毒殺されそうになりました

夜桜

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第7話 救ってくれた

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「……イリス」

 わたしを呼ぶ声がした。
 太陽のように暖かくて優しい声。
 手を握ってくれている。

 そっか……睡眠薬を盛られて、わたしは眠っていたんだ。

「アレク……」
「イリス! 目覚めたんだね。とても心配したよ」

 心配そうにわたしを見つめるアレク。
 彼は涙を見せながら喜んでくれた。
 そんなに心配してくれるだなんて……嬉しい。

「ミアはどうなったんです……?」
「彼女は衛兵に引き渡され、連行された。裁判できっと罰を受ける」
「よかった……」
「許してくれ、イリス。俺のせいだ」
「いいえ、違います。アレクは悪くありません」
「だが」
「世間がアレクを許さなくても、わたしは許します。だって、救ってくれたじゃないですか」

 そう。わたしは何度もアレクに救われている。
 土の中にいたわたしを掘り起こして看病してくれた。
 睡眠薬を飲まされ、動けないところを守ってくれた。

 それだけで十分すぎる。

「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいよ」

 静かな時間が流れていく。
 ずっと、ずっとこうしていたい。
 誰にも邪魔されず、平和に暮らしたい。
 ただそれだけが、わたしの願い。

 けれど。

 ルーナだけは許してはいけない。
 このまま野放しにしていれば、きっとアレクに不幸が降りかかる。それだけは阻止しないと。

 わたしも元気になったら、出来ることをしていこう。

「あの、アレク。ルーナのことですが……」
「そうだった。そのことで俺も話がある」
「なにか進展があったんですね?」
「そうだ。ある重要な情報を入手した」
「ある情報ですか」
「しかし、これを話していいものか」

 アレクは辛そうな表情で視線を落とす。
 そんなに言い辛いことなのだろうか。
 でも聞きたい。
 ルーナを裁けるのなら……。
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