エリートなΩと心の折れたα ~疲れたオメガとやさぐれたアルファ

河まきじ

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友人として、

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「そうだったんですか」
 彼の話を聞いていた。

 あの時、自分も訳が分からず言われたまま仕事をしていた。
 職場から言われ、たまたまあの場所で、仕事をしていた。それで、彼に会えたのは、よかったと思う。

「水澄さん?」
 いつの間にか、ベッドにもたれてうとうとしている。

「眠いのだったら、ベッドで寝た方が
 いいですよ」
 声をかけても、返事がない。
 仕方ない。少し揺さぶって、起こした。

「水澄さん、ベッド寝たら?」
「すいません、なんか眠くて」
 ごそごそとベッドに上がり、横になると、寝てしまったようだ。彼に上掛けを掛けて、ベッドの端に座った。

 まだ体調の戻っていない感じだから、すぐ眠くなってしまうのだろう。
 近くにいると、たまにふわりと、香りがする。

 ミントの香り。なんだか、彼らしいと思う。甘えてくる時には、ミントというより、ハッカアメを思い出す。
 すっきりしているのに、甘さがある。
 そして正気に戻れば、ミントの香りが、普段香るようにシャキッとして、一人で立っているようだ。
 本当に彼によく合う香りだと思う。

 自分の香りも、彼にわかるのなら、彼が好きな香りだといいのに。

 彼からは友人として、付き合いたいと言われ、残念だとは思うが、それよりは、縁が切れることが嫌だった。

 せめて、友人としていられるのならば、その先に進めるように、こちらから、努力しよう。

 彼も他に、パートナーがいるわけでもなく、いつも一人でいるのなら、せめてその時だけでも、助けになりたい。

 さっきの結婚の話や、パートナーの話ははぐらかされたけど、彼はどう思っているだろう。
 結婚は無理でも、せめてパートナーとして、彼の側にいられたらいいのに。

 いままで、思ったこともなかった感情が、心のどこかに、転がった気がした。




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