13 / 28
シスターの君に恋心
俺に恋はわからない
しおりを挟む久しぶりに会ったエドワードはロイに微笑みながら1ヶ月間家に泊めて欲しいと言った。
ロイは湖の側で困っていたところをエドワードに助けられた恩がある。断ることなんて出来なかった。
修道院を後にしたエドワードとロイは話しながらロイの家へ向かう。
「久しぶりに見たなぁ。お前の愛馬。本当に綺麗な白馬だよ。」
「カルーナはこの国で1番速い馬だよ。毎年大会が行われるんだけど、いつも頑張ってくれるんだ。」
「大会?」
「色んな事を競う大会が毎年都で行われるんだよ。歌やダンスコンテスト、拳や魔法で競い会ったり、屋台を出して自分のお店の宣伝をしたりね。」
「楽しそうだな。」
「大会が終わった後はお城で舞踏会が開かれるよ。」
「お城?王様のいるお城?」
「この国に王様はもういないよ。他の国はまだいるけど‥。今は国の遺産として舞踏会で使われたり、国の軍や指導者の上層部が使ったりするよ。」
「ノアから聞いたぞ。反乱が起きたって‥」
「そっか、南の魔法使いから聞いたんだ。」
エドワードはノアの名前を聞いた瞬間、微笑んでいるようにみえた目をどこか冷たいものに変えた。
「そういえば、ロイは4人の魔法使いについて聞いたことは?」
「4人の魔法使い?」
「僕はあまり好きじゃないけど、ロイの友人のノアはその1人だよ。南の魔法使いノア。他にも東の魔法使いヒューゴ様。北の魔女フローラ様。西の魔女エレイン様とか。」
「すげぇ!そんな存在がいるなんて!」
「癪だけどね。彼らがいるだけで他の国を牽制できるんだよ。おかげで他の国との争いはなくなった。」
「20年前は戦争続きだったんだっけ?」
「そうだよ。新たな指導者が4人の魔法使いに国の象徴としていてほしいとお願いをしてね。ロイと僕が出会ったのは西の森。西の魔女エレイン様の管轄だったんだけど出会わなかったかい?」
「クワ以外には出会わなかったなぁ。」
「クワ?」
「そう。鴨のクワ。」
ロイは肩がけのバックの口を開きクワをエドワードに見せた。
「クワぁぁぁ!!!」
エドワードの顔をみるや否や大きな声で鳴き出した。
「ウッ!相変わらずうるさいね。」
エドワードは眉間に皺を寄せた。
「こらこら、威嚇するなよ。」
ロイはクワを宥めた。
「まだ生きていたなんて。さっさと焼き鳥にして食べればよかったのに。」
「そんな怖いこと言うなよ。‥あっ!!怖いといえばブレスレット!!お前なんつーもん寄越してんだよ!!」
ロイはブレスレットを思い出した。次にエドワードに会うことがあれば文句を言うつもりだったのだ。
「気に入らなかったみたいだね。南の魔法使いから受け取ったよ。」
「怖いだろ!!1度つけたら腕を切り落とさない限り外れないブレスレットなんて!!」
「クワクワァっ!!」
ロイの主張にクワも賛同する。
「愛があるだろ?」
「愛‥なのか?」
「それぐらい愛していて手放したくなかったんだよ。」
「お前の思い人?」
「そうだよ。もういなくなっちゃったけど、また新しくみつけた。」
ロイはその言葉を聞き、背筋を凍らせた。
いやまだ名前を言っていないのだから自分なはずがない。そんな事を考えながら会話を続ける。
「みつけたのか?よかったな。じゃあはやく会いに行ってこないとな。また逃げるかも。」
「だからこうやって会いに来たんだよ。ロイ。僕は君が好きだよ。」
「ひぇ‥」
エドワードの告白にロイは悪寒がした。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説



そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。



僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる