花は何時でも憂鬱で

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chapter8

破壊6

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「速水先輩。一ついいですか」

「なんだ。」

「Pが何なのか教えて貰えますか。」

当たり前のように交わされるP(ポイント)という概念がいまいち汲み取れなかったため、速水先輩に尋ねると速水先輩の端末を放られる。

「見れば分かるだろう。だが、昨日だったか1年の所に一斉送信がいったと聞いていたけど。来てないのか。」

「端末をなくしたので見れてないんです」

速水先輩の端末を貸してもらうと
P(ポイント)の画面が表示されていた。


「P(ポイント)は、円と同等の価値を持つ。そして、同時にポイントが付与されたらしい。恐らく、100000ポイント。」

なるほど、だから。
100000ポイントという数字が飛び交っていたのか。

「その端末、矢井島の所の邸宅で失くしたのか。」

「はい。」

「荒谷が持ってるんじゃないのか」

速水先輩から荒谷の名前が出るとは思わなくて
じっと速水先輩の顔を数秒、直視する。

「そこで、何で。荒谷の名前が出るんですか」

「荒谷が壊れた端末ともう一つ持っていたから変には思っていたんだ。それで、矢井島の邸宅から学園に戻る前の夜に電話を取っていたが………。かなり、切羽詰まった顔で応対してたから、新しいものを貰ったものと思っていたが」

「荒谷が。」

俺の端末を持っている。
しかも、俺にかかってきた電話に出ていた。
俺の端末にかけてくる人物なんて、簡単に想像できる。


家で何かあった_______?
何が。荒谷が切羽詰まった様子で俺の電話に応対していたのなら、まさか。


「………あや」

「人数合わせならここにいるじゃん?」

思考がそちらに支配されていたためここが速水先輩や門川先輩が近くにいることを忘れていた。

「ねぇ、根グラくん?」

そして、久しぶりに見る会計にポンと肩を叩かれている事態に頭が追いついてくれない。

「んじゃあ、決まりィ~!転入生ちゃんと双子の人数合わせでの勝負(ゲーム)の参加、ヨロシクね。」

「人数合わせ?」


けれど、二ヘラと笑う会計の表情を見て
宵(よい)と双子の件に巻き込まれたのは分かった。






「学年主任。………何をお調べになってるんです?アレだったら調べますけど。今、職員会議で忙しいでしょ」

「いや、いい。それより、近々。君にも出てもらうかもしれないから覚えておきなさい」

「はいはい。」

黒河は資料室で調べ物をしていた学年主任が出ていくのを確認してから、学年主任が見ていた資料を手に取る。

「あんな神妙な顔で何を調べてたんだか。………今年の編入試験の結果か。________これは………………?」

黒河はその編入試験の答案に目を通して眉を寄せる。噂には聞いてたが、この難易度で合格者が4人も出たのは奇跡に等しいと思いながらも、1人の答案用紙に手を止めた。


「合格点ギリギリだが、コレは。………他の編入試験とは明らかにレベルが違う。_______出題ミスか?」


難問を除いた全てを正解しなければ合格は難しい
まるで、合格させる気がないような出題内容で合格をした生徒の名前に視線を這わせる。

「でも、まぁ。__________ある程度の学力があれば。……………………違うな。これだと、数点足りなくて不合格だ。」


数学の超難関問題
その配点を知っていたかのように丸のついた答案用紙に目を見張る。


「意味が分からない。………何で、これが解けて他の問題が解けていないんだ。」


天宮が編入試験を難しくしたという
天宮は佐藤蒼を受からせたくなかったのか………………?





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