エリートなΩと心の折れたα ~疲れたオメガとやさぐれたアルファ

河まきじ

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バース検査。過去⑷

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「番号16番のかた~」
 病院で、受け付け番号を呼ばれた。診療室ヘ入る。

「お願いします」
「水澄さん、男ですよね」
「そうです」
(だから、イヤなんだ)たまに、間違われる。
 だから、どこかで、ひょっとしたらと思っている。けど、間違いであってほしい。

 自分の外見が、たくましいとは言えない外見だ。薄い体で、体力もあまりない。オメガの外見に少しずつ当てはまる。それでもベータだって、そんな人もいると思う。

「それでは、血液を取って検査しますね」
「はい」
「結果ですが、早い方がいいですか?」
「どっちでもいいです」
「わかりました、それでは間違いのないように、一週間ほど時間もらいますね」

「!!そんなにかかるんですか?」
「その方が、確実なんです、簡易検査でもいいですが、それだと間違いもあるので」
「·······そうですか」
「確実性が高い方がいいので」
「······お願いします···」
 あとは、結果が出るのを待つだけだ。まるで、裁判で判決を待つような気分だ。

 一週間。長いのか、短いのか、わからない。


 祈るような気持ちで、一週間が過ぎた。たぶんそうだと思う。けど、違うかもしれない。
 学校での授業も、まともにできない。受けた気がしない。
 親から、何も言われなかったから、普通に学校には行ったと思う。けど、検査結果ばかり気になって、毎日が過ぎた。

 今日、結果が出る。学校が終わった4時くらいに、自分のスマホに連絡があるはず。

 待っていたからか、呼び出し音に心臓が止まりそうになりながら、電話にでた。

「はい、水澄です」
「水澄星也さんの電話で間違いないですか」
「そうです」

「検査結果が出ました、明日は時間に、親御さんとこちらにきてもらえますか?」
「あの、結果は?」
「今聞きますか?」
「はい」
「水澄さんは、オメガで間違いないです」

「……そうなんですね」
「はい」
「それでは、明日必ずきてください」
「はい」

 あとは、あまり覚えてない。でも、自分の性別が完全に決まった日、だった。
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