エリートなΩと心の折れたα ~疲れたオメガとやさぐれたアルファ

河まきじ

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出勤前に⑴

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 昨日の夜からだと、ずいぶん時間がたった。

 ……ほんとに結構長いこと、シテたみたいだ。
 起きて、気が付けばもう昼過ぎだし……。

 また、渡辺さんに、色々世話を焼かれている。…いったい何回だろう?
 恥ずかしやら、情けないやら、また埋まりたくなる。

 どれだけシテたのか、相変わらず体は痛いし、変なところの関節も痛いし…。

 色々してもらって、ありがたいけど…。  迷惑ばかりかけている気がする。

 ちゃんと謝っておきたいけど、何回謝ればいいのか……。本当に悪いことをしたと思う。

 よくよく考えれば、発情期中は、ずっといっしょにいてくれて、ほんとは少し、嬉しかったけど…。
 
 迷惑かけたし、そういえば、渡辺さんは、仕事大丈夫だったのか?
 
 自分のことばかりで、すっかり忘れていた!!

「渡辺さん!!」
「どうしました?」
「本当にすみません、お仕事は大丈夫なのですか?」

「?」
「いや、だって俺の発情期に、ずっと付き添ってもらって、よく考えれば、もう五日経っているんですよ」

「そうですね」
「だから、渡辺さんのお仕事にも、多大な迷惑をかけたのでは?」

 今さらながら、冷や汗ものだ。そんなことに、今までどうして、思い到らなかったんだ。

 渡辺さんがちょっと笑ってる。
 そんな場合じゃないと思うけど。
「すみません、笑って…」

「だって!」
「大丈夫ですよ」
「なんで?」

「色々あって、辞めたんですよ」
「へっ?、だってあれからそんなに時間が経っていないのに」
「もう辞めたから、なんの問題もありません」

「あの、俺のせいで、辞めることになったんじゃないですか?」
 そんなことをしてたら、大変だ。

「絶対に違います、本当に偶然なんです」
「そうですか……」
 それ以上、聞くことができなかった。

 少しの沈黙があり、どうしようかと思っていたところに、急に電話がかかってきた。
 中山くんからだ。

『もしもし?』
『水澄さん!』
『中山くん、どうしたの?なんかあった?』

『水澄さんどうですか?、発情期終わりました?』
『ああ、そうだね……』
 なんだ…そんなことか…。

『ごめんね、急に休みもらって、大変だっただろう?』
『いえ、水澄さんほとんど準備してくれてたから、なんとかなりましたよ』
『なら、いいけど』

『どうですか、明日これそうですか?』
『大丈夫、明日は出勤できるよ』
『よかった、確認してもらたいことが
 ありますから』

『急いでるなら、今わかる分だけでも?』
『そこまで急いでないから、大丈夫です、一応、明日来れるかなと思いまして』

『わかった、じゃ明日』
『はい、明日待ってますね、聞きたいことありますから!、それじゃ失礼します』
 ……切れた。
 …明日、色々聞かれるやつだ。
 …どうしよう。






 





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