二人の未来の先は

河まきじ

文字の大きさ
上 下
2 / 4

二人の経緯

しおりを挟む
 僕達は男同士だけど結婚することになっている。理由は政略だ。 

 僕、ルークと婚約者であるミルドレッド。
 僕は、子爵家。
 ミルドレッドは侯爵家。


 ミルドレッドの家は侯爵家。でも国境に近くて、その国境近くの砦を守る為、その砦には必ず侯爵家の人間が筆頭になる。

 今は、戦争もないし争い事もない。でもまったくないわけではない。
 小競り合いは多少ある。盗賊だって出るし、微妙な雰囲気は随所にあり、表立ってはない。だけ。

 その国境近くは、僕の家も近くて侯爵家とは、付き合いが長いと言える。
 だから、僕の家からもその砦に詰めれば、それだけ重要かつ、目が多い、となる。
 それだけこの国から国境を見ている、と言えるからだ。

 だから、四男と三男なんて、ちょうどよい人選となる。だからこそ、ついでに婚約してお互いの家が繋がっていると分かりやすくしてあれば、なおさらよいことになる。

 そんなこんなで婚約となり、お互いに仕方ないね、と言える状況だったはず。
 でも、そう思っていたのは僕だけだったのかもしれない。


 ミルドレッドは侯爵家の四男。
 本当は、女の子がよかった親御さんが、希望を持っていたために名前だけは先に決まり、今度こそはと言うことらしかった。
 でも、生まれたのは男の子。残念だけど名前はもうこれで決まっていたから、そのままこの名前になったようだ。
 それを聞いていたのか、四男だからか、ミルドレッドはいつかこの家を出て一人で暮らそうと思っていたらしい。
 自分は必要のない人間だって…。


 返って僕、ルークは子爵家の三男。どちらかと言えば僕も、家ではものすごく必要ではない。
 悲しいけど、家を継ぐのは長男とそれを補佐する次男くらい。僕は居ても居なくてもいいかなって感じだ。

 大事にされなくても、そんなに邪険にされたこともない。本当に普通の家で普通に育ってきた。親の愛情がなかったとも思わないし、見捨てられたとも思えない。

 ちゃんと学校にも行ってるし、その学費だって出してもらってる。
 だから婚約だって仕方ないと思ってたし、こんなものかなと半分は諦めていた。


 両家の考えとして、国境近くの砦に二人で行って欲しいとなった。それは両家の繋がりとして婚約ありきの話だった。
 ある意味、それは家とすれば、居て助かるけど、居なくなっても大丈夫とも言えることだ。
 だって必ずしも砦は安全ではないのだから…。



 二人で話をした。













 






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

愛人は嫌だったので別れることにしました。

伊吹咲夜
BL
会社の先輩である健二と達哉は、先輩・後輩の間柄であり、身体の関係も持っていた。そんな健二のことを達哉は自分を愛してくれている恋人だとずっと思っていた。 しかし健二との関係は身体だけで、それ以上のことはない。疑問に思っていた日、健二が結婚したと朝礼で報告が。健二は達哉のことを愛してはいなかったのか?

失恋して崖から落ちたら、山の主の熊さんの嫁になった

無月陸兎
BL
ホタル祭で夜にホタルを見ながら友達に告白しようと企んでいた俺は、浮かれてムードの欠片もない山道で告白してフラれた。更には足を踏み外して崖から落ちてしまった。 そこで出会った山の主の熊さんと会い俺は熊さんの嫁になった──。 チョロくてちょっぴりおつむが弱い主人公が、ひたすら自分の旦那になった熊さん好き好きしてます。

草烏落墨

ナナクセ
BL
特殊な墨を用いる仙術、墨仙術に支えられて発展した国――墨雨(モーユー)。 仙墨を使い仙士となれるのは選ばれた血筋の名門仙家のみ。 過去のある出来事から仙士が大嫌いな平民艾 草果(アイ ツァオグオ)は、腹に一物を抱えて若き仙士たちの学び舎硯海院(けんかいいん)に入学する。 誰のことも信用せず打算的にうまくやろうとする草果(ツァオグオ)だったが、どうしてか仏頂面美形、烏竹(ウー ジュー)の前では調子が狂う。仙士なんて大嫌いだったはずなのに、だんだん烏竹(ウー ジュー)の純粋さに絆されていく草果(ツァオグオ)。 一方、烏竹(ウー ジュー)が草果(ツァオグオ)に向ける感情も、次第に友情と言うには仄暗く重たい何かへと変化していき……? 誰とも仲良くなるつもりがなかった主人公に気がつけば友達ができ、ライバルができ、激重執着を向けてくる攻めができる。そんなコメディありシリアスありの中華風ファンタジーです。 BLとブロマンスの中間くらいのイメージで書いていますが今後どちらに針が振れるかは未知数。百合も男女コンビもあります。のんびり更新です。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった

たけむら
BL
「思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった」 大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人・佐倉から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

処理中です...