毒殺されそうになりました

夜桜

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第22話 幸せな笑顔

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 上質な肉を使ったソールズベリーステーキ。
 ソースたっぷりで牛肉の旨味が濃厚。
 味付けは完璧。

 食堂にお皿を並べていく。

 マックスウェルの手伝いもあって、直ぐに終わった。

「申し訳ありません、イリス様」
「いえ、いいのです。今日はお礼の為ですから」
「そうでしたね。アレク様もお喜びになるかと。……では、呼びに参ります」
「お願いします」

 腕によりをかけて作った。
 これほど集中して愛情を込めたのは、お父様の誕生日以来。
 絶対に喜んでもらいたくて、わたしは必死に料理した。

 少し待つとアレクが食堂にやってきた。


「おぉ、イリス。いい匂いだね。それに……うん、美味しそうだ」
「アレクの為にがんばりました」
「ありがとう、嬉しいよ」

 椅子に腰かけてもらい、わたしも隣に。

「どうぞ、召し上がってください」
「では、さっそく」

 ナイフとフォークを手にするアレク。上品な裁きでソールズベリーステーキを口にする。

「どう……でしょうか?」
「うん、すごく美味しいよ。味付けも丁度いい塩梅だよ」

 満足そうにうなずくアレクは、手を止めることなく食事を進めていく。幸せそうな表情で笑みがこぼれている。わたしもそんな顔を見れて幸せ。

 良かった、がんばって。

「お飲み物もどうぞ」
「わざわざ注いでくれるなんて、気遣いに感謝するよ」
「恩返しですから」
「ありがとう」


 まぶしい笑みに、わたしは胸がときめく。アレクをもっと笑顔にしたい。もっと料理を覚えようかな……。
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