エリートなΩと心の折れたα ~疲れたオメガとやさぐれたアルファ

河まきじ

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バース検査。過去⑵。

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 高校生の頃だった。バース検査を引き延ばして、16才でやっと受けに行った。
 早いやつは、14才で二次性がわかる。自分に自信があるやつ、親から急かされて、行くやつ。でも、そういう奴らは、だいたいが親が安心したいがために、行かされている。

 16才ともなれば、半数は検査の終わった後だ。自分も、大丈夫。と16才になれば、必ず行こうと。それまでは、勉強して、成績も上げて、少しでも上へと必死だった。

「星也(ほしなり)お前、二次性わかってる?」
「いや、まだ」
「なんで、みんな早くから検査に行くのに?なんで?」
「だって、うちの両親ベータだよ、たぶん俺もそうだって」
「わかんないじゃん、ひょっとしたらアルファとか?」
「ないない」
「おーい、次の授業、自習だって」

 まだ、大丈夫なはず。
 会話が急にそれたので、そのままうやむやにした。まだ一年ある。それまで、知りたくない。知られたくない。

 だらだらと先延ばしに、勉強が忙しいふりで、やり過ごす。そんな日々。


「星也、帰りひま?」
「だいじょうぶだけど」
声を掛けてきたのは、新谷だ。新谷琉生(るお)小学校からの付き合いだ。俺より成績優秀で、他の学校もいけたと思うが、なぜかいっしょの高校になった。

「帰りに、本屋行きたいから、付き合って」
「わかった」
普通の毎日を、送っていた。
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