恋花ーコイバナー

東雲いさき

文字の大きさ
上 下
6 / 41
第1章「結城湊斗はどこか世話焼き」

5

しおりを挟む
「おっ、やっと戻ってきたじゃん。初日からサボりとか終わってんねぇ」
悪い予感ほどよく当たる。
教室に戻ってきたオレたちを待っていたのは不良のイジメグループだった。
オレの陰に隠れて怯えている柊を庇うように前に出ると、そいつらに向かって口を開く。
「オレたちに何か用か?」
「用ってほどのことじゃないよ。たださ、調子に乗ってる馬鹿を放っておくとちょ~っと目障りじゃん?だから、痛い目を見てもらおうかなってね」
ニヤニヤと笑みを浮かべながら教卓に座る蟻塚が言う。
まあ、確かにあんなことをされて黙っていられるような輩じゃないよな、コイツらは。
「悪い、見たいテレビがあるからまた今度にしてくれないか?」
「あ?良いわけねえだろ」
取り巻きの男たちがぞろぞろと前に出てきてパキパキと指を鳴らす。
どいつもこいつもガラの悪い連中ばかりだ。
「安心しな。顔だけはやめておいてやるからよ」
「なんだそれ。もしかして怖いのか?教師に目を付けられんのが。揃いも揃ってビビりかよ」
挑発するようにそう言ってやると、不良たちは額に青筋を立てながらオレを取り囲むようにして迫ってくる。
教室から柊を手で追い払い、オレ一人だけがこの場に残った。
「お前、今の状況をわかってねえみたいだな?」
「5対1のことを言ってんなら別に気にしなくても良いぞ。お前らと喧嘩する気なんてねーから」
「なんだと?」
両手を広げて戦う意思がないことを示してやると、目の前にいた厳つい男が苛立ったように睨みつけてくる。
「オレは弱い者いじめをする趣味はねーんだよ。お前らみたいにな」
「テメェ、喧嘩売ってんのか?」
「買ってんだよ。痛い目を見せてくれるんだろ?いくらでもこいよ。でも、その代わり柊にはもう二度と関わるな」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

青い導火線 クセモノたちの狂詩曲

奈月沙耶
恋愛
高校生になって始まったのは騒がしい日々。 クセモノな先輩たちに振り回されて彼はたくましくなっていく。 やがて知る様々な思い、たくさんの思惑。 そして一生ものの恋が始まる――――。 始めは学園コメディですが後半恋愛色が強くなります。多角多面な恋愛模様がお好きな方は是非。 今後は「Lotus 便利屋はカフェにいる」に続きます。 ※2021/12/11~冒頭から文章とレイアウトの手直ししていきます。内容に変更はありません *登場人物 ・池崎正人 新入生。持ち前の行動力と運動能力で活躍するようになる。負けず嫌いで男らしい性格だが察しが悪い。 ・中川美登利 中央委員会委員長。容姿の良さと性格の特異さで彼女を慕う者は多いが恐れる者も多い。 ・一ノ瀬誠 生徒会長。美登利の幼馴染。彼女に動かされているようでいて、実はいちばん恐れられている。 ・綾小路高次 風紀委員長。堅物で融通が利かないが、意外な一面を持っていたりもする? ・坂野今日子 中央委員会書記。価値観のすべてを美登利を基準に置き絶対的に従っている。 ・船岡和美 中央委員会兼放送部員。軽快なトークが得意。 ・澤村祐也 文化部長。ピアノの達人。彼も幼い頃から美登利に心酔している。 ・安西史弘 体育部長。際立った運動能力の持ち主で「万能の人」とあだ名される。性格は奇々怪々。 ・森村拓己 正人の同級生で同じく寮生。美登利の信奉者。計算力が高く何事もそつなくこなす。 ・片瀬修一 正人の同級生。総合的に能力が高く次期中央委員長と目される。マイペースで一見感情が鈍いようにも見えるが。 ・小暮綾香 正人の同級生で調理部員。学年一の美少女。 ・須藤恵 綾香の親友。大人し気な様子だが計算力が高く、けっこうちゃっかりしている。 ・宮前仁 美登利と誠の幼馴染。市内の不良グループをまとめる櫻花連合の総長になるため北部高校に入学した経緯を持つ。 ・錦小路紗綾 綾小路の婚約者。京都に住んでいる。 ・志岐琢磨 喫茶ロータスのマスター。元櫻花連合総長。美登利たちの後ろ盾のような存在。 ・中川巽 美登利の兄。初代生徒会長。「神童」「天才」と称されるものの、人間的に欠けている部分が多い。それゆえに妹との関係を拗らせてしまう。 ・榊亜紀子 美大生。芸術に精魂を傾ける奇抜な性格の持ち主。 ・村上達彦 巽の同級生。生い立ちと持って生まれた優秀さのせいで彼もまた拗らせている。中川兄妹に出会って一層歪んでしまう。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

先生と生徒のいかがわしいシリーズ

夏緒
恋愛
①先生とイケナイ授業、する?  保健室の先生と男子生徒です。 ②生徒会長さまの思惑  生徒会長と新任女性教師です。 ③悪い先生だな、あんた  体育教師と男子生徒です。これはBLです。 どんな理由があろうが学校でいかがわしいことをしてはいけませんよ〜! これ全部、やったらダメですからねっ!

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

処理中です...