使うらしい。なら、その瞬間を取り押さえるだけでいい。

 こちらには見方は沢山いる。

 きっと大丈夫。


 結婚式が始まる前、ガルフォードが合流した。


「クリス様。お話は伺っております」
「今日はお願いしますね」

「もちろんです。しかし、あのミーシャが……」
「はい。彼女は確かに言っていたんです」

「……でも変ですね」

「変とは?」

「彼女は結婚しているはずなんです」
「え……」


 詳しく聞こうとしたけれど、わたくしは呼ばれて準備を進めねばらならなくなった。
 ウェディングドレスに着替え、結婚式へ。

 フェイルノートも今頃は新郎衣装タキシードに着替えているはず。

 そして時間になり、新郎入場からの新婦入場となった。となると、そろそろミーシャが動き出すはず。

 最大限に警戒しつつ、通路を進む。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】恋は、終わったのです

楽歩
恋愛
幼い頃に決められた婚約者、セオドアと共に歩む未来。それは決定事項だった。しかし、いつしか冷たい現実が訪れ、彼の隣には別の令嬢の笑顔が輝くようになる。 今のような関係になったのは、いつからだったのだろう。 『分からないだろうな、お前のようなでかくて、エマのように可愛げのない女には』 身長を追い越してしまった時からだろうか。  それとも、特進クラスに私だけが入った時だろうか。 あるいは――あの子に出会った時からだろうか。 ――それでも、リディアは平然を装い続ける。胸に秘めた思いを隠しながら。

【完結】仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】伯爵令嬢の責務

ごろごろみかん。
恋愛
見てしまった。聞いてしまった。 婚約者が、王女に愛を囁くところを。 だけど、彼は私との婚約を解消するつもりは無いみたい。 貴族の責務だから政略結婚に甘んじるのですって。 それなら、私は私で貴族令嬢としての責務を果たすまで。

国王陛下、私のことは忘れて幸せになって下さい。

ひかり芽衣
恋愛
同じ年で幼馴染のシュイルツとアンウェイは、小さい頃から将来は国王・王妃となり国を治め、国民の幸せを守り続ける誓いを立て教育を受けて来た。 即位後、穏やかな生活を送っていた2人だったが、婚姻5年が経っても子宝に恵まれなかった。 そこで、跡継ぎを作る為に側室を迎え入れることとなるが、この側室ができた人間だったのだ。 国の未来と皆の幸せを願い、王妃は身を引くことを決意する。 ⭐︎2人の恋の行く末をどうぞ一緒に見守って下さいませ⭐︎ ※初執筆&投稿で拙い点があるとは思いますが頑張ります!

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

【完結】ご期待に、お応えいたします

楽歩
恋愛
王太子妃教育を予定より早く修了した公爵令嬢フェリシアは、残りの学園生活を友人のオリヴィア、ライラと穏やかに過ごせると喜んでいた。ところが、その友人から思いもよらぬ噂を耳にする。 ーー私たちは、学院内で“悪役令嬢”と呼ばれているらしいーー ヒロインをいじめる高慢で意地悪な令嬢。オリヴィアは婚約者に近づく男爵令嬢を、ライラは突然侯爵家に迎えられた庶子の妹を、そしてフェリシアは平民出身の“精霊姫”をそれぞれ思い浮かべる。 小説の筋書きのような、婚約破棄や破滅の結末を思い浮かべながらも、三人は皮肉を交えて笑い合う。 そんな役どころに仕立て上げられていたなんて。しかも、当の“ヒロイン”たちはそれを承知のうえで、あくまで“純真”に振る舞っているというのだから、たちが悪い。 けれど、そう望むのなら――さあ、ご期待にお応えして、見事に演じきって見せますわ。

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

【完結】これをもちまして、終了とさせていただきます

楽歩
恋愛
異世界から王宮に現れたという“女神の使徒”サラ。公爵令嬢のルシアーナの婚約者である王太子は、簡単に心奪われた。 伝承に語られる“女神の使徒”は時代ごとに現れ、国に奇跡をもたらす存在と言われている。婚約解消を告げる王、口々にルシアーナの処遇を言い合う重臣。 そんな混乱の中、ルシアーナは冷静に状況を見据えていた。 「王妃教育には、国の内部機密が含まれている。君がそれを知ったまま他家に嫁ぐことは……困難だ。女神アウレリア様を祀る神殿にて、王家の監視のもと、一生を女神に仕えて過ごすことになる」 神殿に閉じ込められて一生を過ごす? 冗談じゃないわ。 「お話はもうよろしいかしら?」 王族や重臣たち、誰もが自分の思惑通りに動くと考えている中で、ルシアーナは静かに、己の存在感を突きつける。 ※39話、約9万字で完結予定です。最後までお付き合いいただけると嬉しいですm(__)m

処理中です...