花は何時でも憂鬱で

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chapter2

新入生歓迎会

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「なに?俺の顔に何かついてるか。佐藤。」

こちらに足を向けて 
冗談だからと話す
会計を気にした様子もなく保険医は俺に話しかける。


「いえ、特段変わったことはないかと思います」

「そうだ。面白いものは見れたかな?」

「ずいぶん、悪趣味なものなら見れました。」

「あららー、嫌われたか?でも、これくらいでそんなこと言って貰っちゃあ困るな。新入生全員が、そろそろ自覚する頃なんだから、生徒会長のいった意味をな。

だから、君もそろそろ自覚してもらわないと。」

「自覚?」

突然
ピンポンパンポーンという
音が鳴り響く。




『お知らせいたします。後、30分でゲームは終了します。現在、赤組が優勢です。白組は頑張ってください。


因みに、残り30分になりましたので、特別ルールを開放します。劣勢の白組で捕まった生徒の中から、裏切り者を選び牢屋から出します。白組の裏切り者に出逢えば、裏切り者は笛を鳴らし、半径5メートルにいるゲーム参加者のしっぽが点滅し、なり続けますのでご注意を』


しっぽが点滅?


そのアナウンスを聞いて
腕に巻いた鉢巻に桜形の小さな機械のようなものがついているのに目を留める。



「じゃあ、質問だ。佐藤くん。
これまで、味方だと思って
そして、見下してきていた奴らが
脅威的な敵になったら大抵はどうなると思う?」


一歩、距離を縮められる。


「……戸惑って動けない、ですか?」

「ピンポーン、大正解~。それが例えゲームだろうと現実に起こったら、まして超温室育ちの坊っちゃんたちならどうなるかな~。」

そして、目の前の人は
ニヤリと人の悪そうな顔で笑った。



「初めて、裏切られる感覚を味わって
今、君と同じ様に目のあたりにしてるだろうな。

“力”の弱いものが当然として
虐げられている状況に。
そして、その逆も然りってわけだ。」

「それでも、ゲームですよね。そんなにうまくいくもの、」

「いくさ。チームわけにもある工夫がされてんだからな。何か違和感感じなかったか?」

「敢えて言うのであれば、パワーバランスが明らかに赤組に集中しすぎていることです。」

「正解だ。そこが分かってるならいいだろうよ。
白組の生徒には早めに理解してもらわないとダメだからな。

ここでは“力”が全てだってことを。大財閥の坊ちゃまに媚びへつらう必要もなければ、捻じ伏せていいってな。」


肩に手を置いた保険医は
まるで悪魔のように囁く。


「要するに、勝ったやつが正しいんだよ。

だから、美波くんが正論ってわけだ。
単純なことだろ?」

眼鏡の奥の瞳が怪しくひかった。

「だから、文句や不満を言えるのも
力のあるやつ、それ一択なんだよ。
これがここの規則なわけ。」

「それを何で」

「君に言うかって?
去年の自主退学人数知ってるか?昨年の入学者の半数は自主退学だよ。つまりだ、入学者861人に対して422人は脱落したわけだ。」

「は?」

「退学したくなきゃ、力のない奴は、おとなしくしてなって意味だよ。
大手財閥企業だろうが、結局、力のない奴は散っていく運命なんだかな。」



弱いものは踏みにじるものだ。
その考えに疑問を持つものは
ここの学園には、きっと、あまり、いない。



けど、それがなんだ。


俺には関係ないことだ。


関係ないんだ。


__________なのに。


「何で……こんなに。」


耳の奥で誰かが囁く。



じゃあ、このままでいいの?



このまま、踏みにじられて
散っていくだけの運命で……本当に?










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