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第9話 毒殺事件② Side:アレク
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◆Side:アレク
静かに時間が流れていく。
あれから何日経ったのか分からない。
次は失敗しないよう、俺は新型の“解毒剤”の開発に情熱を注いでいった。
誰にも邪魔されず、ただひとり研究を進めた。
ある日、エレイナ様の残した研究ノートが送られてきた。
代理人によれば、エレイナ様の身に万が一があった場合、俺に送られてくるということだった。
納得し、受け取った。
ノートには、たくさんの新薬に関する研究が書かれていた。
だが、まだ足りていない部分も多かった。
俺がその不足している何かを探し出す。
そうすればきっと、次は誰かを救えるはずだ――。
そうして俺は時間を忘れて研究に没頭し続けた。
ある日、ある猛毒草が出回っていると耳にした。
それはカブトギクという恐ろしい毒だ。
お菓子の成分を調べたが、同じ毒が使われていた。……そこで不審に思った。誰かがカブトギクを使ったのだと。
また誰かが不幸になるかもしれないと危惧し、俺は解毒剤を作ることに。
三日後。
ついに解毒剤は完成した。
これで誰かに万が一があっても、すぐに治せる。
しかもこの解毒剤は、カブトギクだけでなく、他の毒にも有効であり簡単に治癒する。
「……ありがとう、エレイナ様。これで誰かを救える」
喜びに浸っていると、研究室の扉をノックする音がした。
『アレク様、緊急のご用件でございます』
「マックスウェルか。入れ」
『失礼します』
執事のマックスウェルが研究室に入ってきた。
「何事だ」
「はい。レオンハルト伯のお屋敷を訪ねたのです。すると反応がなく、不穏な空気が漂っていました。あれは毒のニオイだったかもしれません」
「なんだって?」
マックスウェルは俺の手伝いをしているから、薬だとか毒だとかそういった知識が蓄えられていた。だとすれば、それは……マズいかもしれない。
「ご令嬢イリス様が毒に倒れたのでは……」
「――! イリス……懐かしい名だ。分かった、様子を見に行く」
「では、馬をお使いください」
「ああ」
俺は大至急で城を飛び出した。
静かに時間が流れていく。
あれから何日経ったのか分からない。
次は失敗しないよう、俺は新型の“解毒剤”の開発に情熱を注いでいった。
誰にも邪魔されず、ただひとり研究を進めた。
ある日、エレイナ様の残した研究ノートが送られてきた。
代理人によれば、エレイナ様の身に万が一があった場合、俺に送られてくるということだった。
納得し、受け取った。
ノートには、たくさんの新薬に関する研究が書かれていた。
だが、まだ足りていない部分も多かった。
俺がその不足している何かを探し出す。
そうすればきっと、次は誰かを救えるはずだ――。
そうして俺は時間を忘れて研究に没頭し続けた。
ある日、ある猛毒草が出回っていると耳にした。
それはカブトギクという恐ろしい毒だ。
お菓子の成分を調べたが、同じ毒が使われていた。……そこで不審に思った。誰かがカブトギクを使ったのだと。
また誰かが不幸になるかもしれないと危惧し、俺は解毒剤を作ることに。
三日後。
ついに解毒剤は完成した。
これで誰かに万が一があっても、すぐに治せる。
しかもこの解毒剤は、カブトギクだけでなく、他の毒にも有効であり簡単に治癒する。
「……ありがとう、エレイナ様。これで誰かを救える」
喜びに浸っていると、研究室の扉をノックする音がした。
『アレク様、緊急のご用件でございます』
「マックスウェルか。入れ」
『失礼します』
執事のマックスウェルが研究室に入ってきた。
「何事だ」
「はい。レオンハルト伯のお屋敷を訪ねたのです。すると反応がなく、不穏な空気が漂っていました。あれは毒のニオイだったかもしれません」
「なんだって?」
マックスウェルは俺の手伝いをしているから、薬だとか毒だとかそういった知識が蓄えられていた。だとすれば、それは……マズいかもしれない。
「ご令嬢イリス様が毒に倒れたのでは……」
「――! イリス……懐かしい名だ。分かった、様子を見に行く」
「では、馬をお使いください」
「ああ」
俺は大至急で城を飛び出した。
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