163 / 178
chapter9
呪い4
しおりを挟む???side
「何で花なんか手向けてるんですか。」
「………何でって。………………確かに何でなんだろうな。」
Haruta Kanata と墓石に彫られた墓前に手を合わせている狐の被り物をする人に尋ねるけれど、本人もよく分かっていないらしくて頭を捻っていた。
「じゃあ、今まで、ありがとう_______と。お前は、やっぱり、呪いそのものだったとか、どう?一時は、守ってくれる存在だったかもしれない、けど。結局、ぶっ壊すだけの存在がコイツ。」
「意味が分からないです。」
「………ははっ。そりゃそうだ。そんで、面白い子はいた?」
「俺が目星をつけたのは3人ですよ。貴方も分かってるとは思いますけど。」
「ふぅーん。………で?」
俺が見つけたのは、3人______________。
この人も何となく予想はついてるだろう。
「荒谷新に、西方宵に_________白鬼。」
「俺も、その3人だと思ってたよ。ただ、まだ駄目だ………。」
「何ですか?」
「いや、まだ白鬼だけは認められない。」
これ以上は、聞いても何も答えてくれないだろうと思って聞き出すのはやめにした。
「てか、暑っ!!」
被っていたリアルな狐の被り物を取り去って、パーカーのフードを取り去る。
「取っていいんですか。ソレ」
「え?駄目なの?………被り物って取っちゃ駄目?」
「そういうものですよね。ソレ」
「_______んん。まぁ、でも暑いしさ。それに、問題ないでしょう。誰も分かんないはずだからさ」
年齢不詳の男は、不適に笑った。
「いつもみたいに、笑わないの。」
「笑うのは、嫌いなんですよ。学園を辞めようとしていた俺を引き止めたのは貴方ですよ。笑わせるなら、貴方がしてください。面白くしてやるって言ったのは貴方ですよ」
「えぇ。………じゃあ、嘘でもいいから笑いな。」
「笑いたくないって言ってるんです」
「嘘でもいいって言ってんの。………笑い方を、忘れた人間にだけにはなるな。笑うって感情が嫌でも、笑い方を忘れたら本当に笑いたい時に笑えなくなる。そんな、笑えない生き方は自分が辛いだけだ」
「急に、真面目なこと言わないでください」
「それが、俺のチャームポイントだろ?」
両手を頬に添えて、ぶりっこの振りでもしてるのか
パチパチと目を瞬かせながらふざけたように言った。
「気持ち悪いことしないでください」
「あはは。流石に、俺も思ったよ。んじゃあ、俺は面白いことが待ってるんで行くわ。………さぁーちゃんも、学園生活楽しんでね。バイバイ」
「相変わらず、華みたいな人だな。………この華なんて似合わないほどに」
咲き頃を失ったのか、噎せ返るほどの異臭も消え枯れ始めた黒い華を手に取ってその後ろ姿を見る。
「でも、誰かのモノにはなれない人だ。誰もが、手を伸ばしたのに、自由が一番似合う人。」
______________立てば芍薬 、座れば牡丹 、歩く姿は百合の花。
飾られる華なんか足元にも及ばない。
ショーケースの中に入れられる華でも、誰かによって育てられた華でもない。
なのに、あの人は__________華麗に咲き誇っているどんな華よりも。
それにしても______________。
「あんな髪色、していたっけ?」
太陽に反射していた髪を思い出しながら、太陽を覆う蒼い空に視線がいく。
「蒼い空色には、お似合いか。_______ハルさん。俺を助けてくださいよ、必ず。貴方、そういう人なんでしょう。救世主(ヒーロー)」
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説
異世界ぼっち暮らし(神様と一緒!!)
藤雪たすく
BL
愛してくれない家族から旅立ち、希望に満ちた一人暮らしが始まるはずが……異世界で一人暮らしが始まった!?
手違いで人の命を巻き込む神様なんて信じません!!俺が信じる神様はこの世にただ一人……俺の推しは神様です!!
ハルとアキ
花町 シュガー
BL
『嗚呼、秘密よ。どうかもう少しだけ一緒に居させて……』
双子の兄、ハルの婚約者がどんな奴かを探るため、ハルのふりをして学園に入学するアキ。
しかし、その婚約者はとんでもない奴だった!?
「あんたにならハルをまかせてもいいかなって、そう思えたんだ。
だから、さよならが来るその時までは……偽りでいい。
〝俺〟を愛してーー
どうか気づいて。お願い、気づかないで」
----------------------------------------
【目次】
・本編(アキ編)〈俺様 × 訳あり〉
・各キャラクターの今後について
・中編(イロハ編)〈包容力 × 元気〉
・リクエスト編
・番外編
・中編(ハル編)〈ヤンデレ × ツンデレ〉
・番外編
----------------------------------------
*表紙絵:たまみたま様(@l0x0lm69) *
※ 笑いあり友情あり甘々ありの、切なめです。
※心理描写を大切に書いてます。
※イラスト・コメントお気軽にどうぞ♪
差し出された毒杯
しろねこ。
恋愛
深い森の中。
一人のお姫様が王妃より毒杯を授けられる。
「あなたのその表情が見たかった」
毒を飲んだことにより、少女の顔は苦悶に満ちた表情となる。
王妃は少女の美しさが妬ましかった。
そこで命を落としたとされる少女を助けるは一人の王子。
スラリとした体型の美しい王子、ではなく、体格の良い少し脳筋気味な王子。
お供をするは、吊り目で小柄な見た目も中身も猫のように気まぐれな従者。
か○みよ、○がみ…ではないけれど、毒と美しさに翻弄される女性と立ち向かうお姫様なお話。
ハピエン大好き、自己満、ご都合主義な作者による作品です。
同名キャラで複数の作品を書いています。
立場やシチュエーションがちょっと違ったり、サブキャラがメインとなるストーリーをなどを書いています。
ところどころリンクもしています。
※小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿しています!
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる