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第21話 薬と料理と
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消えてしまった――それが担当者の話したことだった。
信じられなかった。
消えてしまったって……そんな!
遺体が消えるとか、そんなことがありえるの……?
「では、どこへ」
「分からない。でも、ルーナは毒殺されたと、それだけは確かのようだ」
「でも、遺体を確認するまでは信じられません」
「そうだね。それは俺もそう思うよ。だが、担当者がああいうのだから、今は信じるしかない」
「そう、ですね」
きっとルーナは誰かに毒殺された。それが事実なのよね。
あんなのでも一応、妹。
弔うくらいはしてあげないと。
「イリス、いったんお城へ帰ろう」
「分かりました」
少し嫌な予感もした。
生きているはずはないと思うけど、幽霊となったルーナが現れるような気がして、ちょっと不気味だった。
◆◇◆◇◆◇
お城へ戻り、わたしはアレクの仕事を手伝った。
彼は風邪薬や腰痛に効く薬など、様々な薬を作っていた。もちろん、解毒剤も。
私も薬に興味をもった。
お母様がこの世界の人間だったし、なんだか懐かしかったからだ。
「――うん、イリス。さすがエレイナ様の娘。手際がいいし、覚えも早い」
「そんな、わたしの取り柄なんて……料理が得意なくらいですから」
「へえ、それは意外だ。料理が得意なんだね。普通、料理人とか雇っているだろうに、凄いな」
「趣味なんです。なので昔から好きでやってます」
「それは凄い。貴族で料理ができる女性は貴重だ。なにか作ってくれるかい?」
「はい、喜んで。では、お夕食はわたしが担当しましょう」
「マックスウェルにも言っておくよ」
少し前、毒に倒れたわたしはアレクに面倒を見てもらっていた。その恩返しがしたい。今こそ料理で……!
こうなったら彼の胃袋を掴む気で、とびっきり美味しい料理を作ろう。
気合を入れて、わたしは何を作ろうかなと思考を巡らせる。
男の人は濃いものが好きと聞く。
お父様も好みだ。
となると――うん、アレに決めた。
信じられなかった。
消えてしまったって……そんな!
遺体が消えるとか、そんなことがありえるの……?
「では、どこへ」
「分からない。でも、ルーナは毒殺されたと、それだけは確かのようだ」
「でも、遺体を確認するまでは信じられません」
「そうだね。それは俺もそう思うよ。だが、担当者がああいうのだから、今は信じるしかない」
「そう、ですね」
きっとルーナは誰かに毒殺された。それが事実なのよね。
あんなのでも一応、妹。
弔うくらいはしてあげないと。
「イリス、いったんお城へ帰ろう」
「分かりました」
少し嫌な予感もした。
生きているはずはないと思うけど、幽霊となったルーナが現れるような気がして、ちょっと不気味だった。
◆◇◆◇◆◇
お城へ戻り、わたしはアレクの仕事を手伝った。
彼は風邪薬や腰痛に効く薬など、様々な薬を作っていた。もちろん、解毒剤も。
私も薬に興味をもった。
お母様がこの世界の人間だったし、なんだか懐かしかったからだ。
「――うん、イリス。さすがエレイナ様の娘。手際がいいし、覚えも早い」
「そんな、わたしの取り柄なんて……料理が得意なくらいですから」
「へえ、それは意外だ。料理が得意なんだね。普通、料理人とか雇っているだろうに、凄いな」
「趣味なんです。なので昔から好きでやってます」
「それは凄い。貴族で料理ができる女性は貴重だ。なにか作ってくれるかい?」
「はい、喜んで。では、お夕食はわたしが担当しましょう」
「マックスウェルにも言っておくよ」
少し前、毒に倒れたわたしはアレクに面倒を見てもらっていた。その恩返しがしたい。今こそ料理で……!
こうなったら彼の胃袋を掴む気で、とびっきり美味しい料理を作ろう。
気合を入れて、わたしは何を作ろうかなと思考を巡らせる。
男の人は濃いものが好きと聞く。
お父様も好みだ。
となると――うん、アレに決めた。
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