エリートなΩと心の折れたα ~疲れたオメガとやさぐれたアルファ

河まきじ

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親戚(いとこ)のはなし

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「で、呼んだわけですか」
「まあね、電話の方が早いかと思って」
「まだ、大丈夫ですって」
「けど、オメガは結婚早いじゃないか」
「結婚と言うか、番ですけど……」

 なんとなく最後は小声になった。オメガは結婚
 または番婚は早い、早ければ十代、遅くとも二十代前半でそうなることが多い。
 多分、体のためでもあるけど、だからといって
 自分までその通りにするのは、嫌だった。

「心配してたよ」
「……相手もいないし…」
「だからといって、このままじゃ君の体のこととも大変だろう」

 べつに心配してくれなくても…とふてくされる気持ちと、よけいなお世話感もある。そんな事は今までだって自分でなんとかしてきたのだから。ヒートの心配なんてして欲しくない。
 相手がいないというのは言い訳で、そっちの気持ちが大きい。

「話はそれだけですか」
「まあ、いざとなったらお見合いとかしてみたら」
「やです」
「気がかわるかも」
「……」
「まだ、仕事が自由にしたいんです」
「結婚してもできるよね」
「けど」
「それに体調も良くなるかも」
「それは大丈夫です」

 なんとなく、堂々巡りな会話が続き頭が痛くなってきた。

「すいません、そろそろ帰ります」
「忙しいの?」
「そうですね」
「ちゃんと親御さんに連絡するんだよ」
「わかりました」
「また、連絡するから」
「……はい」

 気分だけは早く帰りたくて、なんとなく急ぎめに帰っていく。
「疲れた……」
 気分だけは一仕事したようだった。





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