花は何時でも憂鬱で

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chapter7

影2

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昼休みの屋上で昨日眠れなかった分の睡眠を取っていると
誰かが階段を登ってくる足音で意識が浮上する。


目を閉じながら
フェンスに寄っかかっている姿勢から身体を起こして
その誰かへと神経を集中させると
キィッと響かせてドアが開いた。


「……おいっ。来てやったぞ」

不満をありありと表した声色で誰なのかは
分かったが、どうにも眠気が勝ってて瞼が重い。


「……おいっ!んとムカつく一年だな」

舌打ちを鳴らして苛立ちげな足音で近づいてくると
思ったより太い指に耳を掴まれる。
けれど、耳朶を掴まれてから
動きがないことで再び眠気が襲ってきて
かくりと頭が揺れた。


「あぁ~~!!マジで何なんだよ。」

ガシガシと音を立てて髪を掻き毟るような音が
聞こえた後に、ジッと顔を覗き込まれるような視線を感じて身体を捩ると耳に触れていた手は簡単に離れた。

「ほんと、顔だけは……。いやいやいや、ないな。ないわ。俺、それはない。でも、重用もんだよな、コレは。……この学園でも」



うっすらと目を開ければ
ゴクリと喉を鳴らして、膝をついて距離を詰め
後ろのフェンスに手をかけて覆い被さる様な姿勢の
河井の姿があった。


「怪しい動きをするのはやめてもらえますか、先輩。」

「……うおっ!!急に起きてくんな、ボケッ!!つーか、俺は何やって……。~~~ありえねぇっ!!」

「一人で三文芝居するのもやめてもらえます?」

「お前、本当にムカつくな」

河井が大きな溜息をつくと、ビッと人差し指で俺の顔を指しながら告げた。

「いいか一度しか言わねーからなっ!お・れ・はっ!!お前が大嫌いだ!それは、ぜってぇに変わらねー。」

「それは、俺も変わる気がないので別に気に、…….」

「黙って、聞いてろっ!いいか!コレは、お前に負けたからじゃねーからなっ!!!お前の提案にはのってやる。ただし、お前が俺の事をバラしたら終わりだ。いいな?」

「……分かりました。バラす事はなくても、河井先輩の方が裏切ればどうなるかだけは覚えていてくださいね」

「……わぁってるっつうの。」

言うことだけは言ったのか
背を向けて歩き出そうとする河井の姿を目に留めていると
同時にピロン、ピロンと着信音が鳴った。


携帯型生徒手帳に、メールの通知がきていたので
メールボックスを開いてその内容に目を通した。




そこに、どこの誰からきたのかわからない
メールアドレスからメールが届いていた。



【      
                   後悔を与えにやってきました。
        壊れるのは貴方か私か_____いいえ、貴方たちか     
                        勝負といきましょうか                

                                           園芸部より      皆様へ          】



と、主旨のはっきりしないあまりにぼやけた内容。



_____けど、これは



あまりに
鮮烈すぎる内容だろう。


河井も読みおえたのか此方を振り返ると


「もしかして、お前……か?」

唐突に、投げかけられた言葉に首を傾げながら答えた。


「違いますよ」

「まぁ、だよな。お前は、今、俺と喋ってたわけだしな。だとすんなら、昨日の白鬼で決まりだな。“後悔”も“壊す”も昨日あの鬼が言っていた言葉だ」


メールの内容を確認しながら
河井の零した言葉で漸く合点がいった。



昨日の“白鬼”は一体、誰だったのか。




荒谷でも矢井島でもないのあの鬼の正体が_____。








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