花は何時でも憂鬱で

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chapter7

若様3

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矢井島の父親が飛び出した障子窓から外を覗けば
門川先輩を筆頭に厳つそうな人たちまで、何かの遊びに興じていた事が分かった。



そして、俺も庭へと向かうと、あの矢井島の父親に半殺し並みにボコボコに殴られた厳つい男たちが転がっていた。



「お前ら、仕事はどうした?だるまさんが転んだ、なんかしてる場合じゃねぇだろうが」

「だって!若にあえるのなんて早々ないじゃないですか?!ちょっと、遊んでも問題な、」

「ぁんだって?石田、もういっぺん言ってみろや」

「ひぃっ?!いえ、何でもないです!今すぐ、仕事に戻らせて頂きます!!!」

ボキボキッと指を鳴らして、ゆっくりと迫り来る矢井島の父親に恐れをなしたのか、ビシッと敬礼をすると飛ぶように逃げていった。


「………美音。帰ってきたなら、まず」

「ただいま、戻りました。父さん」

花がほころぶような笑みをこぼして笑った
矢井島に、父親は、深く吐き切るように呼吸を吐き出すと
破顔して腕を広げると矢井島はその胸に飛び込むようにして、抱きついた。


「おかえり。……つう事で、学生共。美音は、いないから適当になんかしてろ。うちの奴らも、必要なら使ってよし」

門川先輩達の方へとビシッと指を指すと
矢井島を持ち上げ、近くの縁側から屋内へと入っていった。


門川先輩達のいる方へ、歩み寄ると顎に手をあてながら門川先輩がしみじみと呟いた。


「うむ。美音ちゃん、相当に可愛がられてるとみた。」

「そろそろ、親離れする時期。いや、アレは親の方が子離れできてないな」

「先輩。……それは、そうと何します?佐藤も戻ってきた事だし」

荒谷が俺へと視線を向けながら
矢井島について議論する2人に問いかけると
速水先輩が、答えた。


「まぁ。___そろそろ、昼だし。ご飯でも作るか。幸い、家主からも一応何でもしていいって許可は取れてる事だしな」

「おぉ!確かに!!お腹減ってたし!とゆう事で、涼花。後はよろしく!俺は、休憩」

「おい。……お前も作るんだよ」

「冗談だから!そんな怖い顔するなよっ!!」






「よぉしっ!カレーを作ろうっ!無難に!!」

門川先輩が、冷蔵庫の中身を吟味しながら
肉、玉ねぎ、人参、じゃがいもを取り出すと
何処から取り出したのかエプロンを身につけながら言った。

「2人とも、料理経験はあるのか?」

「……全くないです。ちなみに、佐藤は作れないです」

速水先輩の質問に、荒谷は苦笑いをしながら
答え、慌てるように俺の返答もした。


「作れない?……まぁ、少しくらないなら教えられるし、」

「あぁ~!!!」

速水先輩の言葉を遮る門川先輩の絶叫が響いて
3人が一様にその絶叫の元へ視線を向けると
青白い顔をした門川先輩が力無い声で呟くように言った。


「涼花………米がない。……」

速水先輩が、一瞬、考え込む仕草をした後
俺たちへと視線を向けて告げた。

「2人とも、悪いけど。買い出しに行って貰っても、」

「了解です!行ってきます!!」

荒谷が速水先輩の言葉を最後まで聞く事なく
何処かへと走って行ってしまった。


「忙しないやつだな。………まぁ、大変だろうけど頼むわ。」

「ほい。これ、買い物リストだよぉー」

速水先輩にもたれかかりながら
門川先輩から、渡された買い物リストを受け取ると
戻ってきた荒谷に腕を引っ掴まれて、屋敷の外まで引っ張っていかれた。

「そういえば、近くに店なんかない気が」

「その点は大丈夫だ!石田さんに頼んで、車を回して貰ったからな」

「いつの間にそんな事をしてたんだよ。」

「石田さんから、言ってくれたんだよ。仕事したくないらしい。」


荒谷とたわいない話をしているうちに
黒塗りの車が回されると、後部座席の扉が開いた。



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