エリートなΩと心の折れたα ~疲れたオメガとやさぐれたアルファ

河まきじ

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エンディングの後の話。その⑵

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 風邪が流行ってる。
 社内でも咳をする人がいたり、何人か休んでいて業務を回すのもひと苦労だった。

 だから、帰ってこんな状態なのも、仕方がないのかもしれない。 

「ただいま」
「……、あれ」
 返事がない。出かけたのかな?

 たまたま入れ違いで、出かけたのかもしれない。
 着替えようとしたとき、ベッドの方で音がした。
 見に行けば…、寝ている一太がいた。

「大丈夫?」
「……ごめん、帰ってきてたんだ」
「いつから具合悪かったの?」
「……」
「ひょっとして、朝から?」
「……」
「なんで言わないの?」

「言ってくれないと、わからないよ」
 具合が悪い時に、怒ってはだめなんだけど……。
 なんで言ってくれなかったんだろう?

「…ごめん、家に居るから、寝てたら治るかなって思って」
「そんなこと、あるわけないじゃん」
 今だってかなりキツそうなのに。
「薬飲んだ?」
「気分悪くて……」

 珍しい……。
 弱ってるの初めて見たかもしれない。

「なら、しばらく寝てて」
「ご飯大丈夫?」
「自分でできるよ、子供じゃないから」
「…ごめんね」
「謝らなくていいよ」

「…悪いけど、寝てるね」
「おやすみ」
 いつの間にか寝てしまった。
 明日にでも病院行って、診察受けた方がいいよな。
 つらそうだし…。

 久々に自分で晩ごはんをしないと、
 だけど…、何にしよう……。
 思いつかない…。何でもいいか。

 自分の分は適当でも、一太には何か消化のいいものがあればなんだけど。
 食べられないと意味ないか…。

 後でコンビニ行って、スポドリと、食べられそうなもの買ってくるか。

 ベッドで大きな咳込む音がしていた。
「大丈夫?」
「だ、だ、大丈夫…」
 咳がでて、しゃべりにくそうだ。

「水持ってくるね」
 冷蔵庫から、ペットボトルの水を持って来て開けてから渡した。
 咳のあいだに、なんとか飲んで少しは落ち着いたようだ。

「ありがとう」
「落ち着いたら、また寝て」
「………」
「どうしたの?」
 なぜか、少し笑顔だ。なんで?

「ありがとう、助けてくれるのって、うれしいね」
「そう?」
「一人でいると、こういうときにつらいから」
「いっしょにいるから大丈夫だよ」
「ありがとう」
「おやすみ」

 自分は適当に食べて、寝ることにした。
 気になるから、いっしょに寝ようと思って。
 なんとなく、風邪引いてるけどくっついて、二人で寝た。

 朝になってから、色々しよう。
 今は、少し寂しいから、二人でいよう。


 そうして、朝には病院行く方と、自分は会社へ。
 俺は具合悪くないから大丈夫。


 そんなことを言ってることもありました。
 二、三日経って、一太が治って良かったと思っているうちに、
 自分にうつった…。

 咳と熱が高く、ぼ~っとして動けない……。
 そして、きっちり一太にお世話されました……。

 治るのに一週間近くかかった…。
 ……これが、体力差か……。




 ものすごく、風邪と言うか、のどの痛みや咳、鼻水など、インフルエンザ、ほか
流行っています。
  家族が次々かかり、自分もかかってしまい、本筋が動かなくなってしまいました。ので、ちょっと別の話ですが、入れてしまいました。

 皆様も体調には、お気をつけください。













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