花は何時でも憂鬱で

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chapter9

呪い4

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「何で花なんか手向けてるんですか。」

「………何でって。………………確かに何でなんだろうな。」

Haruta Kanata と墓石に彫られた墓前に手を合わせている狐の被り物をする人に尋ねるけれど、本人もよく分かっていないらしくて頭を捻っていた。

「じゃあ、今まで、ありがとう_______と。お前は、やっぱり、呪いそのものだったとか、どう?一時は、守ってくれる存在だったかもしれない、けど。結局、ぶっ壊すだけの存在がコイツ。」

「意味が分からないです。」

「………ははっ。そりゃそうだ。そんで、面白い子はいた?」

「俺が目星をつけたのは3人ですよ。貴方も分かってるとは思いますけど。」

「ふぅーん。………で?」

俺が見つけたのは、3人______________。
この人も何となく予想はついてるだろう。

「荒谷新に、西方宵に_________白鬼。」

「俺も、その3人だと思ってたよ。ただ、まだ駄目だ………。」

「何ですか?」

「いや、まだ白鬼だけは認められない。」

これ以上は、聞いても何も答えてくれないだろうと思って聞き出すのはやめにした。

「てか、暑っ!!」

被っていたリアルな狐の被り物を取り去って、パーカーのフードを取り去る。

「取っていいんですか。ソレ」

「え?駄目なの?………被り物って取っちゃ駄目?」

「そういうものですよね。ソレ」

「_______んん。まぁ、でも暑いしさ。それに、問題ないでしょう。誰も分かんないはずだからさ」


年齢不詳の男は、不適に笑った。

「いつもみたいに、笑わないの。」

「笑うのは、嫌いなんですよ。学園を辞めようとしていた俺を引き止めたのは貴方ですよ。笑わせるなら、貴方がしてください。面白くしてやるって言ったのは貴方ですよ」

「えぇ。………じゃあ、嘘でもいいから笑いな。」

「笑いたくないって言ってるんです」

「嘘でもいいって言ってんの。………笑い方を、忘れた人間にだけにはなるな。笑うって感情が嫌でも、笑い方を忘れたら本当に笑いたい時に笑えなくなる。そんな、笑えない生き方は自分が辛いだけだ」

「急に、真面目なこと言わないでください」

「それが、俺のチャームポイントだろ?」

両手を頬に添えて、ぶりっこの振りでもしてるのか
パチパチと目を瞬かせながらふざけたように言った。

「気持ち悪いことしないでください」

「あはは。流石に、俺も思ったよ。んじゃあ、俺は面白いことが待ってるんで行くわ。………さぁーちゃんも、学園生活楽しんでね。バイバイ」

「相変わらず、華みたいな人だな。………この華なんて似合わないほどに」

咲き頃を失ったのか、噎せ返るほどの異臭も消え枯れ始めた黒い華を手に取ってその後ろ姿を見る。

「でも、誰かのモノにはなれない人だ。誰もが、手を伸ばしたのに、自由が一番似合う人。」


______________立てば芍薬 、座れば牡丹 、歩く姿は百合の花。


飾られる華なんか足元にも及ばない。
ショーケースの中に入れられる華でも、誰かによって育てられた華でもない。


なのに、あの人は__________華麗に咲き誇っているどんな華よりも。


それにしても______________。


「あんな髪色、していたっけ?」

太陽に反射していた髪を思い出しながら、太陽を覆う蒼い空に視線がいく。

「蒼い空色には、お似合いか。_______ハルさん。俺を助けてくださいよ、必ず。貴方、そういう人なんでしょう。救世主(ヒーロー)」



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