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近所の噂話
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のんびりした生活が続いていく。
けれど、伯爵のことを忘れたわけではない。
あの男に復讐したい。
その気持ちは日々強くなっていった。
ある日。
お庭で散歩をしていると塀の外の話し声が聞こえてきた。
『――あの医者、最近見ないな』
『あ~、あのルキウス様の母様を看ていたという。けど、医者は毒を盛っていたって話だ』
『そうなのか。それで……。そういえば、医者と伯爵は仲が良かったって聞いたぞ。一緒にいるところを目撃したからね。盗み聞きするつもりはなかったんだが、会話を聞いてしまった』
『ほう。それは興味深い』
『なんでも、ルキウス様を破滅させる計画を企てているんだとか』
『なんと恐ろしい。本当なら大変だ』
『で、まずは医者に毒を盛らせたって話さ』
……そういうことだったの。
伯爵があの医者に指示していたんだ。
でも、なんでルキウスを狙っているの……? 公爵様だから? それとも別の思惑が。なんにせよ、このことをルキウスに知らせないと。
屋敷に戻り、彼を探した。
途中、メイドと鉢合わせて声を掛けられた。
「リリス様。ルキウス様なら一階の応接室ですが」
「ありがとう」
応接室へ向かい、扉をノック。
返事があったので中へ入った。
すると、部屋の中にはルシウスと見知らぬ男性がいた。
「どうしたんだい、リリス」
「あ、あの……お取込み中に申し訳ありません。緊急のお話がありまして」
「そうか。だが、今はこのシランと大事な話が……いや、リリスも一緒に話を聞いてくれ」
「え……」
「実はね、このシランは伯爵ヴァンから嫌がらせを受けているようでね」
伯爵ヴァンから?
まさか、こんなところにも被害者が。
今こそ、わたしのことも話す時がきた。真実をルシウスに話さねば。わたしが、どうしてあの時、泥まみれで倒れていたのかを。
けれど、伯爵のことを忘れたわけではない。
あの男に復讐したい。
その気持ちは日々強くなっていった。
ある日。
お庭で散歩をしていると塀の外の話し声が聞こえてきた。
『――あの医者、最近見ないな』
『あ~、あのルキウス様の母様を看ていたという。けど、医者は毒を盛っていたって話だ』
『そうなのか。それで……。そういえば、医者と伯爵は仲が良かったって聞いたぞ。一緒にいるところを目撃したからね。盗み聞きするつもりはなかったんだが、会話を聞いてしまった』
『ほう。それは興味深い』
『なんでも、ルキウス様を破滅させる計画を企てているんだとか』
『なんと恐ろしい。本当なら大変だ』
『で、まずは医者に毒を盛らせたって話さ』
……そういうことだったの。
伯爵があの医者に指示していたんだ。
でも、なんでルキウスを狙っているの……? 公爵様だから? それとも別の思惑が。なんにせよ、このことをルキウスに知らせないと。
屋敷に戻り、彼を探した。
途中、メイドと鉢合わせて声を掛けられた。
「リリス様。ルキウス様なら一階の応接室ですが」
「ありがとう」
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すると、部屋の中にはルシウスと見知らぬ男性がいた。
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「あ、あの……お取込み中に申し訳ありません。緊急のお話がありまして」
「そうか。だが、今はこのシランと大事な話が……いや、リリスも一緒に話を聞いてくれ」
「え……」
「実はね、このシランは伯爵ヴァンから嫌がらせを受けているようでね」
伯爵ヴァンから?
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今こそ、わたしのことも話す時がきた。真実をルシウスに話さねば。わたしが、どうしてあの時、泥まみれで倒れていたのかを。
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