35 / 178
chapter2
新入生歓迎会
しおりを挟むこの学校で、やらなければいけないことは
わかっている。
静かに過ごさねばならない。
静かに過ごして
一番大切なあの子の為に
最後にできることを_____。
____シャラン、シャラララン
強い風とともに
鈴がなった。
その鈴の音は、幼い頃聞いた
その声を思い出させる。
『はるにぃ』
『はるにぃは、あやめの世界一優しくて、強い王子様なの。』
その後の言葉は何だっけ。
あぁ、そうだ。
『でも、はるは皆に優しいからイヤ』
柔いほっぺを膨らませて
拗ねたようにそう言ったんだっけ。
「優しくなんかない。強くもないんだ。」
けれど
どうか
どうかこの一瞬を
この時だけ
君を忘れさせて
あの家にいる君のことを
少しだけ忘れさせて。
「本当のほんとに最後だ。もう、何を見ても何を聞いても惑わされはしないから。……あやめ。」
眼鏡を外してポケットにつっこむ。
空と同じ蒼い瞳が剣呑さを帯びる。
「それじゃあ、俺はそこの怪我人の白石くんを医務室に連れてくから。」
少し離れたベンチに座る白石先輩の方に
足を進めて、ひらひらと手を振ってくる
保険医の後ろ姿をみる。
「だったら。」
「だったら、何かな?」
「だったら、貴方たちを、今度は踏みにじってあげますよ。」
「お前が?俺を?」
「僕が貴方達に。教えてあげますよ、この学校でいう……弱者がただ散っていくだけじゃあないってことを。」
「………へぇ?少しそそられるよ。お前」
目の前の
紫色の瞳が細められ鋭さを帯びた気がした。
0
お気に入りに追加
99
あなたにおすすめの小説


そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。


代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。
美人に告白されたがまたいつもの嫌がらせかと思ったので適当にOKした
亜桜黄身
BL
俺の学校では俺に付き合ってほしいと言う罰ゲームが流行ってる。
カースト底辺の卑屈くんがカースト頂点の強気ド美人敬語攻めと付き合う話。
(悪役モブ♀が出てきます)
(他サイトに2021年〜掲載済)

巻き戻りした悪役令息は最愛の人から離れて生きていく
藍沢真啓/庚あき
BL
婚約者ユリウスから断罪をされたアリステルは、ボロボロになった状態で廃教会で命を終えた……はずだった。
目覚めた時はユリウスと婚約したばかりの頃で、それならばとアリステルは自らユリウスと距離を置くことに決める。だが、なぜかユリウスはアリステルに構うようになり……
巻き戻りから人生をやり直す悪役令息の物語。
【感想のお返事について】
感想をくださりありがとうございます。
執筆を最優先させていただきますので、お返事についてはご容赦願います。
大切に読ませていただいてます。執筆の活力になっていますので、今後も感想いただければ幸いです。
他サイトでも公開中

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる