奪われたので奪い返します

夜桜

文字の大きさ
上 下
3 / 4

◆奪うか奪われるかの決闘

しおりを挟む
 二人とも見合って剣を抜いた。
 ノルベルトは手が震え、腰も引けていた。
 多分、ノルベルトはエディの実力を知っているんだ。

「どうした、ノルベルト。落ち着きがないな」
「……だ、黙れ」
「それとも、決闘を放棄するか? 逃げれば、お前は全てを失うぞ」
「するわけないだろ! まだ負けと決まったわけじゃない」

 焦りながらもノルベルトは、急に走り出して剣を振るった。……なんて卑怯! でも、エディは爽やかな表情でノルベルトの剣を受けていた。

 なんて余裕のある動き。

「この程度か?」
「……余裕ぶっていられるのも今のうちだぞ、エディ!」

 指を鳴らすノルベルト。
 すると物陰から傭兵の二人が現れた。

 まさか、三人掛かりで!?
 なんて卑怯なの!!


「ほう、三人で俺をやろうというのかな」
「フハハハ! そうとも。この決闘に人数の指定はない! 反則ではないはずだ!」

「まあ、確かに人数制限は設けなかった。だが、騎士道精神には反するね」
「なにが騎士道だ。くだらんプライドだ!」


 傭兵が大きな斧を持って襲い掛かってくる。


「エディ、横から傭兵が!」
「大丈夫だよ、アイシア。俺を信じてくれ」
「……はい、もちろんです」


 剣を左に持ち帰るエディは、地面を蹴ると凄まじい速度で傭兵の前に。一閃を浴びせ、大男を一撃で、斧ごと砕いてしまった。

 な……なんて破壊力なの!


「ギャアアアアアアア……!!!」


 どしゃりと倒れる傭兵の男。
 残るは二人。


「あ、兄貴!! ウソだろ……! ノルベルトの旦那、話が違うぞ!!」
「馬鹿な!! 一撃で傭兵を……くそ、くそ、くそ!! おい、お前……なんとかしろ!!」
「む、無理ですよ! 俺は命が惜しいので退散します!」


 もう一人の傭兵は身の危険を感じて逃げてしまった。これでもうノルベルトしかいない。


「…………そんな」
「ノルベルト。これで本来の決闘になるな」

「ひぃ!!」


 尻餅をつくノルベルトは、剣を放り出して戦意喪失。もう戦えそうにない。これで、わたしは財産を取り戻せるのね……!
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

処刑された伯爵さま

恋愛 / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:4

毒殺されそうになりました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:92pt お気に入り:90

旦那様は別の女性を求めました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:355pt お気に入り:494

【完結】もう辛い片想いは卒業して結婚相手を探そうと思います

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,414pt お気に入り:3,840

聖騎士様から溺愛される幸せな結婚生活

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:30

おかしな婚約破棄

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:13

チョコ令嬢 ~甘いチョコで愛をつかんだ話~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:13

処理中です...