エリートなΩと心の折れたα ~疲れたオメガとやさぐれたアルファ

出勤前に⑵

　昨日は普通に寝た。

　何がといっても、ナニかあったわけじゃなく。普通の睡眠だ。

　おととい…、いろいろシテしまったから、昨日の夜まで…となると、体が持たない……。

　今日はとりあえず出勤し、休んだ分の仕事を見なければ。

　渡辺さんはと言えば、なぜか朝ごはんも作ってくれて、いっしょに食べた。
　昨日も起きたあとから、世話を焼いてもらった……。
　すいません……。

　昨日の午後から起きたあと、お世話されていた
　……本当に体が動かない…。
　……変なところもじんじんするし…。
　…股関節痛いし……。

　渡辺さん……、ヤリ過ぎなんじゃ…。
　…そりゃあ、自分もいいって言ったけど…。
　もう少し、手加減して欲しかった…。

　だから、ありがたくお世話になってしまった…。
　笑顔で、色々やってくれて、ありがとうございます……。
（半分は渡辺さんのせい…だ。）

　昨日の夜からは、ゆっくりできた。
　さすがに、お風呂溜めて入った。湯船でだらっとして、痛いところを温めていた。
　けど、肩口や首筋にできたアトは、どうにもならず、痛いのをがまんして、お風呂から出たあと、傷薬を塗った。（と言うか、塗ってくれた…）

「すみません」
　と渡辺さんは心苦しそうにしていたけど、
「そのうち治るから、気にしないで」
　とは言っておいた。
　そう、そのうち治る、たぶん…。


　また、晩ごはんも作ってくれた…。
　まだ、体調が良くないからと、ポトフを作ってくれた。
　渡辺さん曰く、切って煮込むだけだから、簡単ですよねと、サラッと言われた。
　今度、自分でもやってみよう……。

　部屋でご飯を食べて、二人でちょっとずつ話もした。何が好きだとか、嫌いなもの、最近あったニュースの話なんか。

　お互いに、肝心な話はまったくしなかった。
　本当は、自分のことも、渡辺さんのことも、ちゃんと色々、話さなければならない。

　だけど、二人で大事な話を、避けて、そこまでの話になると急に他の話をして、お互いがごまかしていた。
　だから、それ以上は、お互いに聞かなかった。

　どうして、俺が一人でいるのか、
　どうして、渡辺さんは俺に二次性を教えてくれないのか、

　お互いに秘密のまま、夜を過ごした。


　朝、相変わらず朝ご飯が、出てきた。こんなにしてもらったら、明日から部屋で食べる時に、　　

　虚しくなるかも……。