氷の公爵令嬢と炎の皇子

夜桜

文字の大きさ
上 下
7 / 12

突然の

しおりを挟む
 東の扉へ向かう。
 四人目がいるかと思って探ろうとした。

 まずはノック。


『…………』


 反応はなかった。


「……反応はないわ」
「もう止めておきましょう。嫌な予感がするのです」

 カルーナは気が進まないようだった。
 でも、わたくしは少しでも多くの情報を得たかった。それと真相を知りたかった。どうしてこんなお屋敷に閉じ込められているのかを。


「カルーナ、あなたは知りたくないの」
「三日間を静かに過ごせばいいだけじゃないですか! 無理に探ろうとして殺されてしまったら、どうするんです」

「一理あるかもね。でも、わたくしもカルーナもジークムントですら、首輪がつけられている。つまりコレでもう命はいつでも奪われるわけよね。だから、罠なんて仕掛ける必要はないはずよ」

「……確かに、そうですね。ジークムント、あなたはどう思います?」


 執事として静かに状況を見守る彼は、口を開く。


「私に申し上げられる事はありません」
「そうですか、役に立たない執事ですね。少しは知恵を働かせたらどうです」


 イライラしているのか嫌味を言うカルーナ。情緒不安定のようね。


「やめなさい、カルーナ」
「さっきから偉そうになによ、ソフィ!」
「落ち着いて」
「これが落ち着いていられるわけないでしょ! もういいわ、自室へ戻るから」


 怒ってカルーナは、自室へ戻って行った。相変わらず身勝手な人ね……と、わたくしは溜息を吐く。その直後だった。


「きゃあああああああああ……!」


 叫び声がした。


「……カルーナ様の部屋からですね」
「ええ、ジークムント。何かあったのかしら」


 一緒に彼女の部屋へ向かう。
 扉を開けると、そこには――



 剣を持った死刑執行人のような恰好をした男らしき人間がいて、カルーナを惨殺していた。狭い部屋は血に塗れて……。


「な、何なのこれ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「白い契約書:愛なき結婚に花を」

ゆる
恋愛
公爵家の若き夫人となったクラリティは、形式的な結婚に縛られながらも、公爵ガルフストリームと共に領地の危機に立ち向かう。次第に信頼を築き、本物の夫婦として歩み始める二人。困難を乗り越えた先に待つのは、公爵領の未来と二人の絆を結ぶ新たな始まりだった。

わたくし、軽度の知的障害ですが頑張らせて頂きますっ!!

∞輪廻∞
恋愛
わたくし、悪役令嬢は軽度の知的障害ですが頑張らさせて頂きますっ!! ヒ、ヒロイン?! 一体、どうしちゃったの!? それに、殿下まで!? お父様?!お母様まで!! ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ※この小説は、決して障害者さん達を侮辱しているのではありません。 だって、作者私自身が軽度の知的障害だからです。(だからと言って、それに甘えてもいませんし普通に料理など作ったり普通の生活をしております!(^^ゝ) そして、それらを推奨も決してしておりません。 それをご了承の上で楽しく小説をお読みください。m(_ _)m それが嫌で不快に感じる方は、 そっと静かに回れ右をしてください。m(_ _)m どうぞなにとぞよろしくお願い致します。m(_ _)mm(_ _)m

攻略対象の王子様は放置されました

白生荼汰
恋愛
……前回と違う。 お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。 今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。 小説家になろうにも投稿してます。

【完結】君の世界に僕はいない…

春野オカリナ
恋愛
 アウトゥーラは、「永遠の楽園」と呼ばれる修道院で、ある薬を飲んだ。  それを飲むと心の苦しみから解き放たれると言われる秘薬──。  薬の名は……。  『忘却の滴』  一週間後、目覚めたアウトゥーラにはある変化が現れた。  それは、自分を苦しめた人物の存在を全て消し去っていたのだ。  父親、継母、異母妹そして婚約者の存在さえも……。  彼女の目には彼らが映らない。声も聞こえない。存在さえもきれいさっぱりと忘れられていた。

少し先の未来が見える侯爵令嬢〜婚約破棄されたはずなのに、いつの間にか王太子様に溺愛されてしまいました。

ウマノホネ
恋愛
侯爵令嬢ユリア・ローレンツは、まさに婚約破棄されようとしていた。しかし、彼女はすでにわかっていた。自分がこれから婚約破棄を宣告されることを。 なぜなら、彼女は少し先の未来をみることができるから。 妹が仕掛けた冤罪により皆から嫌われ、婚約破棄されてしまったユリア。 しかし、全てを諦めて無気力になっていた彼女は、王国一の美青年レオンハルト王太子の命を助けることによって、運命が激変してしまう。 この話は、災難続きでちょっと人生を諦めていた彼女が、一つの出来事をきっかけで、クールだったはずの王太子にいつの間にか溺愛されてしまうというお話です。 *小説家になろう様からの転載です。

平凡令嬢の婚活事情〜あの人だけは、絶対ナイから!〜

本見りん
恋愛
「……だから、ミランダは無理だって!!」  王立学園に通う、ミランダ シュミット伯爵令嬢17歳。  偶然通りかかった学園の裏庭でミランダ本人がここにいるとも知らず噂しているのはこの学園の貴族令息たち。  ……彼らは、決して『高嶺の花ミランダ』として噂している訳ではない。  それは、ミランダが『平凡令嬢』だから。  いつからか『平凡令嬢』と噂されるようになっていたミランダ。『絶賛婚約者募集中』の彼女にはかなり不利な状況。  チラリと向こうを見てみれば、1人の女子生徒に3人の男子学生が。あちらも良くない噂の方々。  ……ミランダは、『あの人達だけはナイ!』と思っていだのだが……。 3万字少しの短編です。『完結保証』『ハッピーエンド』です!

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~

紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。 ※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。 ※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。 ※なろうにも掲載しています。

完 さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。

水鳥楓椛
恋愛
 わたくし、エリザベート・ラ・ツェリーナは今日愛しの婚約者である王太子レオンハルト・フォン・アイゼンハーツに婚約破棄をされる。  なんでそんなことが分かるかって?  それはわたくしに前世の記憶があるから。  婚約破棄されるって分かっているならば逃げればいいって思うでしょう?  でも、わたくしは愛しの婚約者さまの役に立ちたい。  だから、どんなに惨めなめに遭うとしても、わたくしは彼の前に立つ。  さぁ、悪役令嬢のお役目の時間よ。

処理中です...