花は何時でも憂鬱で

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chapter4

地獄を見る2

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【 アンタの間違い俺が正してあげますよ? 】

艶やかな黒髪



人を惹き込んでいった、まだ、あどけない少年は言った。



そして、その少年の周りには人が
一人また一人と増えていった。



その少年は、愛し愛されていたのだ。



けれど、その幸せの結晶は脆く儚いものだった。



幸福と不幸は紙一重だった。



それは、悪意によって憎しみによって


         崩れていく

                              壊されていく

                                                               散っていく








「オーロ世代は、学園きっての最高の世代って言われてる。もっとも優秀な人材が出たって、ね?でもね、裏では最低の世代とも言われてるんだよ。」

「最低、の世代?」

「死人がでたからだよ。流石に蒼くんも聞いたことくらいあるでしょ?オーロ世代の二大勢力のうちの1つ春田叶多は、死んだから。恐らく故意の事故で。しかも、その事故でその妻子もろとも、巻き込んで。」


一瞬にして背筋が凍り
喉の奥がひゅっと鳴るのを感じた。


そして、あの桜の木の前にあった墓を思い出した。

「春田叶多は………恨まれていたのか?」

「そうだね。今となっては、そっちの人の方が多いと思うよ。春田叶多は、【悪】の象徴。嫌われ者だよ。この学園を壊した張本人。もしくは、悪魔や鬼とまで。」



キラワレモノ?


だとしたら、なんで、あの墓の前に花束が置かれていたのか。


なんで、あの先生が泣いていたのか。


その【悪】の象徴の代わりとして俺が選ばれたから?


そんなものには、見えなかった。


「それじゃあ、園芸部っていうのは?」

「蒼くんでも流石に知ってたんだね。園芸部は、春田叶多が作った部活だよ。事故が起こってから園芸部は廃部になったみたいだけど。」


犠牲とは何なのか。
春田叶多は、何をしてそこまで恨まれたのか
未だに謎は深いけれど


1つわかった。



その部活が、そんな部活が今になって再結成されようとしていることはわかった。




「でもさオーロ世代っていうと、あと1人だけ足りないんだよね。」

「1人?」

「そう。西方財閥の子が1人、この学園にはいないの。でも、名前も分からないし誰も見たことがないんだよね。」


そこで、言葉を切ると
矢井島はチラリと意味ありげな視線を送って
呟いた。

「ほんと、秘密の多い生徒が多いよね。一番の秘密を持ってるのは一体、誰かなー?」

「………悪趣味だな。」

「知らないより知ってる方がいいじゃない。それに、蒼くんは何にも知らないみたいだから好都合。色々と教えてあげるよ、オーロ世代のこともこの学園のこともね。僕が、教えてあげる。」

「例えば___?」

「例えばそうだなぁ、本当にこの学園のシステム機能してると思う?本当に正常なのかな?」

「……それは、どういう、」

「さぁ。それは、今度教えてあげる。」

その言葉を皮切りに
注文した料理が運ばれてきたことで、話は打ち切りになった。









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