エリートなΩと心の折れたα ~疲れたオメガとやさぐれたアルファ

河まきじ

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苦しい。つらい。

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 朝起きてみれば、本格的に発情期がきていた。頭がぼんやりして、多少熱っぽい。そして、性衝動。

 誰かに助けて欲しい。自分を抱いて欲しい。めちゃくちゃにして欲しい。
 そればかりが、欲として体の中に回っていく。

「だれが、ふざけるな······」
 ふとした瞬間、正気に戻って絶対に負けるものかと、無理矢理、抑制剤を飲む。

 けど1時間もすれば、また己の欲が頭をもたげて、誰かに助けを求める。

 意識が、行ったり来たりしてベッドの上で蹲って、寝ていた。
 多少、正気に戻った時に、電話があった。

「星也、よかった出た」
「母さん」
「とりあえず買い物、ドアに掛けて置くからみておいて」
「わかった、ありがとう」
「大丈夫?」
「大丈夫だよ」
「終わったら、ご飯作ってあげるから」
「わかった、ありがとう、それじゃ」

 しゃべっているのも、きつくなり急いで切った。けど、助かった。

 落ち着いたら、取りにいこう。まだ無理みたいだから。抑制剤が効いてくれば、多少なり落ち着くはずだ。

 うとうとして夢をみていたのか、電話で話をしていた。

「もしもし?」
「水澄さん?」
「今日どうしたんですか?」
(あれ?なんかあったっけ)
「聞いてます?」
「すいません」
「いや、今日渡すものがあったのですが」
(渡すもの?)
「すいません、今日出れなくて持ってきてもらってかまいませんか?」
「わかりました」
「場所は、あのコンビニから右に入って、青い屋根の家から······」
「玄関にレジ袋がかかってるから、その玄関に置いててください」
(そういえば、なんて話だっけ)

 電話は切れてしまった。夢にしてはリアルな会話をしていた。

 無理矢理寝たり、また欲が戻ってきたり、体がつらくなっていく。

 誰かに抱かれれば落ち着くのか?正気に戻ったときの気分を思えば、それも苦しい。

「助けて······」
 吐きたくない弱音も出る。
 どうしよう。












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