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友人?友達?。
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「どうですか?」
強めに押されても、返事をしにくい。でもでもだってと、拒否してもだめなんだろうな……。
色々考えたけど、あきらめた…。
そうして、こんな返事になった。
「こんな関係になっているのに、なんなんですが、友達と言うか、友人としてで、かまわないでしょうか?」
これが自分にできる譲歩だ。
「……わかりました、残念ですが、まず友人としてで。」
「よろしくお願いします」
よかった。それぐらいなら、なんとか付き合いができる。
「でも、まだ体調は悪そうだし、今日と明日は看病させてください」
「なんで明日休みって、知って·····」
「メッセージにありましたよ、3日間休むって」
あ~···、そういえば中山くんにそうやって連絡したはず····。
公休と合わせてだから明日も休みだけど。よくわかったなぁ。
「体調は良くなりましたか?、落ち着いたら晩ごはん、何か食べたいものありますか?」
「けど、さっき食べたばっかりだし」
「そうでもないですよ」
「?」
時間を見ると、確かにもうすぐ5時になる。食べた後、けっこう寝てたようだ。
けど、そんなにお腹は減ってない。
「ありがとうございます、まだお腹減ってないから大丈夫です、気づかってもらってすいません」
「わかりました、またあとにしましょう」
そう言うと、また台所の方へ行き、暖かいお茶を持ってきてくれた。
至れり尽くせりだ…。
自分じゃここまでできない·····。
昼を食べたあとも、片付けてくれてあり、そのテーブルにマグカップに入れたお茶を持ってきてくれた。
お互いに斜向かいに座り、お茶を飲んでいると、ふいに、この間ことを聞かれた。
「もしかまわなければ、この間どうしてあそこに居たのか、お聞きしたいのですが?」
そういえば、あそこで渡辺さんに会ったなぁ。
「言いたくなければ、かまいません」
そんな、たいしたことじゃないけど。
「そうですね、あの時あの場所に居たのは、逃げてたんです」
「えっ、なぜですか?」
もういいか、しゃべってしまえ。
「あの場所で、働いている親戚がいまして、話をしてたらめんどくさくなって、逃げちゃったんです」
「大変な話をされてたとか?」
そこまで、重要な話じゃない···。
「違います、自分の結婚やら、なにやらで······」
「······」
「自分の二次性が関係してまして、早く結婚しろとか、それが嫌なら、パートナーを作るとか、そういうことをちゃんとして落ち着いたらって話です」
「そうなんですね」
「です、オメガですから、早くパートナーを見つけて、助けてもらえって言われるんです、親も心配してるからって」
「そういえば、ドアにあった買い物は?」
「たぶん、母です。電話で買い物頼みましたから」
「メモがありましたよ、気をつけてと」
···いや、気をつけることができる状態ないけど、親の心配はわかる···。
「親御さんは、早く結婚しろと?」
「特に何も、心配してるとは思いますが」
「それでですね、親戚の話の内容が、めんどくさくなって、仕事が忙しいからと、嘘を言って帰ろうとしたけど、あのベンチに座って、一旦休憩しようとしたんです」
話は反らすに限る。自分の結婚に突っ込まれたくない。
「そうだったんですか」
納得してくれたらしい。
あの時、本当に色々くさくさしてて、何かに八つ当たりしたい気分だった。こっちが当てられたけど。
とりあえずは、発情期も終わったし、色々棚上げしてるけど、わりと気分はすっかりしてる。
何が、どうして、渡辺さんはすぐ側にいるけど。
これから、友人として付き合いをするようになってしまったけど、友人ってより、ひょっとしたらセフレなんじゃないのか······。
それでいいのだろうか?
ちょっと、やだな。
強めに押されても、返事をしにくい。でもでもだってと、拒否してもだめなんだろうな……。
色々考えたけど、あきらめた…。
そうして、こんな返事になった。
「こんな関係になっているのに、なんなんですが、友達と言うか、友人としてで、かまわないでしょうか?」
これが自分にできる譲歩だ。
「……わかりました、残念ですが、まず友人としてで。」
「よろしくお願いします」
よかった。それぐらいなら、なんとか付き合いができる。
「でも、まだ体調は悪そうだし、今日と明日は看病させてください」
「なんで明日休みって、知って·····」
「メッセージにありましたよ、3日間休むって」
あ~···、そういえば中山くんにそうやって連絡したはず····。
公休と合わせてだから明日も休みだけど。よくわかったなぁ。
「体調は良くなりましたか?、落ち着いたら晩ごはん、何か食べたいものありますか?」
「けど、さっき食べたばっかりだし」
「そうでもないですよ」
「?」
時間を見ると、確かにもうすぐ5時になる。食べた後、けっこう寝てたようだ。
けど、そんなにお腹は減ってない。
「ありがとうございます、まだお腹減ってないから大丈夫です、気づかってもらってすいません」
「わかりました、またあとにしましょう」
そう言うと、また台所の方へ行き、暖かいお茶を持ってきてくれた。
至れり尽くせりだ…。
自分じゃここまでできない·····。
昼を食べたあとも、片付けてくれてあり、そのテーブルにマグカップに入れたお茶を持ってきてくれた。
お互いに斜向かいに座り、お茶を飲んでいると、ふいに、この間ことを聞かれた。
「もしかまわなければ、この間どうしてあそこに居たのか、お聞きしたいのですが?」
そういえば、あそこで渡辺さんに会ったなぁ。
「言いたくなければ、かまいません」
そんな、たいしたことじゃないけど。
「そうですね、あの時あの場所に居たのは、逃げてたんです」
「えっ、なぜですか?」
もういいか、しゃべってしまえ。
「あの場所で、働いている親戚がいまして、話をしてたらめんどくさくなって、逃げちゃったんです」
「大変な話をされてたとか?」
そこまで、重要な話じゃない···。
「違います、自分の結婚やら、なにやらで······」
「······」
「自分の二次性が関係してまして、早く結婚しろとか、それが嫌なら、パートナーを作るとか、そういうことをちゃんとして落ち着いたらって話です」
「そうなんですね」
「です、オメガですから、早くパートナーを見つけて、助けてもらえって言われるんです、親も心配してるからって」
「そういえば、ドアにあった買い物は?」
「たぶん、母です。電話で買い物頼みましたから」
「メモがありましたよ、気をつけてと」
···いや、気をつけることができる状態ないけど、親の心配はわかる···。
「親御さんは、早く結婚しろと?」
「特に何も、心配してるとは思いますが」
「それでですね、親戚の話の内容が、めんどくさくなって、仕事が忙しいからと、嘘を言って帰ろうとしたけど、あのベンチに座って、一旦休憩しようとしたんです」
話は反らすに限る。自分の結婚に突っ込まれたくない。
「そうだったんですか」
納得してくれたらしい。
あの時、本当に色々くさくさしてて、何かに八つ当たりしたい気分だった。こっちが当てられたけど。
とりあえずは、発情期も終わったし、色々棚上げしてるけど、わりと気分はすっかりしてる。
何が、どうして、渡辺さんはすぐ側にいるけど。
これから、友人として付き合いをするようになってしまったけど、友人ってより、ひょっとしたらセフレなんじゃないのか······。
それでいいのだろうか?
ちょっと、やだな。
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