毒殺されそうになりました

夜桜

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第5話 よくも奪ったわね……!

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 三日後。
 アレクは変わらず看病してくれたり、ルーナのことを探ってくれているようだった。
 彼が外出している間は、メイドのミアがわたしの面倒を見てくれた。

「イリス様、こちらのお薬をどうぞ」
「……薬? 薬はいつもアレクが持ってきてくれるはずだけど」
「今日はお忙しいようなので外出されました。なので、私からお薬を出させていただきます……」
「そうなの」

 毒の治療に薬を飲むことになっていた。
 お昼に飲むと言われていたけど、今日は違うのね。
 水と薬を受け取り、わたしは渋々ながらも飲む。

 ……あれ、いつもよりも苦味が強い。

 頭がぼうっとするような。
 一気に眠気が強くなって、わたしは横になった。
 力抜けていく。

 視界がぼやけてメイドの姿が曖昧になっていく。
 最中、彼女は微笑んでいたように見えた。


「……やっとこの時が来たわ」
「…………え」

「この家に毒はないから、代わりに睡眠薬で眠らせた。イリス、あんたのせいよ……」
「……な、なんなの……」

「アレク様は、あんたみたいな無価値な女にご執心。いっそ、ルーナ様に殺されてしまえば良かったのよ……!」


 こ、このメイド……まさか、最初からそのつもりで……。

 閉じそうになる目を必死に堪え、わたしは逃げようと体を動かす。けれど、体は自由に動かせず、絶望的なまでの眠気が襲ってきた。

 メイドのミアは、背中に隠していたらしい包丁を取り出し、こちらに向けてくる。

 う、うそでしょ……。

 また、わたしは命を狙われるの……なんで、どうして……。


「……や、やめて……」
「あはは……命乞い!? イリス、あんたみたいな澄ました美人はむかつくのよ! アレク様を……よくも奪ったわね……!」

 包丁を振り下ろしてくるミア。
 刃がわたしの胸に目掛けてくる。

 ……こ、ここまでなの……。

 助けて……アレク。


 そう願っていると。


 鈍い金属音が響き、包丁が宙を舞っていた。


「やめろッ!」


 アレクが剣で包丁を弾いたんだ。
 来て……くれたんだ。


「アレク様、なぜ!」
「ミア、君は最低なメイドだよ。イリスを殺そうとするだなんて……許せない」

「ち、違うんです! これは……手が滑って……」

「そんな言い訳が通用すると思うな。マックスウェル!」


 執事のマックスウェルが部屋に入って来て、ミアを確保。連れ出していった。


「や、やめて……私に触れないで、マックスウェル!」
「ミア、あなたは重罪を犯した。タダではすみませぬぞ」


 ミアは今度こそ連れてかれた。
 わたしは睡眠薬に耐え切れなくなり――そのまま眠った。
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