エリートなΩと心の折れたα ~疲れたオメガとやさぐれたアルファ

河まきじ

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なんとか。、終わる。⑵

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 正気に戻った水澄さんは、あの時と同じだった。
 あの初めて会った時、急いでいたのか、焦っていたのか、わからないが、あわてた様子で帰っていった時と同じだ。


 今も、この状況が恥ずかしいようで、落ち着かない様子だ。発情期中には子どものように、素直な感情を出していたのに。
 あの時は、なんだかかわいくて、いとおしく、本当に優しくしてあげたかった。

「本当にごめんなさい」
 と謝られても、自分から望んで、ここにいるのだから、かまいはしない。

 食べ終わって、更に素に戻ったのか
 、彼の部屋なのになんだかそわそわしている。
 僕が居るから落ち着かないのかもしれない。次はちゃんと会えるように約束して、彼の体調が落ち着いたら、帰るようにしよう。

 おととい、昨日あたりまで、そういう状態だったから、顔色もよくなかった。
 何か食べる?と聞いても、少し笑って抱きしめてほしいと言うだけだった。

 普段どうしているのか、とは思った。一人暮らしなんて、誰でもしているし、寂しいなんて思うこともない。

 けれど、こうして体調が悪くなれば、誰かに助けてもらいたいと、思うことはあるし、僕がこうして助けられたのは、よかったと思う。

 見れば、彼は眠いのか座ったまま、寝ていた。まだ体調が戻ってないのだろう。ベッドに寝かして、自分は後片付けをした。

 そういえば、彼の冷蔵庫の中は、本当に何もなかった。部屋に入って2日間は、まったく出られなかったし、自分もそこまで気がつくような状態じゃなかった。

 たぶん彼の家族が、買ってきたんだろう、飲み物やゼリー飲料で2日間は過ごした。

 やっと自分が落ち着いて、彼に何か食べさせないとと、悪いとは思いながら、冷蔵庫を覗いたら、見事に何もなかった。ある意味清々しい。

 何か買わなきゃと、いつかのコンビニに行こうとし、着替えれば、彼は

「いかないで」
 泣きそうな表現で、言ってきた。

「大丈夫、すぐ戻るから」
 彼にそう伝えたら、
「待ってる」
 寂しく言って、寝てしまった。覚えているかも、怪しいけど。

 寂しく言った彼を、待たすのは可哀想だから、急いで買い物には行ったけど、ちょっとした、知り合いに会ってしまった。

 めんどくさいので、相手にしたくなかったが、一方的に話をされてしまった。









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