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第5話
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「さあ、行こうか」
バイヒテ教会を出て行く。そのままオールド辺境伯ことエドウィン様のお屋敷へ向かった。
エルドラード帝国は中心にお城があって、その付近にインタレスト侯爵のお屋敷もあった。でもそことは真逆の方向にエドウィン様のお屋敷は建っていた。
とても広くて綺麗なお花畑の広がっている庭園。静かで落ち着きのある環境が整っていた。
「わぁ、カラフルなお花が可愛いです」
「気に入って戴けて良かった。亡くなった母の趣味だったもので、こうして残っているんです」
「……そうだったのですが、ごめんなさい」
「謝る必要はないよ。このご時世だ……こうして庭に残っていてくれているだけでも奇跡だよ。さあ、中へ行こうか」
お屋敷の中へ入ると執事さんが出迎えてくれた。しかも、お若い……エドウィン様とそれほど年齢も変わらないと思う。その容姿も整っていて、輝く金髪は目を引く。
「おかりなさい、エドウィン」
いきなり呼び捨てで、わたしは驚く。
こ、この人、執事さんよね!?
「ただいま。……おっと、驚かせちゃったね、ルシア様」
「は、はい。お二人のご関係は?」
「執事の彼はミルトン。僕の兄さ」
「お、お兄さんだったのですか……驚きました。まさか執事の格好をしている方がお兄さんだなんて」
執事姿のミルトン様は微笑まれ、こう言った。
「これは私の趣味なんですよ。有能な弟を補助する為にこんな妙な関係なんですが、よろしくお願いしますね」
凄い関係なのねと、わたしは一人納得していた。それからエドウィン様に案内され、客間らしき場所へ通された。
「そこへ座って。ミルトンが直ぐに紅茶を用意してくれるから。なので、その間に聖水ポーションの製造の件なんだが……」
「は、はい……」
「一緒にお店をやらないかい。全部、僕が負担するから金銭面は任せて。それと困った事があれば何でも言って欲しい。望みの物をなんでも叶えよう」
いきなりの提案にわたしはビックリした。
バイヒテ教会を出て行く。そのままオールド辺境伯ことエドウィン様のお屋敷へ向かった。
エルドラード帝国は中心にお城があって、その付近にインタレスト侯爵のお屋敷もあった。でもそことは真逆の方向にエドウィン様のお屋敷は建っていた。
とても広くて綺麗なお花畑の広がっている庭園。静かで落ち着きのある環境が整っていた。
「わぁ、カラフルなお花が可愛いです」
「気に入って戴けて良かった。亡くなった母の趣味だったもので、こうして残っているんです」
「……そうだったのですが、ごめんなさい」
「謝る必要はないよ。このご時世だ……こうして庭に残っていてくれているだけでも奇跡だよ。さあ、中へ行こうか」
お屋敷の中へ入ると執事さんが出迎えてくれた。しかも、お若い……エドウィン様とそれほど年齢も変わらないと思う。その容姿も整っていて、輝く金髪は目を引く。
「おかりなさい、エドウィン」
いきなり呼び捨てで、わたしは驚く。
こ、この人、執事さんよね!?
「ただいま。……おっと、驚かせちゃったね、ルシア様」
「は、はい。お二人のご関係は?」
「執事の彼はミルトン。僕の兄さ」
「お、お兄さんだったのですか……驚きました。まさか執事の格好をしている方がお兄さんだなんて」
執事姿のミルトン様は微笑まれ、こう言った。
「これは私の趣味なんですよ。有能な弟を補助する為にこんな妙な関係なんですが、よろしくお願いしますね」
凄い関係なのねと、わたしは一人納得していた。それからエドウィン様に案内され、客間らしき場所へ通された。
「そこへ座って。ミルトンが直ぐに紅茶を用意してくれるから。なので、その間に聖水ポーションの製造の件なんだが……」
「は、はい……」
「一緒にお店をやらないかい。全部、僕が負担するから金銭面は任せて。それと困った事があれば何でも言って欲しい。望みの物をなんでも叶えよう」
いきなりの提案にわたしはビックリした。
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